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入れ返した勝利のバーディーパット! ″パットの女王”の貫録を見せた鈴木愛の実力!

上背はないが柔軟な体をフル回転、シャフトが首に巻きつく鈴木愛のフィニッシュ。
上背はないが柔軟な体をフル回転、シャフトが首に巻きつく鈴木愛のフィニッシュ。

パットの″名手”、23歳の鈴木愛が魅せました。最終18番ホール、勝負のかかった6㍍のバーディーパット沈めてビッグ賞金・3240万円をゲットです。昨季の平均パット数第1位、今季も同じくパット数NO1(1.723)を走る愛ちゃんが「パット・イズ・マネー」の鉄則通り、賞金レースでも8000万円を超えて2位浮上。初の賞金女王への名乗りを上げました。「アース・モンダミンカップ」(千葉・カメリアヒルズCC)、3日目首位に立った鈴木愛は、最終日4バーディー、1ボギーの69で回り、通算18アンダーに伸ばして今季2勝目(通算5勝)。最後まで追ってきた20歳の三ヶ島かなを、1打差の2位に退けました。

☆      ★      ☆

終盤のドラマは見ごたえがありました。順調にスコアを伸ばし、2位の三ヶ島に2打差をつけて迎えた17番(パー4)。鈴木は1㍍強につけて絶好のバーディーチャンス。ここで3打差にすれば、ほぼ逃げ切りは固いと思われました。ところが、この1㍍強から短いのを3パット。″名手”がまさかのボギーとして三ヶ島とは1打差で最終18番(パー5)へ。ここで先にバーディーを奪ったのは三ヶ島でした。8㍍のロングパットを決められ、この時点で並ばれた鈴木は絶体絶命。6㍍のバーディーパットを入れなければ、プレーオフに突入するピンチです。「最後は心臓が飛び出るかと思った」(鈴木)という緊張のパット。「緊張より、入れなきゃいけないという気持ちが強かった。前のホールのこと(3パット)はもう頭になかったです」と打ったボールは、スライスラインに乗って見事にカップに沈みました。ここで入れ返せる強さ。勝利のバーディーパットを決めて右こぶしを突き上げた愛ちゃんの顔は誇らしげでした。土壇場で見せた高度な技術と強い精神力。さすが「パットの女王」の実力をみせつけたシーンでした。

壮絶な激戦にも負けず、最後は得意のパットでうちかった鈴木愛。
壮絶な激戦にも負けず、最後は得意のパットでうちかった鈴木愛。

鈴木愛。平成6年生まれの23歳。徳島市出身。宮里藍のゴルフをTVで見たのがきっかけで小5からクラブを握りました。中学3年で四国女子アマを制し、高校進学はゴルフ部を新設したばかりの鳥取・倉吉北高へ。中国女子アマも11、13年に優勝。JGAナショナルチームの育成選手にも選出されました。13年のプロテストで一発合格。上がり3ホールで崩れ、トップ合格できなかった悔しさをバネに翌14年、ステップアップ・ツアー(下部ツアー)の開幕戦優勝という幸先のいいスタートを切りました。さらには日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯でツアー初優勝というビッグタイトルをいきなりつかみます。20歳128日での公式戦初制覇は、宮里藍の記録(21歳83日)を更新する大会史上最年少優勝でした。16年には2度目の日本女子プロ優勝を果たすなど、ビッグゲームをとれる勝負強さを秘めた選手。13年から4日間競技にグレードアップしたアース・モンダミン。今季は賞金4000万円アップで総額1億8000万円(優勝:3240万円)となり、日本女子プロに次ぐ女子ツアーでは屈指の高額賞金の試合をつかみました。

高額賞金をゲット、賞金ランキング2位に浮上して賞金レースに参入した鈴木愛。
高額賞金をゲット、賞金ランキング2位に浮上して賞金レースに参入した鈴木愛。

★今季2勝目。3240万円の高額賞金を得た鈴木愛

「17番で1㍍ほどを2回も外したので、ダメかと思いました。ちょっと強く打ち過ぎたかなと思います。最後のボギーパットも危なかった。体が思うように動かなくて、パッティングは朝からいつもと違う緊張感でうまくストロークできていなかったので・・。前半はいいプレーしてたと思うけど、雨も降ってきて雨は得意じゃない方なので。でも伸びてくる選手があまりいなかった。優勝争いしてるときは、雨でも晴れでも関係ないですね。あまり考えずに1打1打やってました。4日間競技は攻め方も違ってくるし、4日間を考えながら組み立てられるので好きですね。前半戦2位で折り返すとは考えてなかったですね。このオフはウェッジなどの練習をたくさんして、それが生きているので、その分去年、おととしよりはいいショットが打てていると思います。後半戦は全米女子オープンと全英女子オープンに出る予定です。自分のゴルフが海外でどれだけ通用するか。他の選手も見て、いいものを吸収してきたい。そしてあと1、2勝できたらいいなと思っています」

アース・モンダミンカップは高額賞金の他にも数々の副賞が用意されるのでも有名です。「ポルシェ・マカン」(約700万円)。ワインセラー ユーロカープ。ポカリスエット、クリスタルガイザー、チオビタゴールドα各1年分。木更津産ブルーベリー製品詰め合わせ。袖ヶ浦産コシヒカリ1年分 etc.
内容豊富なうれしい1勝を勝ち取りました。

今季はこれまで14試合に出て優勝2回、トップテン8回、予選落ちなし。獲得賞金8002万4000円。賞金ランク1位のキム・ハヌル(韓)に約90万円差に迫る2位に浮上しました。オフにはプロ野球千葉ロッテの選手に交じってハードトレを敢行。いつものスロースターター返上に努めました。まだ先は長いですが、13年の森田理香子以来、4年ぶりの日本人賞金女王への道も開けてきました。女子プロきっての練習好きの愛。パットの巧さも、そのたまものといえるでしょう。最後まで鈴木に迫った三ヶ島は「結果は、愛さんの方が強かった。もう一回出直さないといけないと感じた」と、ハットオフ。いまや女子プロたちが一目置く強さを発揮できるようになった鈴木愛です。全米女子(7月13~16)、全英女子(8月3~6)と世界のメジャーに挑む「愛のパット」に注目です。