Author Archives: 向田遥菜

最後まで攻め抜いたスマイル・シンデレラ!渋野日向子(21)。1億6000万円の貫禄。賞金女王・鈴木愛(25)!

今季、国内女子ツアーを沸かせた渋野日向子。シャープなショットが人気を呼んだ。

全39戦、最終戦まで激戦だった女子ゴルフツアーは、 シーズン7勝を挙げた鈴木愛(25)が、迫る渋野日向子(21)らを抑えて2度目の賞金女王を獲得しました。最終戦「ツアー選手権リコー杯」(宮崎・宮崎CC)、優勝なら逆転賞金女王をつかめたツアー1年目の渋野は、2アンダー70で回り、4打差の2位タイ。68の鈴木愛は5位タイながら三つ巴の渋野、申ジエの順位がいまひとつ上がらず、″年間7勝〝の鈴木愛が獲得賞金1億6018万9665円で2年ぶりの女王に返り咲きました。2位に入った渋野は約757万円及ばず1億5261万4314円で女王こそ逃がしましたが、1年前は″無名〝で獲得賞金はゼロ円。プロ1年目にしてAIG全英女子オープンに優勝、国内4勝を挙げたシンデレラ物語を演じきりました。最終戦の優勝は、日本ツアー参戦1年目のペ・ソンウ(25=韓)が通算11アンダーで今季2勝目。黄金世代の大躍進に沸いた今季の国内女子ツアーは、歴代3位の1試合平均1万7509人の観客を集め女子ゴルフ全盛を誇っています。

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常に笑顔を絶やさない″シブコ〝には毎試合大勢のギャラリーが集まった。

年間39試合の長丁場、最終戦の最終18番まで賞金女王の行方が決まらない白熱の女子ツアーでした。「(年間)7勝もして、賞金女王をとれないなんてありえない。負けたら恥ずかしい」と、本音を漏らしていた鈴木愛。終盤11月に入り、トーナメントは残り5試合となってから3試合連続優勝(樋口久子・三菱電機、TOTOジャパン、伊藤園)は強烈でした。9~10月と腰痛、左手親指痛、手首痛などで約1ヵ月半の休養をとったあとの復帰連勝。2017年以来2年ぶりの女王も間違いなしかと思われました。そこへ割って入ってきたのが渋野。残り2試合の大王製紙エリエールでの優勝。しかも最終日、女王争いをする鈴木愛との同組対決で66を出し、激闘を1打差で制しました。優勝賞金1800万円を加えた渋野は、鈴木愛に1511万円差(賞金3位)と詰め寄り、最終戦「ツアー選手権」での対決に持ち込んだのです。2位には強敵・申ジエがいるというまさ
に三つ巴戦でした。

 

2017年以来2年振り2度目の賞金女王・鈴木愛。約1億6000万円を稼いだ。

優勝賞金3000万円と高額のメジャー最終戦。賞金女王の行方は複雑で、渋野の逆転女王は、自力ではムリ。鈴木、申より上位に入る単独2位以上が前提。優勝しても鈴木が2位タイ以下などが必要。トップにいる鈴木は、渋野が優勝しても単独2位なら女王となるーといったもの。苦しくなった心境に鈴木は「だれか違う人、優勝して!」と賞金ランク2位の申、3位の渋野以外の優勝を願う″他力頼み〝の発言が聞こえたりもしました。

年間7勝もしながら、最後まで苦しめられた鈴木。しかし、愛ちゃんの底力はさすがでした。最終戦、得意のパットが入らず苦しんだ3日間でしたが、最終日はようやくふっきれました。この日イーブンで迎えた9番。1.5㍍のバーディーパットを決めるとそこから3連続バーディー。さらに2バーディーを加え、15番をボギーにした渋野を捉えて一時は2位タイまで浮上。2度目の女王を決定ずける粘り腰をみせました。渋野は最終18番でとりかえして7アンダー。アマからプロ転向したばかりの古江彩佳とともに2位タイ。独走したペ・ソンウ(韓)が、通算11アンダーと伸ばしてホールアウトした時点で、さきに上がっていた鈴木の2度目の賞金女王が決定しました。
「賞金トップに立ってはいたけど、ある程度はいい成績を収めてないと、もしかしたら負けちゃうかもしれないと思って、ティーに立ったときはドキドキしました。申ジエさんと渋野さんの追い上げも怖かったですね。イライラしてキャディーさんに当たったこともあった。前の賞金女王のときも緊張したけど、あの経験があったからこそ、2回目は嫌な気持ちが倍増しましたね。オフはヒマがあったらディズニーランドに行きたいです」

賞金レースを引っ張ったが終盤、鈴木愛のチャージにかわされた申ジエ(韓)。最後は渋野日向子と三つ巴戦も賞金ランク3位にとどまった。

☆最後まで″逆転女王〝への興味を繋げてくれた渋野日向子のコメント。

「長い1週間でした。最後の最後のバーディーですっきりしました。最終ホール、きょうイチのドライバー。セカンドは5番アイアンでダフッてグリーンに乗せた。バーディーパットも決まって(2.5㍍)本当にいい終わり方。悔いはありません。2位タイは1年よく頑張ったと神様が与えてくれたご褒美。″まだ1位は早いよ〝の試練だったかも。賞金女王にはなれませんでしたが、悔しさはないです。いろんなことがあった1年がやっと終わりました。あとは高校(岡山・作陽)のクラスメートが、祝勝会しようといってくれてるので、みんなで集まるのが楽しみ。たくさんの人に支えられて、感謝しかありません。これからのゴルフ人生に生かしたいです。オフになったので(右の)親知らずを抜きます。悲しいクリスマスになりそう。いま、すっごくお腹すいてるんで、濃いらーめんが食べたいです(笑)」

 

黄金世代の大躍進などで盛況を極めた女子ツアー(スタート前、選手紹介でギャラリースタンドに一礼する申ジエ)

昨年のプロテスト。合格21人のうち14位でパスした新人が、ツアー1年目でドでかいことをやってのけました。大ブレークした2019年。一言で表現するなら「謎」といって大笑いしました。来季からまた続く洋々としたシブコのゴルフ人生。2月のホンダLPGAタイランド。翌週のHSBC女子世界選手権(シンガポール)と、米ツアーで始動します。外国勢が強かった最近の国内女子ツアーですが、今季は39戦中日本勢は29勝、海外勢10勝と″逆転〝 でした。鈴木愛の7勝はじめ黄金世代の大躍進が日本勢に力をつけました。来季もレベルの高い女子ツアーの戦いを期待したいものです。

(了)