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若大将・池田勇太が狙う3度目の日本OPと2度目の賞金王!!井上誠一氏設計の武蔵CC・笹井で圧勝した実力。

池田勇太、プロ12年目に通算20勝。中嶋常幸、尾崎将司に次ぐ3番目の若さで達成(埼玉・武蔵CC笹井コース)=提供:いずれもJGTO

プロゴルフ界の若大将・池田勇太(32)が、ダイヤモンド・カップで2位に6打差をつける圧勝で通算20勝。プロ12年目、2年目の09年に日本プロで初優勝して以来10年間、毎年勝利を続け、20勝到達は中嶋常幸、尾崎将司に次ぐ3番目の若さ(32歳275日)でした。今季は前半戦、海外試合を転戦して武者修行。国内は9試合目での初V。優勝賞金3000万円を得て、賞金ランキング3位に浮上。2度目の賞金王への夢も膨らんできました。会場となった埼玉・武蔵CC笹井コースは、名匠・井上誠一氏が手がけた埼玉の名門コース群の中にある一つ。その難コースを一人、2ケタスコアで征服した実力はさすがというところでした。2試合後に控える日本オープン(横浜CC)での大会連覇が注目されます。

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ショット、パットとも絶好調に仕上げた池田勇太。2位に6打差をつける圧勝で賞金ランク3位に浮上した(ダイヤモンド・カップ)

21の国と地域から猛者連が集まったアジアンツアーと日本ゴルフ協会(JGA)との共同主管競技。埼玉の名門、武蔵・笹井(パー71)は林間コースで深いラフ、難度の高いレイアウトによる難コースです。そこを2日目66で回り、22位から2位に浮上した勇太は、3日目も後半4ホール連続バーディーなどで同じ66。一気に単独首位に立ちました。最終日は1打差の2位につけていた昨年の韓国オープン覇者・張二根との日韓王者対決でもありました。一番でいきなりボギーを叩いて張に並ばれた池田に暗雲がかかります。しかし2番、512ヤードのパー4で勇太は素晴らしいショットを見せます。200ヤードの第2打を6Iでカップ3㍍につけます。楽々とバーディーにして1番のつまずきをすぐに取り返したのが、その後の快進撃につながりました。逆に張は、このホールでダブルボギーを叩き、ズルズルと崩れていき、もう池田の敵ではなくなりました。

勇太の花道をひとり歩くような進撃が始まります。4番、6番を取って前半を2アンダー。後半は深いラフにつかまり、1パットパーが4ホールもあるイライラもありましたが、2位との差が大きく勇太にプレシャーがかかる場面はありませんでした。18番(パー4)は、右のラフに入れ、2打目は低く垂れた木の枝が邪魔になるピンチでしたが、低く出る球を操り、グリーン脇のバンカーまで運びました。ピンまで距離のあるバンカーショットは、スピンをかけず転がりの出る球で1㍍に寄せてお見事のパーフィニッシュ。勇太の多彩なショットを随所で見せつけるひとり舞台でした。

池田勇太のドライバーショット。今季は体重増で飛距離が伸びた。

今季はシーズン前半、欧州、アジアツアーに始まり、米ツアーや世界選手権シリーズのメキシコ選手権にまで足を伸ばして奮戦しました。メジャーはマスターズ(予選落)、全英オープン(51位)、全米プロ(65位)と3試合にでましたが、いずれも好成績を残すことはできずに8月後半に日本ツアーに戻ってきました。成績は上がりませんでしたが、ほぼ半年間、世界のいろいろなコースを転戦した経験、体験は、池田勇太のゴルフに大きな栄養剤を注入したことは間違いありません。ダイヤモンド・カップの圧勝も、その成果の一つといってもいいでしょう。

☆池田勇太は語ります。

「(最終日は)下から這い上がってくる選手がいなかったので、下を見ながらゴルフができた。6番でいいバーディーがとれたので、そこからは全部パーで回ったら勝てると思ってました。20勝できてうれしいですが、早かれ遅かれ20勝目はくると思ってたから、20勝はステップの一つとしか思っていません。まずは25勝の永久シードを目指さなくてはいけない。まあ、初優勝の2009年日本プロから10年で20勝できた。ここまで来れたのは、まず自分を褒めてあげたいし、自分に関わってきた色々な人たちに感謝したい。本当に大会がないと、優勝もないのでね。こ

打ち終わって打球をみる池田勇太。

れが終わりじゃないので早く21勝、22勝、23勝と、年内にできるように頑張りたい。初優勝から毎年勝てているのは、プレッシャーもあるけど2013年、14年、15年と選手会長をしていた時も1勝ずつを積み重ねられたのが大きかったですね。それがあったから、このスピードで20勝まで迎えることができたんでしょう。アジアの選手では、張さん(16位タイ)は今日は大分荒れていたけど、キタヤマさん(4位タイ)はドライバーもアイアンもよく飛ぶね」

大会1週間前、地震のため中止になったANAオープン(北海道・輪厚)の週にわざわざ北海道地震の被災地を日帰りで慰問、テレビ中継にもナマ出演。プロゴルファーとしての使命を自分なりに果たしてきました。これも選手会長などを経験した勇太の、一回り大きくなった行動だったのでしょう。プロ12年目、32歳。精度を上げたゴルフとともに全てに脂ののりきったいまの池田勇太です。

岩田寛は2日目単独首位、3日目ホール・イン・ワンで優勝争いを演じ、大会を盛り上げたが最終日71と伸ばせず、3位に終わった。(埼玉・武蔵CC笹井)

16年に取った賞金王へ2度目のチャンスが見えてきました。今回の勝利で6110.2万円とし、首位を走る今平周吾へ1455万円余に接近してきました。″1勝〝でひっくり返る僅差です。これからの秋の陣、高額賞金の試合が9試合、残っています。当然、逆転キングに照準を合わせている勇太でしょう。海外で苦しんだ試合を経て、ジュニア時代からやり慣れた日本のコースでの秋の陣。ショット、パットもここへきて好調を維持してきました。10月11日からの日本オープンは改装なった横浜CCが舞台です。14年・千葉CC梅郷、17年・岐阜関CC東に続く勇太は3度目の日本オープン制覇を狙います。その下準備は整ったといっていいでしょう。

(了)