Daily Archives: 2014 年 2 月 10 日

トーナメント主催者が選んだルーキー・オブ・ザ・イヤーは、松山英樹、川村昌弘、比嘉真美子、堀奈津佳

13年度ルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、記念の楯を抱える喜びの川村昌弘(左)と堀奈津佳(右)=2月7日、東京・ANAインターコンチネンタルホテルで
13年度ルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、記念の楯を抱える喜びの川村昌弘(左)と堀奈津佳(右)=2月7日、東京・ANAインターコンチネンタルホテルで

プロゴルフトーナメントを支えている主催者が選ぶ2013年シーズンのルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)に、昨季4勝で賞金王に輝いた松山英樹(21)、男子ツアーで初優勝を飾った川村昌弘(20)、女子ツアーで2勝を挙げた比嘉真美子(20)、同じく2勝の堀奈津佳(21)の4人が選出されました。2月7日、東京・ANAインターコンチネンタルホテルでゴルフトーナメントの主催者で構成される日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)による表彰式を行い、川村、堀の2選手が出席しました。松山は米ツアー転戦中、比嘉は米国で合宿中のため欠席。ビデオメッセージが披露されました。この賞は、トーナメント界の活性化のために若手選手の育成が重要として、1998年に制定されたもので、最長2シーズン以内の新人で翌年のシード権獲得者。また人格面並びにマナー、エチケット、話題性、ツアーへの貢献、将来性などを加味して選考する厳しい規定を設けています。これまで宮里藍、横峯さくら、森田理香子、石川遼、池田勇太、谷原秀人ら、表彰後トッププレーヤーになった面々が選ばれているのも注目されます。(選考メンバー=スポンサー、メーカー、競技運営会社、新聞、TV、雑誌等のプレスらで構成するノミネート委員会)。

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米国滞在中の松山が会場の大型スクリーンに映し出されビデオメッセージを伝えてきました。

米国ツアー転戦中の松山英樹と米国で合宿中の比嘉真美子からはビデオメッセージが開場に流された(ANAホテル)
米国ツアー転戦中の松山英樹と米国で合宿中の比嘉真美子からはビデオメッセージが開場に流された(ANAホテル)

「自分の去年の成績をみると、出来過ぎだなと思うくらいの良い成績を出せました。結果が出来過ぎと感じるのは、やっぱり自分の技術が未だ足りていないということだと思います。そのギャップを早くなくしたい。米ツアーでの目標は、まずシードを決めて、それからやっぱり優勝を目指します。早めにシードを決めてスケジュールに余裕を持たせ、日本ツアーにもどんどん出たい。ルーキー・オブ・ザ・イヤーは受賞できて本当に嬉しい。今年からはもうこの賞は受賞することはできないので、さらに違う賞をもらえるように頑張っていきます」

昨年はまだ大学生(東北福祉大4年)でありながら国内ツアー4勝、2億円超の賞金を稼いで賞金王に輝きました。そして今年は早くも米ツアーのライセンスをとり、プロ2年目で米ツアー本格参戦が始まっています。左手親指つけ根を痛め、12月から1月下旬まで2ヵ月近くを治療にあてました。そのブランクはありましたが、1月23日からのファーマーズ・インシュアランスでの復帰戦を16位(9万7600㌦)でスタート。続くフェニックスオープンでは4位(27万2800㌦)。昨年10月の米ツアー開幕戦、フライズコム・オープンでは3位(24万㌦)に入っていますから、すでに松山は61万㌦以上を稼いでいます。ケガのあととしては驚異的な出来で、シーズン125位以内に与えられる翌年のシード権の獲得は、ほぼ間違いないところまですでにきています。2年目のシード権も早々とゲットして、夏以降には再び日本ツアーにもお目見えすることになるでしょう。代理で受賞したのは、東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督でした。

表彰式に出席した川村は、日枝久理事長から表彰状と記念楯を受け、初々しい表情で

「僕はまだこういうところで話すのは慣れてないので・・」と、女子アナの質問にも初々しい受け答えをする川村昌弘(左)。右は堀奈津佳(7日、東京・ANAホテル)
「僕はまだこういうところで話すのは慣れてないので・・」と、女子アナの質問にも初々しい受け答えをする川村昌弘(左)。右は堀奈津佳(7日、東京・ANAホテル)

