一気に駆け上がったこの1年、畑岡奈紗(17)に「表彰」の嵐!来季、日本を捨てデビューする米女子ツアーは?

恒例のGTPA表彰を受けた(左から)松森彩夏、ささきしょうこ、畑岡奈紗(東京・ANAインターコンチネンタル東京)
恒例のGTPA表彰を受けた(左から)松森彩夏、ささきしょうこ、畑岡奈紗(東京・ANAインターコンチネンタル東京)

アマチュアとして史上初の日本女子オープンを制した畑岡奈紗(17)の受賞ずくめの1年が終わりました。主催・協賛スポンサーの集まりである日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)の年末恒例の表彰で「特別賞」を受けると、高校(茨城・ルネサンス高)が開いた祝勝会で「奨励賞」を、続いて女子プロ協会の年間表彰では「敢闘賞」と、たて続けに受賞。生涯忘れられないこの1年の大ブレークをかみしめました。11月には米ツアーの最終予選会を14位で突破、プロになった来季はいきなり米女子ツアーを本拠として戦う奈紗です。年末からはマレーシアで合宿。来春1月下旬から始まる米女子ツアーに備えます。
畑岡が表彰された日本ゴルフトーナメント振興協会が同時に選んだ「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」には、女子プロでともに今季ツアー初優勝を挙げた松森彩夏(22)、ささきしょうこ(20)と、大健闘した堀琴音(20)の3人が選ばれました。男子ツアーは「該当者なし」でした。

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「特別賞」の表彰タテを抱え、喜びの畑岡奈紗(ANAインターコンチネンタル東京)
「特別賞」の表彰タテを抱え、喜びの畑岡奈紗(ANAインターコンチネンタル東京)

畑岡奈紗(高3、17歳)。日本女子オープンゴルフ史上初のアマチュア優勝の快挙を成し遂げたシンデレラ娘。卒業を待たず10月10日には早々とプロ転向を宣言。10月末には米ツアーの2次予選会(190人余が参加)に挑戦。4日間を通算3オーバーの19位で通過(80位までが最終へ)。11月30日からの最終予選会では、5日間の厳しい戦いを途中1位に浮上するなどして見事に戦い抜き、通算5アンダーの14位で来季のツアー出場権(20位まで)をつかみました。
この予選会の1次に参戦し、出場権を得られなかった米国在住の稲葉瞳さん(29=慶大ゴルフ部出身)を、来季米国で戦うための通訳兼マネジャーとして起用することも決めています。

平均飛距離260ヤードの畑岡奈紗。「米ツアーではもう少し飛ばさないと」と、意欲満々(10月、アマで史上初優勝した日本女子オープンで)

ほとんど無名だった選手から一気に駆け上がった今シーズン。この1年を表す漢字は「早」と表現した奈紗ちゃん。「本当にあっという間の1年でした。来年はアメリカで戦いますが、期待されていると思うので今度は世界一の選手になれるように頑張ります」と、たくましい決意を語っています。地元茨城にある宍戸ヒルズで主宰している中嶋常幸の「トミーアカデミー」の生徒として中嶋プロからも長く指導を受けてきました。世界ジュニアにも2連覇している畑岡は、両親がつけた米宇宙局(NASA)にちなんだ奈紗の名の通り、宇宙に羽ばたくようなスケールの大きな目標へいよいよスタートします。″得意クラブ〝というドライバーの平均飛距離は、260ヤード。しかし先の米予選会などでの経験からも「もっと飛距離を伸ばさないとダメ。それとグリーン回りのアプローチをどれだけ寄せていけるかの小技を磨かないと」と、厳しい米ツアーの現実を見据えています。米予選会でキャディーを務めてもらったのは、ナショナルチーム時代、指導を受けたジョーンズ・ヘッドコーチ。そのジョーンズ氏は「将来、米女子ツアーでも勝てる才能を持っている。厳しかった予選会では多くのことを学んだはずだ」と奈紗を見守っています。持ち前の度胸を発揮して米国からの早々の朗報を期待しましょう。

GTPA夏目理事長から「特別賞」の表彰状を受ける畑岡奈紗(ANAインターコンチネンタル東京)
GTPA夏目理事長から「特別賞」の表彰状を受ける畑岡奈紗(ANAインターコンチネンタル東京)

日本ゴルフトーナメント振興協会から同時に「ルーキー・オブ・ザ。・イヤー」として選ばれたのは、松森彩夏。ツアー3年目の今季、終盤10月の富士通レディスで2日目、3日目に「64」「68」のビッグスコアを出して逆転。念願の初優勝をかちとりました。昨オフには1日5食にして脱スレンダー。体重5キロ増で安定したショットを会得しての嬉しい初Vでした。55㌔になった体重を「来季はさらに60㌔にまでしたい」と意気込んでいます。今季の賞金ランクは15位。将来は海外志向の22歳です。
昨年のプロテスト合格者の中でツアー優勝一番乗りを果たしたささきしょうこ(20)も表彰を受けました。今季はQTランク36位でツアー出場、7月の大東建託・いい部屋ネットレディスで最終日「69」で逆転優勝。中学時代からドライバーの平均飛距離280ヤードを飛ばしたロングヒッター。名前の平仮名登録は、読みやすさと姓名判断で決めたという。大型ゴルファーとして「いつかは世界へ行きたい」と夢見る若手の一人です。LPGA年間表彰でも「新人賞」を獲得したささきは、兵庫・加古川出身ということで関西運動記者クラブからは特別賞の表彰を受けました。

インタビューを受ける「GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー」の松森彩夏。
インタビューを受ける「GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー」の松森彩夏。
「GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー」のささきしょうこ。(ANAインターコンチネンタル東京)
「GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー」のささきしょうこ。(ANAインターコンチネンタル東京)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう一人は堀琴音(20)。プロ3年目、まだ優勝はありませんが、今季のめざましかった活躍が評価されました。中でも日本女子オープンでは最後まで優勝争いを演じ、アマの畑岡奈紗に最後逆転されましたが、そのほかの試合でも何度も上位に食い込んだシーズンでした。11月のTOTOジャパンでは並み居る日米の強豪プロを相手に、日本選手最上位の3位タイに入るなど、あとは″初優勝〝が待たれるのみです。姉の奈津佳プロの影響も受け、昨季(15年度)は協会アワードの新人賞も獲得しています。来季の飛躍が待たれる新鋭です。