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シニアに続きレギュラーツアーにも吹き荒れる「タイ旋風」。どこまで勢力を増す?タイ勢3人目、クロンパ(26)日本初V。

ISPS名物、ヨロイ、カブト姿で称えられる優勝者・クロンパ(タイ)=ISPSハンダ・マッチプレー、埼玉・鳩山CC

日本ツアー唯一のマッチプレーは、タイのタンヤゴーン・クロンパ(28)が制覇、5200万円のビッグマネーをふところにしました(ISPSハンダ・マッチプレー=埼玉・鳩山CC)。日本勢で決勝に残ったのは賞金ランク1位を走る今平周吾(25)でしたが、パットが入らず2アンド1(1ホール残して2ダウン)で敗戦。2位でも2500万円を加算し、今平の賞金ランク1位の座はキープしましたが、クロンパはランク2位に急接近です。3位決定戦では池田勇太(32)が同じタイのラタノン・ワナスリチャン(23)に2ダウンで敗れるなど、タイ勢の大暴れは大注目です。シニアツアーでも今季7戦5勝と無敵の進撃をしているプラヤド・マークセン(タイ=52)がいて、いま日本男子ゴルフ界は「タイ旋風」に戦々恐々の状態です。なお、ISPS(国際スポーツ振興協会)の半田晴久会長は、来年度マッチプレーのほかに同じレギュラーツアーでもう1試合主催大会を増やすことを明言しました。

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マッチプレーは、目の前の相手と1対1で戦い抜いていくストロークプレーとは全く違う試合方式です。ですから、一発勝負で大物を食うハプニングも起こり得る面白いゴルフゲームです。今回、7月に1、2回戦が行われ、勝ち上がった24人とシード選手8人による32人が、鳩山CCで3回戦以降5日間をかけて戦いました。その3回戦では昨年優勝の片山晋呉(45)が藤島征次に3アンド2で敗れ、前週ツアー初優勝で話題を集めた星野陸也(22)も、タイのワナスリチャンに接戦のすえ1ダウンで早々と姿を消しました。勝ち進んだのは2人のタイ勢と、日本勢では今平周吾と池田勇太でした。今平と池田は準決勝で顔を合わせました。今季まだ優勝はないももの、トップ10に7回、うち5回は3位以内という好調を続ける今平。昨年のANAオープンでは3人プレーオフで敗れた池田に、今回は今平が1アップで競り勝ってリベンジを果たしました。

 

クロンパのショット。安定したドライバーが優勝の原動力だった(ISPSハンダ・マッチプレー=埼玉・鳩山CC)=提供:いずれもJGTO

一方で勝ち上がってきたクロンパ。今平VSクロンパの決勝戦は、今平のパターが徹底してカップに嫌われました。スタートから4ホール連続で5㍍以内のチャンスを全て外し、5番をボギーにして先手を取られました。その後も″入れごろ〝のパットをことごとくものにできず、これでは勝負になりません。一方、パット巧者のクロンパは、安定したドライバーで着実なゴルフを展開。11番ではティーショットを木の後ろに曲げながら、巧みなリカバリーでバーディーを奪って2アップに。13番(パー5)ではピンそばへ鋭いショットを突き刺して3アップ。勝利を大きく引き寄せました。16番まできて今平がようやくロングパットを沈めてひとつ返しましたが、もう届きません。17番(パー3)を二人ともパーに終わり。ここで勝負がつきました。

日本ツアー本格参戦5年目。11歳で父親に誘われてゴルフを始めたクロンパ。アマチュア時代はナショナルチームで活躍。2010年にプロ転向してアジアツアーの下部ツアーなどで優勝しました。日本ツアーには14年から参戦。以降4年間シードを手放していません。17年は中日クラウンズで首位発進しましたが、初優勝には届きませんでした。昨季の平均パットは1.7535で4位。そして今季、ついに大魚を手にしたのです。

★クロンパの優勝コメントを聞きましょう。

「日本ツアー5年目になりますが、これまで2位は何回かあっても、なかなかチャンスに恵まれませんでした。今回ISPSの試合に出させてもらい、優勝できて本当に嬉しい。きょうはドライバーが自信をもって打てて、いいプレーが出来ました。5200万円という賞金はいままでゴルフをやってきた中で一番大きな金額です。ツアーを戦うための資金に使います。″″世界中でタイの選手が活躍しているが、その強さは?〝〝タイでは多くの選手がゼロからスタートするので、練習や生活習慣の指導を厳しくやられます。それで心も強くなります。ゼロからのスタートが強さの秘密かもしれません。いままではマークセンさんから、どうすればプレーがよくなるかいろいろとアドバイスをもらっていました。彼がシニアにいったので、今度は僕が後輩たちを教えていければと思っています。今年も何人かQTを受けにきます。マークセンさんに憧れていましたが、日本でやりたいという気持ちを心の底から思っていました。それに日本料理も大好きなので。16年に結婚しましたが子供が欲しいです。近々日本に呼んで、着物を着て写真も撮りたいです」

日本人ただ一人、決勝へ進んだ賞金ランク1位の今平周吾。が、決勝ラウンドではパットが決まらずクロンパ(タイ)に名をなさしめた(埼玉・鳩山CC)

クロンパは準決勝でワナスリチャンとのタイ勢対決。「同じ練習場でずっと一緒にゴルフをやってきた仲なのでやりずらかった」といいながらもこれを破って決勝に進出しました。出場した2人のタイ勢が最後のところまで勝ち残ったのですから、その実力を認めざるを得ないでしょう。タイ勢の日本での活躍は古くからですが、男子ツアー優勝は、04年の「ANAオープン」に勝ったチャワリット・プラポール。08年以降に8勝しているマークセンに続き今回は3人目の快挙でした。

シニア入りして3年目になるプラヤド・マークセン。今季も7戦5勝で3年連続賞金王を確定的にしていますが、1年目の16年は9戦4勝で賞金王。17年も4勝して2年連続・・とシニア入りしてからは向かうところ敵なしの″鬼のマークセン〝を演じています。今回はレギュラーツアーでのマッチプレーで後輩のクロンパの制覇。「ジャパンツアーでNO1になりたい。その時がきたらア米ツアーにもチャレンジしたいです」と、夢を語ったクロンパ。5200万円の優勝賞金を得て賞金ランクは6217万5490円で2位に浮上しました。1位今平の7415万3573万円へは約1197万円余に迫っています。シニアに続いてレギュラーツアーにまで吹き荒れてきた″タイ旋風〝。日本勢も意地でも頑張らないと・・。

(了)