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米女子ツアー開幕。宮里藍66位と苦戦。 さくらは?日本勢に手厳しく、今年も強い韓国勢!

昨季、賞金シードから外れた宮里藍。米ツアー10年目を迎える今季は正念場だ。
昨季、賞金シードから外れた宮里藍。米ツアー10年目を迎える今季は正念場だ。

開幕の遅い日本をよそに、今季のゴルフも米ツアーから始まりました。男子ツアーに続いて女子ツアーも、1月28日から米フロリダ州オカラでの新設大会、コーツ選手権で開幕しました。日本にもおなじみ、美人のチェ・ナヨン(韓国)が通算16アンダーで米ツアー3季ぶりの逆転優勝。トップ10に実に5人の韓国選手が名を連ね、さらに13位には昨季3勝して賞金ランク2位の朴仁妃(パク・インビ)、同14位に李・ミリムと、層の厚い韓国勢の強さを今季も開幕戦から見せつけました。日本からは29歳の横峯さくらが初めて本格参戦。昨季不振だった同い年の宮里藍や宮里美香の復活はなるのでしょうか?米国の今季女子プロ事情はー?

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29歳にして初の米ツアー本格参戦の横峯さくら。同期の藍ともども勝負の年だ。
29歳にして初の米ツアー本格参戦の横峯さくら。同期の藍ともども勝負の年だ。

米女子ツアーの日本勢は、12年に宮里藍が年間2勝、宮里美香は米ツアー初優勝して日本ブームを作って以来、さっぱり気勢が上がっていません。13、14年と両宮里とも未勝利。上田桃子は13年を最後にシード権を失って14年からは日本へ復帰。有村智恵もまったくいいところがなく、今季はQTにも失敗して出場機会はグンと減りそうです。わずかに米ツアー3年目の上原彩子(31)が昨季賞金ランク64位。2年目の野村敏京(22)が昨季ランク47位でこの二人がシード権をキープして今季に臨むのが現状です。

開幕戦に出場したのは宮里藍、宮里美香、上原彩子の3人。初日、2日目と連続して日没サスペンデッドになる悪条件でしたが、美香は2日目には34パットという不調で通算6オーバー。上原彩子もショット、パットともに冴えがなく、通算11オーバーでともに予選落ち。ただ一人1アンダー24位で決勝に進んだ藍も、決勝ラウンドでは課題のパットが入らず、3日目は最終ホールでとった1バーディーだけで33パットで35位に後退。最終日は、連続池ポチャなどダブルボギーを4度も犯す大荒れ。79とさらに崩れて通算7オーバー、66位で初戦を終わりました。

12年の米ツアー初V以来、鳴かず飛ばずの宮里美香。25歳の今季、復活なるか?
12年の米ツアー初V以来、鳴かず飛ばずの宮里美香。25歳の今季、復活なるか?

昨季、賞金ランク86位で賞金シード(80位まで)を外れた藍の今季の課題は、一にも二にもパッティング。オフの練習で父親・優さんが持っていたオデッセイの古い2ボールパターに好感触を得て自分も10年ぶりにこのパターの投入を決めていました。初日には10㍍のロングパットを決めるなど、手応えを感じていたようですが、決勝ラウンドに入ってからはショットがぶれ始めてスコアメイクができないままで終わりました。「オフから集中的に練習してきたパットに少しはいいものが出てきた。ラインの読みがイマイチでしたけど、ストロークは悪くなかった」と、自分に言い聞かせるように試合を振り返っていましたが、笑顔はありませんでした。

パットが少しいいと、今度はショットがぶれるー。スコアがまとまらないーゴルフはなかなか難しいですが、これからの試合でどこまでショット、パットのかみ合わせがよくなってくるか。最終日は、″裏街道〝の10番スタートの1組目で回ったたため、後半は大勢のギャラリーを引き連れた最終組を後ろから見ながらがらのラウンドでした。「自分もパットが戻れば、あの位置にいられる」と、苦しい心境をもらしていましたが、この屈辱も藍の胸に大きな刺激となったことでしょう。

