
シニアプロ日本一を決める「日本プロゴルフシニア選手権」の最終日、最終ホールで劇的なイーグルが飛び出し、2位にいたサイモン・イエーツ(55、スコットランド)が大逆転で日本初優勝を挙げるドラマがありました。前週「日本シニアオープン」をタマヌーン・スリロット(タイ 56)が制したばかり。史上4人目の日本タイトル2週連続の2冠かと23年大会覇者でもあるスリロットに脚光が集まり、それも目前でしたが、大ドンデン返しでスリロットは1打差の2位に終わりました。本当にゴルフは最後まで何が起こるかわからないスポーツですー(茨城・イーグルポイントGC、パー72)。
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国内シニアツアー参戦3年目。最終組の前を回るスコットランド出身の55歳。イエ―ツはほとんど無視され、その後から来るスリロット(56、タイ)に視線は集まっていました。史上4人目の快挙“日本タイトル2週連続2冠”達成を目前にしていたタイのニューヒーローのご帰還が近づいていました。
ところが18番を取り巻いていたギャラリーや関係者も唖然とさせたのは、彼ではありませんでした。パプニングが起こったのです。日本ではあまり名も知られていないプレーヤーがフェアウェイ中央からの残り約111ヤード。フォローを抑え気味にして打ったウエッジでのアプローチが、カップの右50㌢に着地すると左へのスピンが効いており、そのままカップインしたから大変です。パー4を“2打”で入れるイーグルフィニッシュ。1打リードされていたイエ―ツのスコアは一気に一つリードの14アンダーでのホールアウトです。満面笑顔。日本シニア初優勝。何か手の置き場がないように両手を上げ下げする一風変わったイエ―ツの仕草でした。

表彰式では「嬉しい。日本の素晴らしいゴルフコースでようやく優勝できた。日本の皆さんに感謝です」とあふれる笑顔を振りまきました。
2019年に日本プロゴルフ協会の最終プロテストに一発合格。24年は賞金ランキング23位で今季はシード選手として本格参戦。アジアンツアーは2勝を挙げている実績は、彼の実力を物語ります。開催コースだったイーグルポイントの所属プロ、片山晋呉によると「シニアで一番飛ばす選手」と髙い評価。ドライバーショットでゲームのアドバンテージをとっていく選手とは、なんて魅力的か。それにふさわしい逆転イーグルでした。優勝賞金1000万円と3年シードを獲得。シニアにもまた一人、チャーミングな強敵が現れたと言えそう。