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同世代対決で今回も“失速”したシルバー・コレクター蝉川泰果。 安定感もパワーも増した平田憲聖のゴルフに及ばず!

 

同世代対決にまた敗れた蝉川泰果。シルバーコレクター?どうして?

ともに2000年生まれの同学年ライバル・蝉川泰果(23)と平田憲聖(23)。兵庫出身、東北福祉大出の蝉川。大阪出身・大阪学院大出の平田。同じ関西育ちでジュニア時代からの意識し合った好敵手2人が「長嶋茂雄招待セガサミー・カップ」(北海道・ザ・ノースカントリーGC)でツアーでは初めて最終日最終組での対決でした。蝉川は、最終日3打差3位からの平田追撃でしたが、最後は5打差5位タイと差を広げられての敗戦。平田は昨年7月「日本プロ」(北海道・恵庭)以来のツアー3勝目で、格別な今季初勝利。優勝も狙える位置にいながらまたも勝てなかった蝉川の悔しさは人一倍です。先週の「日本プロ」では1年下の日大出、杉浦悠太(22)に1打差の2位で泣いたばかり。夏7月を迎えてもまだ今季の白星がありません。昨季は「ゴルフ日本シリーズJT杯」のメジャーなど2勝を挙げ賞金ランキング2位に座った男です。“いったい、どうした!タイガ”との声が高まっています。

 

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「やったぞ!」ウィニングパットを決めてガッツポーズ・平田憲聖。安定感とパワフルゴルフを身ににつけてツアー3勝目。

300ヤード超の飛ばし屋・蝉川。“イケイケゴルフ”の攻撃型です。それだけイーグルチャンス、バーディーチャンスは多いですが、飛ぶだけにショットが曲がるリスクも背負っています。大事なところでショットが曲がると、アイアンの精度やメンタル面が強いパットにまで影響を及ぼします。前週の「日本プロ」でも終盤の勝負どころでのパットが決まらず“1打差”に泣きましたが、今回も第1打を深いラフに入れてショットが乱れ、パーをとるのがやっとという苦しいゴルフも。一方では、昨年に比べ一段と飛距離を伸ばした平田の“パワーゴルフ”がスコアメイクにつながったというのも皮肉です。前半アウトで5番から3連続バーディー。後半バックナインでは手堅くパープレーにまとめてトータルで3つ伸ばした「68」の平田。蝉川はやっと一つ伸ばしただけの「70」で、追いかける方が息切れでした。

ウオーターシャワーを浴びる平田憲聖。

昨年、平田がメジャー初優勝した「日本プロ」(北海道・恵庭)でも、蝉川は2打差の2位タイに甘んじており、今年の「日本プロ」(岐阜・富士カントリー可児)では1年下の杉浦悠太(22)の完全優勝を阻止できず、1打差の2位タイ。昨秋の「ダンロップフェニックス」を杉浦悠太がアマチュアで制した時も3打差で2位タイだったのが蝉川泰果でした。2017年平田が「関西アマ」に勝ったとき蝉川は2位。アマ時代からの蝉川の“シルバーコレクター”(成績は悪くないのになかなか優勝できず、いつも銀メダル・銀賞の人)は身に沁み込んでいるようです。

 

会心のショットを続けた平田憲聖。

ところで、平田はこのオフ、飛距離アップを最優先にしたトレーニングに励みました。22年のプロ入りから3年目。2勝を挙げた昨季は海外試合も経験して飛ばすゴルフの魅力も再認識したのだという。そんな努力が実って、ティーショットの平均飛距離が昨年の286ヤードから今年は291ヤードにまで伸びたとか。「今年はゴルフが楽になったのが自分でも分かるようになった。2打目からの番手が変わってきた」という。パーオン率も昨年の66.9%から今年は72%強まで上昇。飛んで曲がらないのがゴルフの理想ですが、平田は着実な飛距離アップでゴルフの質が変わってきたのです。ただ飛ばすだけでなく、安定感もパワーも増した平田ゴルフは、今季国内11戦で予選落ちはまだありません。今後へも大きな期待がかるプレーヤーへのし上がってきました。

 

昨季賞金ランク2位の蝉川泰果。今季はまだ白星がこない。

蝉川の武器でもある“飛距離”は、平田が実証したように重要な財産です。ショットが曲がらない日は素晴らしいゴルフになり、パットにも好影響を及ぼしてハイスコアにつながります。昨季の賞金ランキング2位の蝉川の原動力は、やはり飛距離ですから“攻め”と“守り”のバランスをうまく取ることでしょう。プロ転向3年目。蝉川の“イケイケゴルフ”も少しずつ“おとなしく”なってきているようにも見えます。今季も「日本プロ」では1年下の杉浦悠太に、「長嶋茂雄・セガサミー」では同学年の平田憲聖との対決で失速する、苦汁を飲まされました。が、これらの経験は必ず生きてくるでしょう。スーパープレーヤー蝉川泰果の今後の同世代対決がみものです。蝉川の次戦は、8月8日からの「横浜ミナト・チャンピオンシップ」(横浜CC)。昨年は初日ショットを曲げてパー4(12番)で9打を叩いた忘れられない試合。優勝した僚友・中島啓太へ、それでも1打差の2位に食い下がった1戦です。

(了)