成田美寿々の今季3勝目を支えた優勝請負人・大溝雅教キャディー(48)の勝負運!

飛ばし屋・成田美寿々のティーショット(茨城・イーグルポイントGC)
飛ばし屋・成田美寿々のティーショット(茨城・イーグルポイントGC)

21歳の″大物〝成田美寿々が、早々と今季3勝目を挙げ、賞金女王争いに名乗りを上げてきました。サマンサタバサ・ガールズコレクション・レディス(7月18~20日、茨城・イーグルポイントGC)。3日間とも60台で回った成田は、通算16アンダーでプレーオフとなったサマンサタバサ所属の香妻琴乃を1ホール目にバーディーを奪って突き放しました。成田は昨年のNEC軽井沢72、今年6月のヨネックスに続きプレーオフは3戦3勝。今年5月にはワールドレディス・サロンパス杯のメジャーも獲った通算5勝目。今年1月、日体大を3年で中退。″女子大生プロ〝の肩書を捨てて臨んだ今シーズン、大ブレークした新鋭のカゲに、″優勝請負人キャディー〝の強い存在がありましたー。

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最終日8バーディーで16アンダーとしたホステスプロ・香妻琴乃。プレーオフで敗れ、惜しくもプロ初Vならず(サマンサタバサ・レディース)
最終日8バーディーで16アンダーとしたホステスプロ・香妻琴乃。プレーオフで敗れ、惜しくもプロ初Vならず(サマンサタバサ・レディース)

サマンサタバサのホステスプロ、香妻琴乃(22)が、最終日ノーボギーの8バーディー、64で一気に首位に立ってホールアウト、最終組の成田を待っていました。成田も14番で6つ目のバーディー(2ボギー)で通算15アンダー。大溝雅教キャディー(48)から「トップは16アンダーで上がった」と聞かされました。その時の心境を成田は「あとパー5が一つ残ってたし、自分のゴルフをすれば大丈夫と思った」と、自信にあふれていました。今季成田が挙げている2勝は「両方とも速報ボードを見ないでやった。今回は1度(ボードを)見てやってみようかなと思っていた」(成田)といいますから、キャディーに大詰で最新状況を聞かされても動揺するようなタイプではありません。「パッパをかけるつもりでいってやったんですが、その通り頑張れる子なんですね。すごいです」(大溝雅教キャディー)。15番のパー5はとれませんでしたが、17番のパー4で、134ヤードの第2打を9番アイアンで2㍍弱につけ、これを沈めて16アンダー。上がって待っている香妻と並びました。

成田にとって3度目のプレーオフ。香妻は初体験でした。1ホール目(18番パー4)。香妻がピン左奥6㍍。成田は「9番以下は調子がいい」という9番アイアンでピン手前1.5㍍。香妻が第1パットを打ちきれずに外した後、成田は着実にバーディーパットを沈め、拳を突き上げる力強いガッツポーズで締めくくりました。

成田美寿々の優勝コメント

ティーグラウンドでスタートを待つ成田美寿々(左)と大溝雅教キャディー(右)=サマンサタバサ・レディス
ティーグラウンドでスタートを待つ成田美寿々(左)と大溝雅教キャディー(右)=サマンサタバサ・レディス

「18番はハンパない″アウエー感〝いっぱいでした。私が勝ってゴメンナサイですね。でも今回はいままで1番周りを気にせずゴルフができたかなと思っています。今日は速報ボードも見つつ、自分のメンタルに波を立てずにできたかなと思います。人がバーディーだから私も取らなきゃとは思わなかったです。少しは成長したのかなと感じました。(プレーオフこれまで2戦2勝で)負ける気がしないとは思わなかったけど、きっちりフェアウェイにいって9番アイアン以下は調子がいいので、その9番で打てたから自信はありました。きょうは純粋に楽しんでプレーしていたので思い通りプレーオフに持ち込めたから嬉しかったです。プレーオフでは負けずにやりたい、気持ちの強さでは誰にも負けない、と思っているので、それだけでした。(自信、余裕は?)余裕はまだないです。今週は全英女子オープンでも予選落ちして疲れて帰ってきたばかりですので、具合もよくなくて、欲がなかったです。トップ10に入って次に繋がればと思っていました。自信もまだないですね」。

