Daily Archives: 2017 年 5 月 15 日

故郷の大声援に怒涛のバーディーラッシュで″男”になった宮里優作。18番グリーンで踊った「カチャーシー」の味は?!

嬉しいツアー5勝目、沖縄初Vの優勝カップを抱える宮里優作。(日本プロ日清カップ=喜瀬CC)
嬉しいツアー5勝目、沖縄初Vの優勝カップを抱える宮里優作。(日本プロ日清カップ=喜瀬CC)

沖縄出身の選手会長、宮里優作(36)が、地元開催のメジャー、日本プロ選手権日清カップを最終日怒涛のバーディーラッシュで逆転、谷口徹(49)を下すドラマを演じました。2週前の中日クラウンズも制している優作は、2試合連続優勝(自身2度目)でツアー通算5勝目の快進撃。優勝賞金3000万円を獲得し、賞金ランキングも5719万9412円でトップへ浮上。選手会長としては史上初の賞金王へ突っ走る勢いです。数年前までは肝心なところでのパットが入らず、勝負弱さを引きずっていた優作が「一皮むけた」(応援の妹・藍)強さを発揮し始めたのは、男子ツアーを一変させそうです。

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宮里家総出の応援を得て、喜びのゴルフ一家。左から兄・聖志、父・優さん、優作、母・豊子さん、妹・藍プロ(沖縄・かねひで喜瀬CC=日本プロ日清カップ)
宮里家総出の応援を得て、喜びのゴルフ一家。左から兄・聖志、父・優さん、優作、母・豊子さん、妹・藍プロ(沖縄・かねひで喜瀬CC=日本プロ日清カップ)

前日、日没で残した4ホールを早朝に消化した優作は、ここで一つ伸ばし2打差の2位で最終ラウンドへ。8バーディー、2ボギーの66。得意のパットで苦戦する谷口を4番で逆転すると、一気に差を広げていく横綱相撲をみせつけました。アウトで6バーディー(1ボギー)、インでは12番のパー5で2オン2パット、13番では5㍍を決める連続バーディーで早々と勝負ありでした。最終18番(パー5)も無理をせず、3打目で乗せて手堅くパーで締めるこの日6アンダーで通算12アンダー。2位に上がってきたB・ケネディに3打差。3位タイに落ちた谷口には4打差をつけての完勝でした。

最終18番グリーン、30㌢のウィニングパットを決めたとき、取り囲んだ大勢の地元ギャラリーから祝福の指笛が鳴り響くと、優作はとっさに祝宴などで踊る伝統の踊り「カチャ―シー」を披露するハプニング。夢にまで見てきた地元・沖縄での優勝の嬉しさを、体中で表現してファンに応えたかったのでしょう。04年には妹・藍がダイキンオーキッドで、同年に兄・聖志もアジア・ジャパン沖縄オープンで、それぞれ沖縄での試合に勝っています。唯一地元でのVがなかった優作の優勝で、3きょうだい全員の沖縄Vが達成されたのです。

「最近、応援が重荷にならなくなった。力に変えられるようになった」と、安定したショットを放つ宮里優作。
「最近、応援が重荷にならなくなった。力に変えられるようになった」と、安定したショットを放つ宮里優作。

宮里家はゴルフ一家で父親優さんはレッスン・プロ。ところが最初にゴルフを父親に教えたのは、ゴルフをやっていた母親・豊子さん。「だから宮里家のゴルフは、母がいなければ始まらなかったんです」(優作)という。そんな母に「母の日V」を贈った優作のゴルフは、劇的でした。プロ11年目、日本シリーズJT杯で、ピンチの最終18番をチップインバーディーで凌ぎ悲願の初優勝をつかんだり(13年最終戦)、最終18番グリーンでボールがカップを一回りして吸い込まれるバーディーで勝ったり(今年の中日クラウンズ)、今度は歴史あるメジャー、日本プロを大逆転で制したり・・遅咲きの優作ながら、何かを秘めている男です。

★メジャー2冠、今季早くも2勝で賞金トップに立った宮里優作の優勝コメント。

「結果的に差がついたけれど、谷口(徹)さんが一番こわかった。スキをみせたらやられると最後まで気を抜かずにやった。12番と13番のバーディーがキーになった。ピン位置も今日は厳しかったけど、グリーンが乾いていて転がりがよく、狙ったところにパットがいってくれた。2試合連続で勝てるなんて信じられない。ちょっと前から考えると、こんなに勝てるんだって・・という感じ。メジャーで勝つイメージを作って、競ったときにボギーを打たない、そこからスコアを伸ばしていくというイメージしてやっていたのが役に立った。最近は応援が重荷にならなくなった。力に変えられるようになった。ちょっと大人になったんですかね。大きい試合にも勝てたので、すごく自信になっている。次にも活かしたい」

3日間トップを走りながら最終日、スコアを伸ばせず3位タイに終わった谷口徹(49)=沖縄・喜瀬CC
3日間トップを走りながら最終日、スコアを伸ばせず3位タイに終わった谷口徹(49)=沖縄・喜瀬CC

昨年1月から選手会長として″二足のわらじ”をはいている優作ですが、これまで選手会長で賞金王になった人はいません。片山晋呉が01年に2位になったのが最高。前任の池田勇太は、掛け持ちの多忙に追われて苦しみ、選手会長を降りた昨季、晴れて賞金王をとったケースもあります。これまで勝ち運が遠かった優作が、重責をはねかえして賞金王のタイトルに挑戦できるかは見ものです。開幕6試合で早くも5000万円台を突破して先頭を走っています。日本プロの優勝で来季から5年間の長期シードも獲得しました。美しいスイングと長打力で、アマチュア時代から数々の栄光を背負ってプロの門をたたきました。それからプロ16年目。遅咲きの男にようやく訪れたビッグチャンスに、実りの秋が迎えられますかどうか?!