Author Archives: 向田遥菜

タイ勢力、シニアツアー賞金王に4年連続! “新鋭”ウィラチャン(52)、遂にマークセンを抜き去ってNO1に!

ツアー最終戦の5位で逆転シニア賞金王になったタワン・ウィラチャン(タイ)=埼玉・鳩山CC(提供:日本プロゴルフ協会)

日本のシニアツアー2年目のタワン・ウィラチャン(52=タイ)が、ツアー最終戦でプラヤド・マークセン(53=タイ)を抜き、初のシニア賞金王に輝きました。レギュラーツアーと掛け持ち出場するマークセンが賞金の高いレギュラー2試合を優先したため、2位にいたウィラチャンが逆転しての賞金王。ウィラチャンの獲得賞金は4738万8525円。4年連続の賞金王を目指して首位を走っていたマークセンとは40万7347円差でした。いずれにしても国内のシニアツアーは4年連続で賞金王はタイの選手。室田淳、倉本昌弘、鈴木亨、尾崎直道らの日本勢は鳴りを潜めたままです。

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富士フィルムシニアで今季2勝目、通算3勝目を挙げたときのタワン・ウィラチャン。(11月初旬、茨城・江戸崎CC)

昨年、僚友マークセンに誘われ日本にやってきたウィラチャンは、ただものではありませんでした。主にアジアツアー(18勝=賞金王2回)や欧州ツアー(1勝)でレギュラー時代を過ごした男で、日本では″無名〝の選手。マークセンとは幼いころからの友人で11ヵ月違いの52歳。「マークセンはキングだけど、僕はまだジュニア。トシも近いし、先輩・ライバルというよりもいい友達。いろんなことを教えてもらってます」(ウィラチャン)という。しかし、ゴルフはしっかりものです。171㌢とさほど大柄ではありませんが、独特の縦振りスイングで飛ばします。それよりもアイアンの切れやグリーンまわりの小技が光る選手です。今年9月のコマツ・オープンでは首位発進のマークセンを追い、3日目(最終日)には7アンダー65で回り3打差あったマークセンに追いつき、プレーオフで破って逆転勝ち。ツアー2勝目を挙げてから一段と目立つ選手になってきました。日本シニアOP2位、セヴンヒルズカップ5位、日本プロシニア2位、富士フィルムシニア2位に6打差をつけて圧勝・・とトップグループで戦い続け、大詰の大逆転につなげました。

 

終盤2試合、レギュラーツアー優先でシニアツアー2試合を欠場。タワン・ウィラチャン(タイ)に賞金王を譲ったマークセン(タイ)。4年連続シニア賞金王を逃がす。

賞金ランキング首位を走っていたマークセンが、レギュラーツアー秋の陣で高額賞金の三井住友VISA太平洋、ダンロップフェニックスと相次いでレギュラー優先で出場。日程が重なったシニアの終盤2試合を欠場したためウィラチャンに幸運が一気にきました。シニア終盤の2試合のうちエリートグリップ・シニアでは単独10位以内なら早々と逆転賞金王が決まるところでしたが、ここではウィラチャンは28位で見送り。しかし、マークセンとの賞金差を約35万円としたウィラチャン。2日間大会のツアー最終戦(ISPSハンダ杯シニア)では単独13位以内に入れば逆転賞金王が決定するビッグチャンスを背負ってのプレーでした。

シニア最終戦「ISPSハンダカップシニア」はソク・ジョンユル(50=韓)が通算9アンダーで初優勝。優勝記念の兜をかぶってご満悦。(埼玉・鳩山CC)=提供:日本プロゴルフ協会

初日12番(179ヤード、パー3)ではホールインワンを決めました。2日目(最終日)はインスタートで12番(パー3)をバーディーとする好スタート。前半は3バーディーでボギーなし。後半に入った6番では12ヤード(ウィラチャン談)の長いバーディーチャンスをねじ込むなど3バーディー、1ボギー。トータル67で5位フィニッシュ。″鬼のいない〝最終戦で絵にかいたようなウィラチャンの逆転賞金王が達成されました。

☆タイ勢強し!マークセンを受け継ぎシニア賞金王に輝いたタワン・ウィラチャンのコメント。
「ホッとしました。賞金王をとるためには13位以内に入らないといけないのは試合前から分かっていた。ベストを尽くさないと、と思っていました。最後の2戦で賞金王になれるとは正直、思ってなかったです。きょうは長いのが入ったり、パットがホントによかった。きのうはバーディーが1個もなくてきょうのためにとっておいたのでしょう(笑)。きのうはホールインワンをしてもスコアが悪かったからいい気持ちじゃなかった。きょうは『マークセンさんがいないから賞金王になれるよ』と、みんなから言われて応援してくれていたからプレッシャーは感じなかった。一度タイに帰って2週間くらい休むつもり。そのあと日本の″3ツアーズ〝に出られるのなら出たいです。日本のPGA会員になっても変わることなく今年と同じように(シニアで)やりたい。日本も2年目を戦って大分慣れてきました」

 

常勝・室田淳も64歳。ISPSシニアは2位どまり。今季は未勝利に終わった。

今季のウィラチャンは、夏に日本PGAのプロテストを受験して合格。来季からは日本ツアー選手として戦えます。レギュラーツアー挑戦のチャンスもやってくるでしょう。
積極的にいろいろとトライしようという意欲にあふれるタイの″刺客〝。まだまだレギュラーツアーと掛け持ちで頑張るマークセンともども、シニアツアーを盛り上げてくれるタイ旋風の主。勢いはあなどれません。

(了)