米ツアー10年目の藍は、7月には30歳を迎えます。なかなか前途は多難ですが、同じ29歳で結婚を期に初めて米ツアー本格参戦を決意した横峯さくらは初戦から、米ツアーの厳しい洗礼を浴びました。
昨冬12月、最終予選会(QT)に挑戦。″ほとんどの試合に出られる〝という「20位以内」の11位でQTを通過。新婚の夫(森川陽太郎さん=33歳)とともに意気込んで渡米。開幕戦に臨もうとしたところ、「開幕戦120人の枠に入るには、優先出場順位は6番目でウエイティング(空き待ち)」といわれて大慌て。別ルートの開幕戦用のマンデー予選にトライしましたが、「2人枠」の狭き門は突破できず(17位)。有村智恵とともに本戦出場はかないませんでした。

今季米女子ツアー開幕戦で3季ぶりに逆転優勝したチェ・ナヨン(韓国)
今季米女子ツアー開幕戦で3季ぶりに逆転優勝したチェ・ナヨン(韓国)

「QTを通ってくれば、全部の試合に出られると思っていたので・・。まさかマンデーに出るとは・・。風邪ぎみだったりして″2人枠〝に入るのはムリでした」とさくら。開幕戦などは欠場者もほとんどなく、QT組には厳しい掟があったのです。第3戦の「ISPSハンダ女子豪州オープン」(豪・ロイヤルメルボルンGC)になって初めて出場可能になるようですが、これとて遠く豪州までの遠征です。日本とはなにかとスケールや勝手の違う米ツアーの環境で、心おきなくゴルフができるのには時間がかりそうです。

今季の米女子ツアー、日本勢の焦点は横峯さくらと宮里藍、29歳コンビの動向です。「とりあえず1年勝負」というさくらは、悠長なことはいっていられず、早い時期での1勝を目指しています。飛距離や度胸では外国選手に負けていないさくらですが、異国での「優勝」となると高いハードルを越えなければなりません。

米女子ツアーの開幕戦をみますと、優勝したチェ・ナヨンはじめ、韓国勢の強さはハンパではありません。3位にはジャン(張)・ハナ、5位にはエイミー・ヤン、8位タイにユ・スンヨンとリュー・ソヨンと、トップ10に5人が名を連ね、スコアでは軒並み2ケタアンダーです。12、13年の連続賞金女王になった朴仁妃も上位にいます。開幕戦で上位50人中、13人が韓国選手です。日本で戦っている韓国選手とはまた別の選手たちなのですから、韓国勢の層の厚さには驚かされます。

米女子ツアー開幕戦13位スタートの朴仁妃(パク・インビ)。2年連続賞金女王のあと、昨季も賞金2位と韓国のエースだ。
米女子ツアー開幕戦13位スタートの朴仁妃(パク・インビ)。2年連続賞金女王のあと、昨季も賞金2位と韓国のエースだ。

藍・さくらの″両エース〝には奮起をうながすしかありませんが、25歳の宮里美香、22歳の野村敏京への期待も少なくありません。特に高校卒業と同時に、日本ツアーを飛び越えて米ツアーに挑戦してもう7年目になる美香です。12年に22歳で米ツアー1勝したあと2勝目が遠いです。昨季はトップ10入りもなく、賞金ランク91位はひどすぎました。12年はトップ10に入っていた世界ランキングも83位にまで落ちています。今シーズンは新たにトレーナーと契約。オフは走り込みなど、シーズンを通して戦える体力作りに専念しました。練習本拠にしている米フロリダのIMGアカデミーでは、テニスの錦織圭と親しい練習仲間。錦織の全豪ベスト8入りには大きな刺激を受けたようです。美香の開幕戦は「とにかくチャンスがきてもパットが入らなかったストレスがたまった」と嘆いていました。そろって予選通過がならなかった上原彩子ともども奮起が必要です。

世界では、昨季17歳で3勝。賞金ランク3位で最年少最優秀新人賞を獲得した韓国生まれのリディア・コ(ニュージーランド)が、開幕戦でも1打差2位の好スタートを切っています。史上最年少で世界ランキング1位に上がってくるなど、若い力の台頭も見逃せません。米女子ツアーは、これから11月下旬まで長丁場の33試合。日本勢にはなかなか手ごわい15年シーズンになりそうですが、なんとか朗報を待ちたいものです。