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石川遼にも古閑美保にも勝ったシニアツアー! 今季開幕戦「ファンケル」に2万人ギャラリー

ギャラリーで埋まったギャラリースタンドを冗談で沸かせる尾崎健夫(左)と中嶋常幸(右)
ギャラリーで埋まったギャラリースタンドを冗談で沸かせる尾崎健夫(左)と中嶋常幸(右)=裾野CC1番ティーグラウンド。

 日本のシニアツアーも捨てたものではありません。先週行われた男、女、シニアの3つの国内ツアーで最多のギャラリーを集めたのは、石川遼のいた関西オープンでも、古閑美保、横峯さくら、諸見里しのぶらがいたCATレディスでもありません。中嶋常幸、尾崎健夫、室田淳らのおじさんたちが勢ぞいしたシニアツアーの今季開幕戦「ファンケルクラシック」(静岡・裾野CC)でした。最終日(8月23日)の観客数は、ファンケルが7,660人でトップで3日間合計1万9,174人も、関西オープンの1万8人(4日間)、CATの1万3,963人(3日間お)をはるかに上回るNO1でした。往年のスター選手が顔をそろえてゴルフの真髄を見せてくれるのと、心のこもったギャラリーサービスがゴルフファンをひきつけたようです。中嶋常幸、尾崎健夫、室田淳、倉本昌弘らの白熱した優勝争いの末、ジェットこと尾崎健夫(55)がその開幕戦を制しました。かつての米国のようなシニアブームへのきっかっけになるのでしょうか?

◇          ◇

 富士山を間近に望む裾野CCには金曜日の初日から続々とファンがつめかけました。家族連れも多くみかけました。「サービス精神旺盛な中嶋常幸さんを見たいな」「飛ばし屋ジェットのドライバーはまだ健在なのかな?」「マッシー倉本昌弘もことしは日本が主戦場らしいから・・」といった具合です。その初日は室田淳(54)が9アンダーで飛び出して驚かせましたが、4アンダーの2位には尾崎健夫がつけていました。中嶋常幸や湯原信光、ガンと戦いながら頑張っている須貝昇も4位タイにいました。室田の独走気配がただよった初日でしたが、シニアの試合はどう転ぶかわかりません。2日目の土曜日には7,957人ものギャラリーでコースはあふれました。67を出した中嶋、68の尾崎健がジワリと首位につめより、トップを守った室田には3打差の2位タイ。66のベストスコアで爆発したマッシーこと倉本は41位タイから7位タイに急浮上するなどで試合を面白くしました。
 

ロングドライブが武器のジェットが、ファンケルでは長尺を操っての<br>ロングパットが次々と決まった。見つめるのは室田淳(右)=ファンケル最終日(裾野CC)
ロングドライブが武器のジェットが、ファンケルでは長尺を操ってのロングパットが次々と決まった。見つめるのは室田淳(右)=ファンケル最終日(裾野CC)

 最終日は室田淳、中嶋常幸、尾崎健夫のビッグ3が最終組で優勝争いをするという願ってもない展開でコースには活気があふれました。集まったギャラリーは土曜日にはわずかに及びませんでしたが、7,660人。石川遼の関西オープン(4,879人)、女子のCAT(6,087人)をはるかにしのぎました。白熱した優勝争いは、中嶋常幸のリードがそのままかと思われましたが、大詰にきて動きました。尾崎健が13番で8メートル
、15番では7メートル、17番でも8メートルと相次いでバーデイパットを沈めてトップを奪い、18番の池越えのパー5では6番アイアンで2オンさせてバーディーフィニッ シュと、魅せてくれました。飛ばし屋ジェットがパターの冴えもみせた鮮やか逆転劇には、集まったギャラリーの興奮がしばらく続いていました。
 
 試合も役者もそろったシニア開幕戦でしたが、ファンケルの人気は、コースで展開するファンサービスにもあるようです。普通のトーナメントでは入れないクラブハウスのレストラン(カフェテリアレストラン)をギャラリーに開放。来場したギャラリーにはお土産を用意し、洗顔パウダー、コラーゲン・ビタミンのサプリメント、発芽玄米、タオルなど、健康食品や化粧品等を扱っているファンケルの自社製品(約4000円相当)をプレゼント。コース内テントではジュースの無料サービや肌や健康に関するカウンセリングを体験できるコーナーもあって女性の人気を集めていました。ハウス内には託児所が用意されてお父さん、お母さんは安心して観戦できるといった具合。土曜日に開かれたチャリテーオークションは中嶋常幸らが先頭に立って司会をして盛り上げ、出場選手提供の愛用品などがゲットできるとあって大人気でした。
 

大会を支えてくれた大勢のボランテアに囲まれる尾崎健夫(中央)=裾野CC
大会を支えてくれた大勢のボランテアに囲まれる尾崎健夫(中央)=裾野CC

 「家族ぐるみできてもらえる大会」(フンァンケル広報グループ)をモットーに、地元ボランテア約700人の協力や自社社員延べ250人を動員して作る「手作りの大会」をうたっていますが、ファンケル池森賢二名誉会長(大会会長)の肝いりで今年で9回目になる名物大会です。すっかり地元・静岡に定着したシニアトーナメントです。毎年真夏の8月に開かれますが、一山越えたすぐ近くの箱根で開催されていた女子ツアーのCATを寄せつけなかった観客動員はお見事。毎年ギャラリーの多い大会ですが、今年は昨年の1万2,168人を超える大会最高記録。シニアツアーとしても07年アデランスウェルネスオープンの15,555人を更新する最多入場者でした。
 

優勝カップを前に大会2連覇を果たした尾崎健夫(左)と池森賢二大会会長(右)<br>=ファンケル最終日。裾野CC
優勝カップを前に大会2連覇を果たした尾崎健夫(左)と池森賢二大会会長(右)=ファンケル最終日。裾野CC

 シニアツアーの今季開幕戦を制し、昨年に続いて大会2連覇を果たした尾崎健もこんなスピーチをしました。 
 「僕が勝ったとか何とかということよりも、1万9千人を超えるギャラリーがきてくださったことが本当にうれしい。男女両ツアーを凌いだなんて・・。勝てたのは、その後押しが大きかったし、中嶋選手がきのうのチャリティーでのファンサービスできょうは疲れきってしまったので・・」
 
 ギャラリーの笑いを誘いながらも、ファンへの感謝の気持ちを真っ先に表していました。
 
 今季のシニアツアーは経済不況をもろにかぶって昨年の9試合から3試合減の6試合しかありません。8月末になってようやく開幕というのも異常です。来季は少しでも試合数を回復すべく主催するPGAが営業努力を続けています。こうした盛り上がった試合がスポンサーが目を向けるきっかけになればいいのですが・・。
 

[先週、3ツアーのギャラリー動員数]
 
   シニア     男子レギュラー   女子
 「ファンケル」  「関西オープン」  「CAT」
 
1日3,557    2,744    2,520
2日7,957    3,144    5,356
3日7,660    3,241     6,087
4日        4,879    
 
合計19,174   14,008   13,963