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勝つことの難しさを知って大成できるか、柏原明日架(23)。プロ6年目の初栄冠!

長身の本格派・柏原明日架がプロ6年目でようやくベールを脱いだ。

プロ6年目、″大物〝とうたわれ″優勝は時間の問題〝といわれ続けた柏原明日架(23)が、ようやくツアー初優勝です。ミヤギテレビ杯ダンロップ女子(宮城・利府GC)、4位から出た最終日、7バーディーを奪って(3ボギー)68。比嘉真美子、辻梨恵を下す通算10アンダーの逆転優勝で涙、涙・・。7歳からゴルフを始め、父の英才教育のもとアマチュア時代(宮崎・日章学園高)は数々の栄冠を手にし、14年プロテスト1発合格した柏原明日架。日本女子オープン(15年)、ヨコハマタイヤPRGR(16年)、Tポイントレディス(16年)など、初優勝を目前にしながら涙を飲んだ日々。世は黄金世代といわれ、若年女子の活躍で湧く女子プロ界。その一つ上の世代で焦りもあった本格派・明日架が、ついにベールを脱いだこれからが、見ものです。

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好きな色は「黒」だという柏原明日架。その黒装束で快打を飛ばす。

171㌢、63㌔。日本の女子ゴルファーとしては他にヒケをとらない堂々の体躯。長身から繰り出す飛距離もAクラス。18年度の部門別では244.59ヤードのドライブディスタンスでランク14位。自他ともに許す 飛ばし屋で通っています。それなのにプロになってからの明日架に勝ち運が巡ってきませんでした。ここというところでのパットの″弱さ〝も災いしていたかもしれません。今季は平均パット数(1ラウンド当たり=28.80)で1位(9月29日現在)と驚く成長をみせていますが・・。ツアー2年目の16年。ヨコハマタイヤPRGRでイ・ボミ(韓国)、飯島茜、明日架の3人プレーオフ。1ホール目に決めれば明日架の優勝だった1.5㍍のバーディーパット。この下りのラインを外し、4ホール目のイ・ボミのバーディーで勝負を決められました。次週のTポイントでは最終日67と追い上げたのですが、大詰の17番で2㍍のバーディーチャンスをモノにできず、1打差の2位(優勝:大江香織)に泣きました。なんといってもハイライトは15年の日本女子オープンです。最終日首位タイで迎えた大詰の17番(パー3)。8番アイアンのショットをグリーン左前の池に落とし、痛恨のトリプルボギー。国内メジャー初の10代優勝を逃がしたあの1打です(4位タイ)。「あのシーンは何度も夢に出てきた」(明日架)といい、それ以来、どの大会でも左に池があると過剰に反応して腕がすくんだという。

 

平均飛距離は女子プロツアーでもAクラスだ。

あれから4年。今季はこれまで28試合に出場してトップ10は4回。予選落ち6回(棄権1)。最終日のこの日、2位に4打差をつけていましたが、15番のパー3では左の池に目がくぎづけになりました。しかし、明日架は逃げませんでした。160ヤードのグリーン目指して、振り抜いた7番アイアン。ボールは見事に池をクリアしました。グリーンはこぼしましたが確かな手応えでパーをセーブ。長かった悪夢を振り切り、初優勝をたぐり寄せたのです。最終18番グリーン。2打差リードでのバーディーパットは1.5㍍オーバー。そのウィニングパットは真ん中から沈めました。そこに見えていながら何年も手が届かなかったプロ初タイトル。
「本当に長かったです。最高の瞬間を迎えられました」(明日架)ー勝負師の目から涙があふれ出ました。故郷宮崎の先輩、大山志保から「(大事なのは)1勝目の早さではないよ」と教えられていた言葉が、ずしりと心に響いていたという。

 

黄金世代で賑わう女子ツアー。ファンの目が集まる渋野日向子のショット。

柏原明日架のプロゴルフ人生はこれからが本番のスタートです。たぐいまれなゴルフの資質。恵まれた体躯や環境。ややもすればひ弱かった?ハートの部分を、これからはもっともっと図太く鍛えていかなくてはならないでしょう。最愛の母(友美さん=47)がほとんどの試合傍に寄り添って、食事の世話から車の運転などサポートを続けています。優勝スピーチでは「両親やコーチ、すべてに支えてくれた人に少しは恩返しができてよかった」と、涙を抑えて話しました。
いま女子ゴルフは渋野日向子ブームに沸き、米ツアーで戦う畑岡奈紗や、次々と出てくる若手軍団の華やかさに溢れています。そこへ割って入ってきた23歳の本格派・明日架。初勝利のあと、どんなゴルフをみせてくれるか。注目です。

(了)