女子ツアー、「日立3ツアーズ」で男子組に大差をつけて5年ぶりV。さて石川遼は?

第7回大会。2006年以来、5年ぶり2度目の優勝を果たして喜びのJPGAチーム(左から大山志保、佐伯三貴、小林浩美会長、笠りつ子、アン・ソンジュ。前列左から・横峯さくら、馬場ゆかり)=千葉・キングフィールズGC
2006年以来、5年ぶり2度目の優勝を果たして喜びのLPGAチーム(左から大山志保、佐伯三貴、小林浩美会長、笠りつ子、アン・ソンジュ。前列左から・横峯さくら、馬場ゆかり)=千葉・キングフィールズGC

 ゴルフシーズンの掉尾(とうび)を飾る最強ツアー決定戦、日立3ツアーズ選手権が11日、千葉・キングフィールズGCで開催されました。男子ツアー(JGTO)、女子ツアー(LPGA)、シニアツアー(PGA)の国内3団体が6人ずつの代表を繰り出して争う団体戦。いつもは強い男子ツアーがさっぱりで、例年最下位候補の女子ツアーがはつらつとしたプレーで男子組を圧倒、2006年以来5年ぶり2度目の優勝をかちとりました。賞金総額は5700万年(優勝賞金は3000万円)。その半額がチャリティされましたが、いつもはひ弱い?女子チームの圧勝で石川遼は「ボコボコにされました」と、ペコリ。今週出場するタイオープンが気がかりです。最優秀選手は佐伯三貴(27)でした。(午前の第1ステージ9ホールは2人1組のダブルス。午後の第2ステージ9ホールはシングルス戦で6組。ポイント制で争い、午前、午後ともインコース使用)
 
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大会最優秀選手に選ばれたLPGA・佐伯三貴(日立3ツアーズ=千葉・キングフィールズGC)
大会最優秀選手に選ばれたLPGA・佐伯三貴(日立3ツアーズ=千葉・キングフィールズGC)

  石川遼や横峯さくらが目の前で見られるとあって好天に恵まれた日曜日、6501人のギャラリーが集まりました。午前の第1ステージでは、2人ずつが組んだダブルスで1組6人で回ります。それぞれにキャディーがいますから計12人がグリーン上にたむろする?のは異様な光景でした。1組目の大山志保・笠りつ子がいきなり3連続バーディーでハイタッチを繰り返すロケットスタート。女子チームに勢いをつけました。しかし堅実に4バーディーの32で回ったワールドカップコンビの平塚哲二・池田勇太。「ワールドカップのとき以上のいいプレー、いいパフォーマンスができた」(池田)という通りでノーボギーで32。トップ3点をとりました。JGTOが単独でトップをとったのは、この一つだけの尻すぼみ。どうしたのでしょう。

ダブルス戦で3点、シングルスでは石川遼を抑えて2点を稼いだ横峯さくら(日立3ツアーズ=千葉・キングフィールズGC)
ダブルス戦で3点、シングルスでは石川遼を抑えて2点を稼いだ横峯さくら(日立3ツアーズ=千葉・キングフィールズGC)

 反して元気なのは女子。ダブルスでも馬場ゆかり・横峯さくらが4バーディー、32で男子の賞金王、裵相文・近藤共弘組を抑えてトップ3点。2年連続賞金女王のアン・ソンジュはショットも正確ですが、抜群のパット力をみせました。佐伯三貴の好調なショットを受け、上がり2ホールで1.5メートル、3.5メートルのバーディーパットを連続して決め、石川遼・小田孔明組の35を破る34で大きな拍手を受けました。

3位となったシニアのPGAで、同組の石川遼、横峯さくらを下すベストスコア31で気を吐いた芹澤信雄(日立3ツアーズ=千葉・キングフィールズGC)
3位となったシニアのPGAで、同組の石川遼、横峯さくらを下すベストスコア31で気を吐いた芹澤信雄(日立3ツアーズ=千葉・キングフィールズGC)

 第1ステージダブルスで8点をとってリードした女子が、第2ステージのシングルスはさらに圧巻。6カード中、大山志保(32)、馬場ゆかり(34)、笠りつ子(34)、佐伯三貴(32)がトップを取って3点ずつを稼ぎ、アン・ソンジュも裵相文と分ける2・5点。負けたのは横峯さくらが、シニアの芹澤信雄の31に屈した一人だけ。午前、午後合計で24.5点。2位JGTOの16・5点に大差をつけての優勝でした。
 初出場の佐伯三貴と笠りつ子が張り切ったのが、女子の原動力でしたが、佐伯はダブルス、シングルスともにボギーなしでシングルスでは4バーディーと完璧なゴルフ。一人で6点を稼いで最優秀選手に選ばれたのも当然でした。今季初Vで出場の笠はシングルス、17番(547ヤード、パー5)で右曲がりのコースをショートカットして2オン。イーグルを決める派手なパフォーマンス。来季の躍進を思わせました。ダブルス、シングルスとも出だし3ホールで3連続バーディーを決めた大山志保のチームを引っ張る先導役ぶりもお見事。ひじの故障から復帰した意気込みを感じさせました。この3人が女子チームを支えたトリオでした。
 

LPGAに敗れ2位となったJGTOの(左から)裵相文、石川遼、池田勇太。石川は今週タイオープンでの今年最後の挑戦に注目(日立3ツアーズ=千葉・キングフィールズGC)
LPGAに敗れ2位となったJGTOの(左から)裵相文、石川遼、池田勇太。石川は今週タイオープンでの今年最後の挑戦に注目(日立3ツアーズ=千葉・キングフィールズGC)

 さっぱりだったJGTOの石川遼。ドライバーは相変わらずところどころで曲がるし、うまいはずのパットも入りません。ダブルスの17番で3メートルのバーディーパットを決めてこぶしを握りしめたのが唯一の見せ場でした。遼の不振が、低迷男子チームを象徴していました。
 
「ドライバーはすごくよかったのですが、グリーンのスピードが自分のスピードとマッチしなかったです。(ダブルスで一緒だった)アン・ソンジュさん、(シングルスで一緒の)さくらさん。これからLPGAを引っ張っていく人だなと思いました。球筋を見ているとボールを長い時間押せているようなスイングで、アイアンもスピンがきいていましたね。芹澤(信雄)さんもインパクトゾーンが長いスイングで説得力がありますね。(藤田寛之さんらが)どういうアドバイスをもらっているのかと興味がありました。芹澤さんは長尺パターから短尺に戻したみたいですが、パターはうまいなぁと思いました。僕はスタート前は一番意気込んでいたんですけど、、最終的に一番テンション下がって、芹澤さんやさくらさんに圧倒的な差をつけられ、ボコボコにされました。きょうは、ショートアイアンの距離感というか、スムーズに打って安定した距離を出せるような打ち方が必要だと思いました」
 
 JGTO敗戦の弁を代表して語った石川遼クン。今週15日~18日にはアジアンツアーのタイオープンに初めて参戦します。現在世界ランク48位。年末発表の同ランク50位までにとどまれば、その時点で来春のマスターズ出場権が与えられます。タイの試合は世界ランキングに反映します。上位に入ってマスターズ当確を取りたい気持は分かりますが、もし予選落ちでもしようものなら、逆にランクを落として「50位以内」があやしくなる危険もあります。今季は国内で未勝利に終わった石川の決戦・タイでの戦いぶりが注目です。