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マスターズの招待状が届かない!賞金王 が呼ばれなければ、30年ぶりの屈辱!

コンパクトなスイングだが、飛ばし屋で鳴る小田孔明(14年、優勝した関西オープンで)
コンパクトなスイングだが、飛ばし屋で鳴る小田孔明(14年、優勝した関西オープンで)

男子ツアーの小田孔明(36)が、落ち着かない日々を送っています。日本ツアーで昨季1億3731万円余を稼いで初の賞金王になった″日本一〝の男ですが、いまだにマスターズからの招待状が届きません。マスターズへの出場資格の中には「日本ツアー賞金王」というカテゴリーはありませんが、過去25年間をみても日本の賞金王で翌年のマスターズに何らかの枠で出場しなかった選手は一人もいません。出場カテゴリーの一つに「前年の12月31日時点での世界ランキング50位以内」がありますが、小田は58位で越年。これを逃がしました。残るは石川遼が3度も恩恵にあずかった「特別招待」の枠なのですが、現時点では小田のもとには招待状は届いていません。「特別招待」の通知は、これまでの例では大体1月中には届いています。プロゴルファーとして「夢はマスターズ出場」といってきた小田の願いは果たせないのでしょうか?

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昨冬12月、日本ゴルフツアー機構の年間表彰式で。賞金王に輝いた小田孔明(左)と石川遼(右)=パレスホテル東京
昨冬12月、日本ゴルフツアー機構の年間表彰式で。賞金王に輝いた小田孔明(左)と石川遼(右)=パレスホテル東京

マスターズはその名の通り、話題を抱えた世界の ″マスターたち〝 を集めて行う招待競技なのです。歴代マスターズ優勝者はじめ全米、全英オープン、全米プロ優勝者、前年度米ツアー賞金ランキング30位以内、前年度マスターズ16位以内、前年度全米、全英アマ優勝者・・といった出場カテゴリーはありますが、その趣旨はあくまでも主催者の「招待」なのです。1985年から設定された「世界ランキング」が後年採用され、「前年度末の世界ランキング50以内」さらには「マスターズ開催前週までの世界ランキング50位以内」も出場資格が与えられるようになりました。18項目ほどあるカテゴリーには該当しなくても、マスターズ委員会が認めた有能な選手数名が(2~3人程度)「特別招待」枠で白羽の矢が立ちます。
15歳で日本ツアーにアマで優勝し、大旋風を巻き起こした石川遼は、プロ転向2年目の09年と12年、13年に計3度も「特別招待」を受けています。10、11年は「世界ランキング50位以内」の資格で出ていますから、都合5年連続でマスターズに出場するチャンスに恵まれ、現地では「異例の優遇」と書き立てられたことがあります。それもマスターズ委員会の独断で決まるトーナメントの特徴なのです。

初の賞金王はじめ最優秀選手賞など4部門のタイトルをとり、挨拶する小田孔明(パレスホテル東京)
初の賞金王はじめ最優秀選手賞など4部門のタイトルをとり、挨拶する小田孔明(パレスホテル東京)

出場カテゴリーの中には「日本ツアー」という表記は一切ありません。従って日本の賞金王になったからといって、それだけの理由でマスターズに出られるわけではありません。直近の過去25年ではすべての日本ツアー賞金王(10年の金庚泰(キム・キョンテ)、11年の裵相文(べ・サンムン)を含む)が翌年マスターズに出場していますが、これも「世界ランキング50位」か、その選手の話題性によって招待が決まったといえます。過去の例では、84年の日本の賞金王になった前田新作が、翌年のマスターズに招待されなかった事実があります。小田孔明がもし今年招待されなければ、日本人ではそれ以来、30年ぶりの出来事になります。

近年マスターズ委員会は、アジアのテレビ局との契約もからみ、アジアのゴルフ熱を高めてアジアのゴルフ発展に 力になろうとする意図がみえます。石川遼を3度も特別招待したりしたのも、遼の話題性に加えその広告効果を狙ったものといわれています。

ところで、小田孔明はどうなるのでしょう?現在、今季のマスターズの出場資格を持つ日本選手は、世界ランキング50以内に入っている松山英樹一人だけです。昨年も松山一人しか招待されなかったことを考えれば、最近の日本選手の低迷ぶりを思い知らされているかのようです。もう2月も半ば近くになりますから、これから小田に招待状がくることはほとんど期待できません。そうなれば″自力〝での出場しかなく、小田は2月12日開幕の欧州ツアー・アジアンツアー共催の「タイランドクラシック」に出場して上位を狙います。3月に入り「WGCキャデラック選手権」(5~8日=米フォロリダ、トランプナショナルドラル)にもトライします。今シーズの米ツアー優勝者はマスターズ出場資格を与えられますし、この2試合で上位に入れば「マスターズ前週の世界ランキング50位以内」(現在64位)に食い込むことも不可能ではありません。

憧れのマスターズの舞台、オーガスタ・ナショナルGCのクラブハウス
憧れのマスターズの舞台、オーガスタ・ナショナルGCのクラブハウス

新年はグアムで自主トレ合宿を続けて調整に励んだ孔明です。「招待は待つしかないですが、世界ランキングを上げて自力ででも(出場権を)つかみたい」(孔明)と祈るまなざし。前田新作以来、日本ツアー30年ぶりの屈辱を、なんとか避けたいものですが・・。