女子ツアーにまた黄金世代旋風!″万年2位〝のカラをついに破った小祝さくら(21)初Vの実力は!

 

″万年2位〝を返上、ようやく初Vを挙げた小祝さくら。

″黄金世代〝から8人目の優勝者です。今季では20試合中7試合が同世代の優勝。女子ツアーの世代交代は急速にその輪を拡げています!ツアー本格参戦2年目の小祝さくら(21)がサマンサタバサ・レディース(茨城・イーグルポイントGC)最終日、2打差2位から出て7バーディー、ボギーなしの65で回り、強敵イ・ミニョン(韓=27)を逆転。大会新の17アンダーで待望のツアー初優勝を飾りました。ルーキー1年目の昨季は、初優勝こそなかったもののトップ10フィニシュは13回で賞金ランク8位。今季も19試合すべてに出場してこれまで6回のトップ10入り。″万年2位〝のカラをついに破った小祝は、今季賞金ランク11位まで上昇。秘めた実力をみせつけて、黄金世代の最上位プレーヤーへ一気にのし上がってきました。

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安定したドライバーが小祝さくらの主武器だ。

3日間合計で18バーディー、1ボギーと完璧なゴルフ。しかし、あくまで冷静な21歳の小祝。最終日、バックナインで逆転、トップに立ちながら強敵イ・ミニョンの反撃にも少しもたじろぎませんでした。14番でイ・ミニョンがバーディーを奪い、16アンダーとして1打差で追ってきます。残る大詰めは4ホール。小祝はショットを乱すこともなく、淡々とパーセーブを続けて″1打差〝を守りきりました。イとの一騎打ちの大勝負がかかった最終日にノーボギーの「65」を出したゴルフは、ツアー2年目のルーキーとは思えない落ち着きでした。
18番、約6㍍のウィニングパットを2パットパーで収めたさくらは、「ガッツポーズもちょっと考えましたけど、どういう感じでやったらいいのか、よくわからなかったのでいつも通りのフィニッシュでした」と、派手なポーズもみせず、初優勝の喜びをひた隠しました。「追う立場だったので、とにかくピンを狙っていくことだけを考えてプレーしました」という通り、小祝のドロー系のショットは、正確にグリーンを捉えて最後までぶれませんでした。

 

道産子・さくら、21歳でプロ初勝利。明るい笑顔がまぶしい。

北海道・北広島市出身。8歳のころ、宮里藍のファンだった母親・ひとみさんの影響でゴルフと出会いました。小学生のころから厳しかった母親の指導を受け、高校時代に「覚悟を決めて」プロを目指すようになったとか。14年に北海道女子アマに優勝。16年にはニッポンハム・レディス8位でローアマを獲得。17年7月のプロテストで勝みなみ、新垣比菜、松田鈴英(レイ)、吉本ひかるらとともに合格(小祝は最下位の19位タイ)。その春高校を卒業した「黄金世代」と呼ばれる11人が合格者の半数を占めたプロテストでした。

 

黄金世代を代表する実力派・小祝さくら。ニュースターの座へまっしぐら!

小祝のゴルフはプロ入り当初から輝きを放っていました。18年のツアーでは、13回のトップ10。そのうち中京テレビ・ブリヂストン、センチュリー21、ゴルフ5、樋口久子三菱電機と4試合も2位に入りながら勝てませんでした。特にゴルフ5では申ジエ(韓)とのプレーオフに敗れたもので、初優勝は手の届くところまできていたのに、涙しました。その活躍で18年度のLPGAアワードでは、新人賞、敢闘賞のダブル受賞と高い評価。今季も前半戦6度のトップ10入りをしながら、初優勝に届かないはがゆい戦いが続きました。しかしその数々の″逸勝〝の中で、小祝のゴルフは着実に力を蓄え進化を遂げたといえます。サマンサタバサでみせた盤石な強さは、満を持しての堂々のものでした。

 

小祝さくらに最終日逆転されたイ・ミニョン(韓)。強敵だけに価値ある小祝のVだった。

辻村明志コーチから″強い意志で戦わないと勝てない〝とさとされて臨んだ最終日。
「きょうは絶対7アンダーで回ると決めていました。イメージ通りにナイスプレーができて優勝できたのですごく嬉しい。自分的にはドライバーが得意。一番曲がらないクラブなので、ドライバーショットを軸にしてゴルフを組み立てている」という。サマンサタバサでもドライバーを駆使した小祝の平均飛距離は242.80ヤード(22位)。特に飛ばし屋ではありませんが、精度の高いドライバーを武器にする小祝のゴルフは、攻撃的に見えるのもこのせいでしょう。

黄金世代(98年4月~99年3月生まれ)の優勝者は、これで8人目。今年だけでは5人目で7勝(河本結、勝みなみ2回、渋野日向子2回、原英莉花、小祝さくら)。勝みなみが14年に高1、15歳でKKT杯バンテリンに勝って以来、16年には日本女子オープンを制した畑岡奈紗の出現で火のついた黄金世代の大きな波。いまではさらに次の世代が台頭してきている女子ゴルフ界です。

黄金世代をリードしてきた勝みなみ。今季はすでに2勝している。

「去年まではピンチのときになかなかパーセーブができなかったけど、今年はピンチでもパーで凌げることが多くなった。同世代が頑張っているので、自分もがんばらなきゃと思いながらプレーしてきた。去年は予選落ちも多かったので今年はそのリベンジもしたい。毎週、いろんなコースで戦略を考えながらやるのも楽しいです」と、1戦1戦メンタル面でも進歩していく自分のゴルフをみつめる小祝です。

17年のプロデビューから通算61戦目。優勝賞金1080万円のほかに、副賞のベンツ。サマンサの女性用商品、美容器具各100万円ずつが贈られた女性にはうれしい大会。黄金世代を代表する実力派・小祝さくらに待望の「春」がきました。

(了)