★″チキンハート〝渡辺司のシニア初Vを支えた帯同女性キャディー

 

″万年2位男〝 渡辺司がシニア2年目でやっと初V。最後のウインニングパットを終えて肩の力が抜けた渡辺司(左)に明るい笑顔で握手を交わす帯同キャディーの中澤佳代さん(右)=日本プロシニア(茨城・静CC)
″万年2位男〝 渡辺司がシニア2年目でやっと初V。最後のウインニングパットを終えて肩の力が抜けた渡辺司(左)に明るい笑顔で握手を交わす帯同キャディーの中澤佳代さん(右)=日本プロシニア(茨城・静CC)

″万年2位男〝の異名までとって優勝に嫌われ?続けた渡辺司(51)が、シニア2年目で待望久しいシニア初優勝を果たしました。先週末、茨城・静カントリークラブで行われたPGAシニアツアーのメジャー「日本プロゴルフシニア選手権」(9月28日最終日)で通算7アンダーで初栄冠。今季シニアツアー5試合のうち4試合連続で″最終日、最終組〝で回った末にようやくつかんだV。運の薄かった渡辺司にとっての「優勝」は、レギュラー時代94年のよみうりオープン以来、14年ぶりでした。シニアになって2年間、渡辺の相棒となって励まし続けた女性プロキャディー中澤佳代さんがそのカゲにいました。

 

 

   

 

 

         

「いつもいいところにいながら期待に応えられず、自分でも歯がゆい思いでしたが、″やっと〝という気持ちです。ホントにうれしいです」ーシニア初栄冠というよりも、14年ぶりに味わう勝利の美酒。51歳になった渡辺がしんみりと喜びをかみしめていました。渡辺司といえば、レギュラー時代から青木功を師匠と仰ぎ、″青木ファミリー〝の一員でした。日大一高時代はアンダースローの投手として2度も甲子園の経験がある高校球児。「将来はコックになりたい」といっていた一人息子の「手先の器用さ」を見込んで、プロゴルファーの世界に送り込んだのは、元サンケイスポーツ新聞社でゴルフライターなどをしていた父親・司郎さん(79)。17歳から始めたゴルフで、プロテスト挑戦は7度目というのもしぶといですが、81年にプロ入り。プロゴルファーとしても、勝てそうで勝てない日々が長かったのです。

いいゴルフをする渡辺が勝てないのは″ゴルフ界七不思議の一つ〝とまで言われ続け、やっとプロツアー初優勝を飾ったのは、プロ入り13年目のこと(93年11月、ダイワ・インターナショナル)。その初勝利までに2位に甘んじたのが、何と14度。13年目で無冠の帝王を返上した渡辺でしたが、レギュラー時代に勝ったのは、後援競技だったサンコーグランドサマーの1勝と、94年のよみうりオープンの結局は計3勝(ツアーは2勝)。″勝てそうで勝てない司〝はその異名をかかえたまま、07年のシニア入りでした。

 

ステディなショットでフェアウェイをとらえた渡辺司のドライバー(日本プロシニア)
ステディなショットでフェアウェイをとらえた渡辺司のドライバー(日本プロシニア)

シニア入りを控えた48歳の時には「50肩」で右腕が痛くて上がらないほどの苦しみを1年以上味わいました。「もうゴルフもできないのかと思った」と当時を述懐していますが、右肩の痛みが残ったまま昨年春のシニア入りでした。シニアゴルフへの苦しい再出発のときから相棒になってくれたのが、プロキャディーの中澤佳代さん。彼女は北海道・札幌在住で元スキープレーヤー。ここ十年あまりは同じ青木ファミリーの西川哲のキャディーをしたり、ツアー以外の北海道での試合には渡辺のバッグも時折担いでいました。そんな縁から渡辺の帯同キャディーとなったのですが、女性らしい細やかな神経で何かと渡辺のゴルフをサポート。シニア2年、12試合目での初Vには、本人以上の笑顔で″万年2位男〝と握手を交わしていました。
「よくコースを調べてくれるし、グリーンのクセもよく知っていてくれる。助かっています」と渡辺。中澤さんとの二人三脚は初Vに大きな力となったのは間違いありません。中澤さんは、渡辺の試合のないときは、女子のジュリー・呂(台湾)のキャディーもつとめていますから、チャンスがあれば見てあげてください。

 

 

シニア2年、12試合目にうれしいシニア初優勝を果たした渡辺司(日本プロシニア=静CC)
シニア2年、12試合目にうれしいシニア初優勝を果たした渡辺司(日本プロシニア=静CC)

やっと勝てた渡辺司。これで″2位男〝を完全返上になるのでしょうか?ただ、今年のシニアツアーでも、5試合のうち初日トップに立ったのが3試合。最終日、最終組が4試合もあるのです。それでいてやっと1勝を挙げたのですから・・。粘って勝てたこの試合について渡辺のコメントは「すごい緊張感があったのはいつもと同じですが、今回はその緊張の中で自分をコントロールすることができました」と。
いうことも控えめで人のいい、ちょっぴり勝負に弱い?チキンハートな渡辺司です。その生来の人柄が憎めなくて、彼の持ち味でもあるのです。″渡辺司、また逸勝!〝の報道文字がまた踊るかもしれません・・!?

《日本プロシニア主な成績》
-7(1) 渡辺司
-5(2) 高橋勝成
-4(3) 矢部昭
-3(4) 友利勝良
-1(5) 重信秀人
     佐藤剛平
  0(7) 伊藤正己
      湯原信光
      林陳漢
+1(10) 佐野修一
      藤池昇龍
      橋本日都
・・・・・・・・・・・・・・
+2(13) 室田淳
      海老原清治
      中瀬寿
      陳志忠
+3(17) 尾崎健夫
      丸山智弘
+6 27 三好隆
+8 30 羽川豊
      飯合肇

<シニア賞金ランキング上位(円)=9月28日現在>
(1)飯合肇  24,547,500
(2)渡辺司  20,203,000
(3)尾崎健夫 18,541,000