ハワイの惨敗は良薬か?!宮里優作、小平智。海外挑戦を増やす賞金王と賞金2位

マスターズ出場の夢を追って、3月末の「世界ランク50位以内」を目指す小平智。
マスターズ出場の夢を追って、3月末の「世界ランク50位以内」を目指す小平智。

宮里優作、小平智、片岡大育ら日本勢5人がハワイでのソニー・オープン(ホノルル・ワイアラエCC)で始動しました。期待がかかった国内賞金王・宮里と賞金ランク2位の小平はあえなく予選落ち。苦しい18年のスタートになりました。注目のこの二人、今後4月のマスターズに向けてのプランは?マスターズ切符を持っている優作はアジア、欧州ツアーなどで腕を磨き、世界ランク51位に押し出された小平は、最後のマスターズ出場枠「3月25日の世界ランク50位」への復帰を目指してアジアツアーや豪州ツアーにトライします。シーズンオフを返上した二人の厳しい戦いが始まりました。

 

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昨季、最終戦で宮里優作に逆転されるまで国内賞金ランクトップを走っていた小平智(左)。右は同組になった石川遼(昨年11月、三井住友太平洋=御殿場コース)
昨季、最終戦で宮里優作に逆転されるまで国内賞金ランクトップを走っていた小平智(左)。右は同組になった石川遼(昨年11月、三井住友太平洋=御殿場コース)

宮里優作(37)、小平智(28)二人の明暗は、昨年末、日本ツアーが閉幕した後のインドネシア・マスターズ(アジアツアー)で決まりました。マスターズ出場資格の一つ「年末の世界ランク50位以内」を巡っての激戦。枠外にいた優作がこの試合で4位に入り土壇場で「50位」に滑り込み、インドネシアを欠場した小平は圏内から51位に押し出されたのです。国内賞金ランク1位にいた小平は、最終戦の日本シリーズJT杯でも優作の優勝により賞金王のタイトルを逆転で持っていかれました。相次ぐ″優作旋風〝に足元をすくわれた小平は「年内にマスターズを決められなかったのが悔しい」と、唇をかんだそのリベンジに燃えてのハワイだったのですが・・。

今季は海外試合を多くこなすという宮里優作。初戦、ハワイでのソニーOPは予選落ちしたが、すでにマスターズの出場権は持っている。
今季は海外試合を多くこなすという宮里優作。初戦、ハワイでのソニーOPは予選落ちしたが、すでにマスターズの出場権は持っている。
昨季は選手会長で賞金王になり、国内での話題を独り占めした宮里優作。さて今季は?
昨季は選手会長で賞金王になり、国内での話題を独り占めした宮里優作。さて今季は?

 

マスターズ最後の出場資格取得は3月25日時点での世界ランク50位以内です(マスターズは4月5~8日開催)。夢のマスターズ出場資格を年内に獲得できなかった小平は、新年あと2ヵ月半のうちにどこかでポイントを上げなくてはなりません。国内の試合はそれまでないので海外にチャンスを求めるしかありません。12月24日に女子ゴルフの古閑美保(35)と挙式したばかりの小平。ハワイでの今年初戦は、新婚の夫婦で乗り込んできましたが、初日75で144選手中142位。2日目も連続75の大たたきで最下位143位で予選落ちでした。
「ドライバーが曲がって話にならない。僕はドライバーで生きてる人間なのでスコアにならない」と、嘆きながらも「でも僕はまだ20代。もし(マスターズに)出られなくてもいつかチャンスはある」と、自分に言い聞かせるようにコメントしました。3月末までにはまだ時間があります。この後はシンガポール、ミャンマーで日本ツアーの海外開幕2試合に出場。2月はオーストラリアの「ISPSハンダ・ワールドスーパー6パース」へ。3月も米、欧などでの試合を求めて挑戦するつもりです。世界賞金ランクは現在51位ですから、50位以内へ上げるにはあとひと踏ん張りです。もちろん逆にランクを下げる場合もありますが、チャンスは最後まで残されています。

国内の男子ツアー、(日本ツアー選手権=宍戸ヒルズ1番ティー)
国内の男子ツアー、(日本ツアー選手権=宍戸ヒルズ1番ティー)

選手会長を2年間務め、今年からは石川遼にバトンを渡した宮里優作は、かねてから思いを秘めていた海外進出に本腰を入れる構えです。「とりあえず4月中旬の国内ツアーが始まるまでは、海外を渡り歩きたい」(優作)と、海外意欲をあらわにしています。昨年暮れ、逆転賞金王獲得で世界ランクを50位に上げ「マスターズ出場資格」を早々とつかんでからはさらに海外への思いがつのっているようです。

ハワイの後、手始めは日本とアジアツアー共催の「SMBCシンガポールOP」「レオパレス21ミャンマーOP」です。続いて欧州・アジア共催の「メイバンク選手権」、「ISPSハンダ・ワールド・スーパー6パース」に参戦予定と多忙なスケジュール。

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「ソニーオープンINハワイ」で出場5人の日本選手のうち、予選を通過して健闘した2人。片岡大育と今平周吾。
「ソニーオープンINハワイ」で出場5人の日本選手のうち、予選を通過して健闘した2人。片岡大育と今平周吾。

米ツアーよりも出場機会が多い欧州ツアーを狙った優作プランです。「米ツアーは世界ランキングをもっと上げないと推薦してもらうにしても難しい」との計算。昨季は谷原秀人が欧州ツアーへのスポット参戦を続けて欧州ツアーの年間総合ポイント27位に入ったケースをモデルにしているそうです。優作はすでに海外メジャーの「マスターズ」をはじめ「WGCメキシコ選手権」(3月1~4日)、「全英オープン」(7月19~22日)などの出場権を持ち、これらは米ツアーだけでなく欧州ツアーの年間ポイントにも加算されるので活躍次第では大きな資格をゲットできる可能性を秘めています。こうした夢が選手会長を降りる理由にもなったようです。

気合を入れた今年初戦「ソニーOPinハワイ」は、2日間5オーバーであえなく落選。5年連続10回目のハワイでしたが、6回目の予選落と苦手な舞台。賞金王にもなった今年の優作には期待もありましたが、やっぱりダメ。「自分には難しいコース。セカンドが全部ひっかっかる。イメージと全然合わない。パットも読めてきたようだったのに、やっぱりひと筋違うのが多かった」と悔やむことしきり。「早くこの結果は忘れたい」と、コースをあとにしました。

目的はやや違いますが、ともに今季は海外試合を増やす優作、小平のご両人。国内ツアーでも大きな期待がかかる二人です。ハワイでの初戦敗退が良薬となりますか!?

(了)