
今年8月、挫折を乗り越え3年ぶりのツアー7勝目で“男泣き”した比嘉一貴が、またやりました。今度は韓・アジアン・日3ツアー共催の国際大会。ニクラウス設計、韓国の難コースを征服したビッグな1勝。41回目になるこの老舗大会は、韓国主体から韓亜日の3ツアー共催になってからは5回目。各ツアーから上位約40人が集まり、唯一日本開催となった22年は「奈良・KOMACC」で比嘉一貴が優勝。その年比嘉は日本ツアー賞金王になった思い出の大会。昨年は「韓国・72カントリークラブ」で平田憲聖が、前週の「フジサンケイ」に続く2週連続優勝を遂げ、帰国後に「パナソニックOP」でも勝ち、月間3勝で盛り上げました。今年の舞台は韓国・仁川の「ジャック・ニクラウスGC・コリア」。周囲に高層ビルを眺める珍しいリンクスの難コースでした。3日目にトップに立った比嘉一貴(30)が、最終日も5バーディー、1ボギーの「68」をマーク、通算18アンダーで2位スコット・ビンセント(ジンバブエ)、リチャード・T・リー(カナダ)を1打差で振り切り、大会2勝目。ツアー通算8勝目を韓国で飾りました。(賞金総額:1億5780万円 優勝:2840万円)
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3日目の「65」で単独首位に立った比嘉は、最終日も1番から4連続バーディーを奪うロケットスタートが圧巻でした。3~4㍍のバーディーチャンスをすべてモノにし、前半から「31」とリードを3打差に広げて折り返し。後半もいいショットはいくつかありながら、アプローチミスなどで1打差まで詰め寄られる場面も。が、「リードしていたことは変わらなかったし、焦りはなかった」と、首位を譲ることなく完走。ニクラウス設計の難コースを乗り切りました。
「後半は苦しい時間が多かったが、一日を振り返るといいプレーができたと思う」と比嘉。日本ツアー3勝のビンセントや6番のイーグルで追い上げた吉田泰基(8位)、選手会長・谷原秀人(8位)の頑張りも及びませんでした。このほか日本勢では河本力(18位)、今平周吾(18位)大槻智春(18位)。国内ツアー賞金レース1位を走る生源寺龍憲(30位)、木下稜介(37位)、岩崎亜久竜(54位)、杉浦悠太(57位)。予選落ちは岩田寛、片岡尚之、石川遼、小平智、長野泰雅、鈴木晃祐らで、苦戦した選手が多かったのは、難コースが壁となったようです。

22年は4勝して賞金王まで取った比嘉。それを機に欧州ツアーやアジアンツアーに出向いて「香港オープン」3位などで腕を磨きましたが、いまひとつ成績が上がらず苦労の時期を過ごしました。身長158㌢。“歴代で最も小柄な賞金王”といわれて個性豊かなゴルファー。今季は久々に複数優勝。優勝賞金2840万4000円を加え、賞金ランキングが15位から2位までジャンプアップしたのは嬉しい出来事でした。ここまでくれば海外志向の一貴には米ツアー予選会も視野に入ってきそう。一方でアジアンツアーの高額大会「インターナショナル・シリーズ」への参戦にも意欲的で、スケジュールも考え直すという。国際大会優勝で、DPワールドツアー(欧州ツアー)との共催試合や韓国のビッグ大会にも足を伸ばしたいようです。
次週は台湾開催のアジアンツアー「YeangderTPC」にエントリー。国内ツアーは2週後の「パナソニックOP」(大阪・泉ヶ丘CC)になりそうです。