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新時代のニューチャンプ・星野陸也(22)の今後は? 難コース富士桜をオール60台で制した実力!

 

ツアー本格参戦2年目で、難コース富士桜を制した堂々の初優勝・星野陸也(フジサンケイ・クラシック)

次々出現する男子ツアーの初優勝者!今度はツアー本格参戦2年目の超飛ばし屋・星野陸也(22)が、ついにやりました。男子ツアー屈指のロングコース「富士桜CC=7566ヤード、パー71」(フジサンケイ・クラシック)を征服、4日間60台の通算16アンダー。2位を5打差ぶっちぎる快挙でした。今季の男子ツアー13試合を消化して初優勝者(日本人)はこれで5人目。186㌢の長身から300ヤード超のビッグドライブを飛ばすこの新星。近い将来国内の賞金王はもちろん、海外メジャーにも切り込んでいけるすご腕の勝ちっぷりで驚かせました。

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星野陸也(りくや)ー「大陸のようにスケールの大きい人間に育って欲しい」ーベストスコア72の父がつけてくれたその名前。グングンと頭角を現してくる陸也をみていると、まさに前途は洋々たるスケールを感じさせます。幼少時はゴルフのほか、水泳、サッカーのスポーツから、ピアノ、ギターの音楽までを修得し、感性を磨きあげてきた若者です。その英才教育に乗せられて″本命〝のゴルフの腕は間違いなく階段を登ってきました。

300ヤード超のロングドライブが武器!新時代のヒーロー星野陸也(フジサンケイC=山梨・富士桜CC)写真提供:いずれもJGTO

茨城・笠間市の生まれ。片山晋呉らを輩出したゴルフの名門・水城高では2、3年のとき関東ジュニアを連覇して非凡さを見せつけました。石川遼とは小さいころから親交があり、春の合宿には同行して遼を兄貴分と慕う仲。いまでは遼と同じ所属事務所に属しています。日大に進学したあと、2年の6月に中退(16年)。その年のQTファイナルでは、6日間60台を出してトップ通過。QT1位で臨んだツアー1年目の17年は、チャレンジ(下部ツアー)開幕戦でいきなりプロ初優勝。ツアーでは優勝こそなかったもののトップ10に6回顔を出して賞金ランク31位。1年目でシードをキープしました。昨季のドライビングディスタンスは294.18ヤードで9位(日本人だけなら3番目)。陸也への注目度は高まる一方でした。

飛ばし屋の陸也には大チャンスの富士桜。ドライバーは300ヤードを超え、260ヤードを6番アイアン、180ヤードを52度のウェッジで打つ星野ですが、ただ飛ばすだけではありません。1Wを置いて3Wで攻めるホールも多く、クラブ選択などのマネージメントを自在に操る柔軟性を持っている選手なのも魅力です。
初日、68で1位に立つと、その位置を連日キープする粘りがありました。3日目はベストスコアの66を出して2位との差を「5」に広げての最終日。一時は重永亜斗夢らに3打差と迫られる場面もありましたが、崩れませんでした。中でも10番(490ヤード、パー4)では左の林に曲げ、セカンドでグリーンを捉えられずグリーン手前25ヤードからからの3打目アプローチ。「52度がちょっと強めに入ってしまって″頼む〝と思っていたら、ピンにガシャと当たってストンとカップに落ちた。本当に奇跡的に入ってくれた。優勝するときは、こんなことも・・と思いましたね。あれで流れが変わった」(星野)。それをきっかけに勝負のバックナインで5個のバーディー。最終18番はボギーでも「5打差」をつけたままでのホールアウトでした。

 

若手グループの一人、重永亜斗夢も3打差まで星野陸也を追ったが、陸也に振り切られて3位(フジサンケイC=富士桜CC)

グリーンサイドで見守っていた両親。駆け寄った父親・宏さんと抱き合ったとたん「泣かないだろうと思っていた」両目から、熱いものが噴き出しました。「小さきときから育ててもらって・・。気がついたら涙が出てました」(陸也)。

☆2年目のツアー初優勝。星野陸也のコメントは?

「優勝は意識しないようにと思ってやった。意識すると僕はメンタルに弱いので・・。周りを気にしないでアンダーかイーブンで回ればいいと思っていた。(重永)亜斗夢や木下(稜介)さんが前半バーディーとってきて、5打差があっという間に3打差になった。8番で自分がパーを拾えなかったらもっと縮まったですね。10番のチップインでホント、流れを変えました。それで17番のバーディーで″これで決まった〝と思いました。富士桜でこんないいスコアで勝てて自信になります。(賞金ランク3位にアップ)しっかり成績を残して賞金王にもなりたい。それを狙えるように頑張ります。海外にも早く行きたい。日本ツアーで経験を積んで。僕は身長があって飛距離は出ていると思ってるけど、それを活かせるクラブをもっと学びたい。今年、全米オープンに行けた(予選落ち)のも、すごく勉強になった。今年の目標が、ツアーで優勝すること。メジャーに出ること、と決めていたので、この2つをこんなに早く達成できてうれしい。いずれはマスターズか全米オープンに一番勝ちたいですね」

今平周吾も最終日「66」で星野陸也に迫ったが、5打差の単独2位に終わった。

この5月、3人枠を争う全米オープン日本地区最終予選で次点(4位タイ)だった星野は、大会直前に繰り上げ初出場が決まり、ドタバタで渡米(ニューヨーク・シネコックヒルズGC)。大会は2日間で予選落ちとなりましたが、「夢の舞台」での経験は大きな財産になりました。「経験不足。疲れて集中力もなかった。もっと強い筋肉をつけ、体力を増強することも、クラブを振るのと同じくらい大事なのが分かった。体重も85㌔(現在76㌔)くらいにはしないと・・」と初出場の感想でした。この夏にはツアー外の競技、札幌オープンでは優勝を果たし、ついにはツアーでの初優勝につなげました。明暗さまざまな体験が、若い陸也をどんどん大きくしていくようです。いままで特定のコーチにはつかず、ロリー・マキロイやフィル・ミケルソンら世界のトッププレーヤーの動画を見て研究するのが好きだという。

今季はツアー初優勝の選手が次々と出てきます。重永亜斗夢(22)=東建ホームメイト杯=、秋吉翔太(27)=ミズノ、ダンロップ・スリクソン福島=、市原弘大(36)=日本ツアー選手権=、出水田(いずみだ)大二郎(25)=RIZAP・KBC=。そして星野陸也・・。中でも一味違った飛ばし屋・陸也の行く先は?新しい時代の新しいチャンプは、興味深々です。

(了)