「こんな賞をいただいて光栄です。うれしい」と、喜びで顔を紅潮させていました。松山のビデオレターを真剣な顔で見つめていた川村は「松山さんはこういう場所は慣れているでしょうけど、僕はまだちょっと・・」と受賞スピーチもたどたどしいのが、また素朴で川村の魅力の一つでしょう。昨年9月に優勝したパナソニックオープンで、今季のアジアンツアーの出場権を獲得。「今年は日本で試合のない週は、アジアンツアーにも積極的にトライしたい。アジアでも結果を残していきたいです」と、アジア進出を宣言。さらには「松山さんとはちょっと離れすぎていますが、僕も全米オープンなどの海外試合でも活躍できればうれしい」と、世界を目指す意気込みを披露していました。

川村の昨年は、前半9試合ではケガで悩まされ予選落ち7回。苦しみを味わいましたが、体調が戻った夏からは本来の見違えるようなゴルフを展開。フェアウェイを外さない安定したショットと、手堅いパッティングで8月以降14試合では予選落ちは1回だけ。パナソニックでの優勝を挟んでトップテンが5回。三井住友VISA太平洋では2位タイ、カシオワールド7位タイと終盤の大きな試合でみせた健闘ぶりは、目を見張らせました。福井工大付属福井高時代は日本ジュニアや中部アマ、全日本パブリックアマなどを制したほか、世界アマやアジア大会などの国際舞台も数多く経験しています。高校を出てすぐの12年は、いきなり初シード入りを果たし、昨13年はパナソニックで初優勝と順調な足取り。昨季は賞金ランク堂々の11位。フェアウェイキープ率は第1位(63.75)とお見事です。今季のさらなる飛躍に期待がかかります。「今年はまず体力強化。そして国内では日本オープンを狙っていきたい。オフの調整らしきものはまだ・・。なんか僕、まだプロゴルファーらしくない。大丈夫かな?」と、素人っぽさもあって楽しいですが、今週にはこの数年自主キャンプを張っている米フロリダ・オーランドに飛び、トレーニングとスイングのチェックを行います。アジアンツアーの手始めとして、インドオープンが開催されれば「出場したい」と話していました。

男子選手会を代表して謝辞を述べた宮里優作選手会副会長(ANAホテル)
男子選手会を代表して謝辞を述べた宮里優作選手会副会長(ANAホテル)

女子を”代表”して表彰式に出席した堀奈津佳は昨季、アクサレディス(3月)でプロ初優勝、アース・モンダミン杯(6月)と、2勝しました。アクサでは、大会前に降った雨の影響で2日間はボールを無罰で拾い上げて拭き元の所に戻す特別ルールが認められていましたが、堀は元の位置に戻さず、6インチ以内で置ける「プリファードライ」と勘違い。初日に5~6回ボールを移動させたことが問題になりました。2日目にそれが判明し、堀は競技委員に自己申告しました。しかし、女子プロ協会は「選手に示した通達文に不手際があった」として、間違えた堀を無罰としました。一部選手からは「公平さを欠く」とクレームがつき、堀は棄権すら頭をよぎったそうですが、最終日もプレーを強行。2日目にトップに立った首位を守って初優勝しました。後味の悪い勝ち星でしたが、葛藤を乗り越えてのVは忘れられない1勝でしょう。アース・モンダミンでは2位に8打差をつけ、4日間大会の最少ストローク記録の21アンダーで圧勝。アクサでのモヤモヤを晴らしました。昨季の賞金ランクは10位と、大健闘でした。

タイで合宿中だった堀はこの表彰のため一時帰国。2月20日からの米ツアー第3戦ホンダLPGAタイランドに初出場の予定です。「この賞を励みにして今年はまずツアー3勝目を目指します。平均ストロークをもっと上げたいです」と、今季への抱負を話しました。

比嘉真美子は米国フロリダで合宿中。姉でマネジャーを務める比嘉久美子さんが代理受賞しました。

比嘉真美子のビデオメッセージ

「GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーは、本当に限りあるチャンスの中でしか与えられない賞だと思うので光栄に思ってます。これからの私にとって良いきっかけになるでしょう。今シーズンは昨年以上の成績を出してゴルフ界をもっと盛り上げていけるよう頑張ります。米ツアー参戦については、沖縄の先輩たちが素晴らしい結果を残しているので、私も早くそのステージで戦ってみたい。ただ昨年、国内での横峯選手と森田選手の賞金女王争いをまじかに見て、すごいなという憧れを持ったので、賞金女王も目指してみたい気持ちも生まれてきました。オリンピックに出るためには、ワールドランキングが大事になってくるので、20~30位台にはいきたい気持ちが凄くあります。そのためには積極的に海外の試合にチャレンジして、チャンスを自分のものに出来ればいいなと思います」