16歳″勝みなみ旋風”再び! 6打差をひっくり返したジュニアアマ最高峰

最終日、6打差を逆転して日本ジュニア(15~17歳の部)を制した勝みなみ(埼玉・霞ヶ関CC)=提供:日本ゴルフ協会
最終日、6打差を逆転して日本ジュニア(15~17歳の部)を制した勝みなみ(埼玉・霞ヶ関CC)=提供:日本ゴルフ協会

“みなみちゃん”はやはり強かった。今年4月、女子プロツアーのKKT杯バンテリンレディスで史上最年少、15歳(鹿児島高1年のアマ)で並みいるプロを押しやってツアー初優勝。世間をアッといわせた勝みなみが、ジュニア競技の最高峰、日本ジュニアゴルフ選手権(埼玉・霞ヶ関CC東コース、8月20~22日)女子15~17歳の部で最終日6打差をひっくり返して頂点に立ちました。6月に行われた日本女子アマ選手権ではベスト8に留まり、女子アマ日本一は逃がしたみなみですが、そのリベンジともいうべきジュニアアマNO1の座。2020年東京五輪のゴルフ会場となる予定の名門・霞ヶ関での勝利というのも、また格別でした。2週後の9月3日からは世界アマチュアチーム選手権(長野・軽井沢72東コース)で日本代表として登場。またまた″みなみ旋風〝の再来かも・・!

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申ジエ(中)、イ・ボミ(右)と韓国の強豪と回った勝みなみ(左)。スタートのティーグラウンドでギャラリーに囲まれる(5月、サイバーエージェント・レディス=鶴舞CC)
申ジエ(中)、イ・ボミ(右)と韓国の強豪と回った勝みなみ(左)。スタートのティーグラウンドでギャラリーに囲まれる(5月、サイバーエージェント・レディス=鶴舞CC)

日本ジュニアゴルフというのは、中学生(12~14歳)と高校生(15~17歳)の男女、4部門からなる日本ゴルフ協会主催の競技です。3日間、54ホールのストロークプレー。女子・高校の部では、みなみは初日ドライバーの不振に苦しみ、同学年の畑岡奈紗(茨城・翔洋学園高1年)に2日間で6打差(2位)をつけられて最終日を迎えました。ノーシードで通算11アンダーと首位を快走してきた畑岡の逃げ切りだろうとみられていました。ところが、初日のラウンド後の
練習で、左足をオープンスタンスに構えすぎていたことを指摘されたみなみが「開きすぎていた左足のつま先を閉じるように」修正したところ、2日目から劇的に曲がりが減ってきたといいます。最終日″6打差〝にも「パットの調子はいいので、チャンスは逃がさない」(みなみ)と、逆転を見据えた″勝負〝に臨んだのです。

スタート前、ストレッチする勝みなみ。アマチュアのみなみだが、今季は数多くの女子プロツアーに出場。ギャラリーを楽しませた。(5月のサイバーエージェント・レディス=千葉・鶴舞CC)
スタート前、ストレッチする勝みなみ。アマチュアのみなみだが、今季は数多くの女子プロツアーに出場。ギャラリーを楽しませた。(5月のサイバーエージェント・レディス=千葉・鶴舞CC)

前半、ノーボギーで2つ伸ばし、4打差に縮めて後半へ。2打差と畑岡を追い詰めた14番(パー5)。右、左とラフを渡り歩いたみなみは、左林からの第3打は155ヤード。前方15ヤードに巨木もたちはだかり、枝の隙間の1㍍四方を抜くしかない。「6番アイアンでは高さが足りないので7番にした。イチかバチか、木に当たっても仕方ないと思って打った」(みなみ)。この勝負の一打が見事に決まり、8㍍手前に3オン。しかもこれを沈めるスーパーバーディーで1打差に。17番(パー4)では1㍍半につけてまたバーディー。畑岡がバンカーからボギーとしたため、一気に逆転でした。パー5の18番も連続バーディーでとどめを刺す強さ。畑岡がインは3ボギーとスコアを落としたこともありますが、みなみの後半は4バーディー(1ボギー)で33。この日のベストスコア「67」をマークする猛チャージでした。

日本ジュニアは初出場の11年が12~14歳の部3位。12年は同4位。13年は同5位と悔しい思いをしていました。「なかなか優勝に手が届かなくて、今年は6位じゃないかと、思っていたんですけど・・でも勝てました」(みなみ)。4月にバンテリンレディスに勝ち、プロ転向の権利が発生しながらそれを行使しませんでした。それもプロになる前にアマチュアとして日本女子アマや日本ジュニアのタイトルを獲りたい、との一念からの行動でした。

「勝因は、バーディーを決めやすいところに乗せられたセカンドのアイアン」(勝)という、みなみのアイアンショット(霞ヶ関CC)=提供:日本ゴルフ協会
「勝因は、バーディーを決めやすいところに乗せられたセカンドのアイアン」(勝)という、みなみのアイアンショット(霞ヶ関CC)=提供:日本ゴルフ協会

優勝記者会見に臨んだみなみは、「いまの気持ちは?」と聞かれ、開口一番「もう泣きそうです。泣きそう・・。ずっと欲しいタイトルなのでうれしいです」といって涙ぐみました。「アマチュアで、ジュニアで最高峰の試合なので、それに勝つというのはジュニアの頂点なので。プロの試合で勝ったのはうれしかったですけど、私はまだアマなので、本当にうれしいです。試合は淡々とゴルフができていたんですけど、最終ホールのティーショットはすごく緊張しました。最後のグリーンでも(畑岡さんが)入れて、私が決められなかったらプレーオフでしたから、最後は決めなきゃいけないと、自分にプレッシャーをかけました。距離は1㍍。これを3パットは、99パーセントしないだろうと思ってました・・」

″めちゃ、いい夏の思い出になった〝と涙をぬぐったみなみに、まだ2週間後には世界アマチュアチーム選手権が待っています。同大会女子チームは16歳の勝みなみのほか、松原由美(大阪学院大高1年)、岡山絵里(大商大高3年)の3人。男子も3人。そのあと9月に韓国・仁川アジア大会も行われます。

7月の女子プロテストに合格した柏原明日架や堀琴音の18歳コンビに、森田遥(18=アマ)。さらに″みなみ世代〝の松原由美(15)や永井花奈(17)。今回、日本ジュニアで2位に甘んじましたが、急成長してきた畑岡奈紗・・女子ゴルファーの″金の卵〝は10代へと若年化の波が激しくなるばかりです。その代表格、この7月1日で16歳になった勝みなみの物おじしないプレーと強気のパット。次戦、世界アマチーム選手権の目標は「それは優勝です」ときっぱり。この負けず嫌いな性格が、みなみの″強さ〝の源です。近い将来、プロ転向後、22歳で迎える東京五輪。「それまでにはツアーで上位に入れる選手になりたいし、賞金女王にもなりたい」ーオリンピックの金メダルを大きなターゲットに、夢を広げるみなみです。。

勝みなみが積み重ねていく1戦1戦のキャリアは、ずしりと輝きをましていくようですー。