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“重ヘッド”&“黒ヘッド”。ブリヂストンからPINGに転向した上原彩子の低スピン作戦!!

ブリヂストンからピンへ、クラブ・用具契約を一新した上原彩子。発表の席でも今季への強い自信を語った(東京ビッグサイトで)
ブリヂストンからピンへ、クラブ・用具契約を一新した上原彩子。発表の席でも今季への強い自信を語った(東京ビッグサイトで)

 日本の女子ゴルフツアーが、ようやく今週3月2日(金)、ダイキンオーキッドレディス(沖縄・琉球GC)で始まります。長いオフを終わって今年飛び出してくる女子プロはだれなのか。興味はつきませんが、その中の期待の一人、沖縄出身の上原彩子(28)が今年新たにピン(ピンゴルフジャパン)のクラブ・用品に関する契約を完了。話題のクラブ「ピンi20」(ピン・アイ・トゥエンティー)を使ってツアーの臨むのが注目されています。昨年10月、3年ぶりに復活優勝(マスターズGCレディス)した大山志保も同じピンの契約プロで、こちらは「G20」を使っての優勝。″ピンのドライバー〝とはどんな特徴があるのか、今季ピンのクラブで戦う上原彩子プロにスポットをー。

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正確なショットが身上で、ホールインワンも4回記録している上原彩子。ウエアのセンスも抜群!心機一転の今季に期待がかかる。
正確なショットが身上で、ホールインワンも4回記録している上原彩子。ウエアのセンスも抜群!心機一転の今季に期待がかかる。

 日本ジュニアや日本女子アマのタイトルを持っている上原彩子は、沖縄出身の女子プロゴルファーとしての先駆者といえるでしょう。今年はもうプロ入り9年目、28歳になりましたが、ツアー3勝の実績も光っています。
昨年は、日医工女子オープン(7月)でアウト「29」のハーフ最少スコアツアータイ記録で2年ぶりの3勝目に涙しました。そして2012年。「今年こそ複数優勝でメジャー優勝がターゲット!」と公言してはばからないシーズンの始まりです。160センチのごく普通の体格。パワーヒッターでもありません。きれいなスイングで球を操っていくショットメーカー。ホールインワン4回が彼女のゴルフスタイルを証明しています。その上原が、長年契約してきたブリヂストンから一転して外資系のPINGに鞍替えして注目を浴びました。ツアーでマイ箸を携帯し、エコ活動、乳がん撲滅のピンクリボン活動など社会貢献活動をライフワークの一つとして励むけなげな乙女でもります。

昨年12月の3ツアーズではピンのニューモデルを使い女子チームを引っ張った大山志保。LPGAに久々の優勝をもたらした(千葉・キングフィールズ)
昨年12月の3ツアーズではピンのニューモデルを使い女子チームを引っ張った大山志保。LPGAに久々の優勝をもたらした(千葉・キングフィールズ)

 問題のクラブの方は、昨年大山志保が優勝時に使用したのが「G20」ドライバーでしたが、それに続いて今春新発売された「ⅰ20」ドライバーを上原は使います。ヘッド体積はともに460cc。「ⅰ20」はアスリート好みの洋ナシ形状。811チタン(ボディ)に6-4チタン(フェース)のチタン複合ヘッド。19gものタングステンをソール部分に配置した低重心で、慣性モーメントが高くなっています。特徴的な黒塗りのヘッドは、精悍で力強さを感じさせてくれます。
 それにも増す特徴は、200g超の「重ヘッド」の搭載です。なぜこれだけの重ヘッドを採用したのでしょう?それなりの理由があります。クラブの総重量が同じであれば、ヘッドは重ければ重いほどインパクト時の衝突エネルギーは増大します。重量配分が容易になって重心位置や慣性モーメントは拡大します。ボールの初速はアップして距離が伸びます。
 ヘッドが重い分、ヘッドスピードが遅くなる心配もありますが、「G20」ドライバーは手元寄り重心の特殊シャフトを標準装備。「ⅰ20」ドライバーは、標準クラブ長を45インチに設定。ともにいままで通りのスイングウエイトでヘッドスピードを落とさない工夫がなされています。ミート率もグンと向上した「重ヘッド」は、強弾道のボールを飛ばしてくれるメリットにあふれています。それでいて価格は44,100円と低く抑えられているのもいい。

 上原彩子プロに聞きました。

新たな契約を締結、明るい表情で握手を交わすジョン・ソルハイムピンジャパン社長(左)と上原彩子(右)=東京ビッグサイトで
新たな契約を締結、明るい表情で握手を交わすジョン・ソルハイムピンジャパン社長(左)と上原彩子(右)=東京ビッグサイトで

「ピンのクラブは2月上旬、初めてオーストラリアで使いました。私の悩みの一つは、私はボールのスピン量が増えて球が上がってしまうことでした。ピンのクラブは、そのスピン量が押さえられるのが一番気に入ったところです。自分のスイングをいじらなくてもクラブがやってくれるのがいい。スピン量が抑えられることで直進性が高まり、飛距離も去年までより一段伸びている実感があります。黒いヘッドも締まった感じで力強さを感じます。ヘッドは大きいのに、大きさを感じさせない。安心感があるヘッドは重めですが、初速が上がって飛んでいる。「G20」のドライバーも打ちましたが、ヘッドが遅れ気味に降りてきて、球が右へ出ましたね。「ⅰ20」の方が私はイメージ通りにヘッドが戻ってきて気に入りました。「ⅰ20」は、フォローでもアゲンストでも、同じティーの高さで普通に打って大丈夫です。あの強かったオチョアもピンのクラブでしたし・・」

 すっかり黒ヘッドの「ⅰ20」がお気に入りの上原彩子プロ。スピン量を減らすボールの回転は、ピンのクラブは3000回転から2400回転に落ちているそうです。「ドライバーでスピン量を減らすには、重心をいかに低くできるか、にかかっている。余剰重量をヘッドの低い部分に持っていく。あとはシャフトの工夫で改善されます」(ジョン・K・ソルハイム、ピンジャパン社長) 
 海の向こうでも世界ランキング3位のリー・ウエストウッド(英)もピン契約プロ。今季米ツアー3戦目のヒューマナチャレンジで早くも今季初優勝したマーク・ウィルソン(米)の使用クラブは、ニューモデルの「ⅰ20」のドライバーとアイアンでした。

 実戦ラウンドも多めに調整したという上原。ドライバーのほか、アイアンも「ⅰ20」のセット。ウェッジ、パターもピンで揃えています。パワーアップした新しい彩子に、今週地元での開幕戦への期待がかかります。