リコー全英女子オープンでは通算12オーバー(116位)で予選落ち。傷心の帰国をしたばかりでしたが、バーディー合戦となったこの試合では、飛ばし屋の本領を発揮して上位に食い込んできたのはさすがです。今季すでに3勝しているのは、賞金レーストップのアン・ソンジュ(韓国)と成田の2人だけです。成田の賞金ランキングは4位から3位に上がりました。アン・ソンジュとの差はまだ1500万円超ありますが、大きな試合も残されている後半戦では逆転のチャンスはまだまだあります。千葉・市原生まれ。12歳で父親からゴルフの手ほどきを受け、拓大紅陵高ゴルフ部で本格的な競技ゴルフを始めました。日体大1年の2011年にプロテストを受験したが不合格。女子大生プロを目指して同年秋のQTに挑戦して26位で通過。12年の国内ツアーでは10月の富士通レディスで初優勝。賞金ランク27位で賞金シードをゲット。スポンサーが選ぶルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)にも選ばれました。「夢は2016年のリオ五輪に出場して金メダルを獲ること」(成田)と壮大です。国際ゴルフ連盟がリオ五輪の出場権獲得方法を発表し、今大会からの成績が反映されます。幸先のいいスタートを切った美寿々への期待は、どんどんと大きくなってきます。

今回、成田のバッグを担いだ大溝雅教キャディー(48)は、ゴルフ界でも有名な″優勝請負人〝。かっては片山晋呉が賞金王をとった2000年のキャディーでした。その後女子プロの方が多くなり、今回で24勝目の優勝キャディーになりました。
成田美寿々とは「最初で最後でしょう」と、笑っていますが、初めてバッグを担ぎいきなり優勝を運んできました。

大溝雅教キャディーのコメント

スタート前、ホールの風を読む″優勝請負人〝大溝雅教キャディー(サマンサタバサ=茨城・イーグルポイントGC)
スタート前、ホールの風を読む″優勝請負人〝大溝雅教キャディー(サマンサタバサ=茨城・イーグルポイントGC)

「成田は性格のいい子ですね。ものおじしないし女子プロっぽくなくて、むしろ男っぽいさっぱりとした子です。ドライバーは飛ぶ方ですし、アイアンが上手いですね。ショートアプローチがイマイチでしたが、なんでもくよくよせず強気なところは負けていないです。初日にも66を出していますし(初日トップタイ)、今週は勝てるムードがあるなと初めから思っていました。大詰で香妻が16アンダーで上がったと伝えてやりましたが、彼女は相手のスコアを知って動揺するような子じゃない。ダメになる子もいますが、彼女は大丈夫です。ハッパをかけてやったつもりですが、その通り17番でバーディーをとって追いつきました。プレーオフになりましたが、最終日、短いパットを2度外しているので普通なら楽に勝っていた試合でした。これからも期待の持てる若手ですね。最近、あまりみたことのない″いま流の子〝ですね」

大溝キャディーは初めてバッグを担いだ選手が優勝するケースが多いのです。この成田もそうですが、これまでにも有村智恵、イム・ウナ(韓)、大山志保、不動裕理と計5人のプロが大溝氏が初キャディーをした試合で勝っています。有村智恵が米ツアーに行く前、日本で最後の勝利となった12年4月のサイバーエージェント・レディスで大溝キャディーが担ぎました。それ以来、2年ぶりの優勝キャディーになった大溝キャディーは「運が強いのが私の取り柄かな・・。選手の気持ちをほぐしてやるようなアドバイスや話をすることが多いですね」と、話しています。昨年は黄アルム(韓)、今季は宋(ソン)・ボべ(韓)のキャディーを基本線としてやっていますが、宋・ボべは目下夏休みで帰国中。今週のセンチュリー21(静岡・伊豆大仁CC)は未勝利の井上希(のぞみ)=26=のバッグを担ぎます。
成田美寿々の2週連続Vへの期待もかかりますが、優勝請負人・大溝雅教キャディーの
今週も、ちょっぴり注目したいものです。