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中尺パターがさえた25歳・大江香織。トレードマークの鼻筋のほくろも切除して プロ2勝目がやってきた!

フルスイングする大江香織のドライバーショット。
フルスイングする大江香織のドライバーショット。

女子ゴルフツアー開幕3戦目は、プロ8年目、長尺や中尺パターを愛用する大江香織(25)が、3年11か月ぶりの嬉しいプロ2勝目(Tポイントレディス=鹿児島・高牧CC)。昨年11月のTOTOジャパンクラシックから今季第2戦まで続いていた外国人選手の連勝を「6」で止める殊勲も。優勝賞金1,260万円と副賞のベンツを獲得して早々とシードを決めた大江は、このオフ、米フロリダ合宿で猛練習を積んだり、鼻筋の右にあったほくろを切除して臨むなど″変化の年”。春から縁起のいいスタートを切った目を離せない25歳です。

 

 

 

 

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ギャラリーに見守られ、打ち終わってティーグラウンドを降りる大江香織。
ギャラリーに見守られ、打ち終わってティーグラウンドを降りる大江香織。

大江は、日本人の女子プロには割と少なかった「長尺パター」の愛用者です。山形生まれ。宮里藍の5年後輩、東北高から09年にプロ入り。以来長尺パターを愛用し、11年10月からトレードマークだった″長尺”を中尺パターに替えました。16年の今年からシャフトを体の一部に固定して打つ「アンカリング」が禁止されることが決まっていたからです。それでも通常の短いパターには戻せず、35インチの中尺を体からは離し、クロスハンドの握りで右手をグリップの一番上、左手を大きく離して下を持つ独特な構えをマスターしました。4年前、フジサンケイで初優勝したときも″中尺パター”に替えた直後でしたが、この変則パットもすっかり身について「いまはもう違和感はない」(大江)と、むしろ彼女の大きな武器の一つになっています。

打ち終わって打球を追う大江香織。
打ち終わって打球を追う大江香織。

初日はパープレーで14位のスタート。最終日には1打差の2位に上がって勝負に出た大江は、3バーディー、2ボギーの71で回って逆転勝ち。2打リードで迎えた18番パー4では、第1打のドライバーを右崖に落とし、木の根元から傾斜を上げようと強く打ったトラブルショットがフェアウェイを横切って左の池(ウオーターハザード)に飛び込む大ピンチ。ダブルボギーなら 柏原明日架、渡辺彩香、イ・ボミと4人プレーオフという土俵際に立たされましたが、池の脇から72ヤードの第4打を56度のウェッジでカップ1㍍につけるスーパーリカバリーをみせました。震える手でこれを沈め″ナイスボギー”に収めて1打差の勝利でした。

大江香織のコメント。
「セカンドは打ちにくい木の根元からでしたし、傾斜が急だったのでボールが戻ってくるのがダメでしたから・・。フェアウェイまで持っていかないととなると、強い球を打つしかなかった。7番アイアンです。池に入ったらすみません・・でした。そのあとのアプローチは72ヤード。56度で届くかな、と思って、クラブを立てて打ちました。乗ればいいと思っていたのですが、あんなに寄るとは思わなかったです。1㍍ちょっとですかね。最後のパットは長く感じて震えていました。気を失いそうでした」

前週に今季1勝。3戦目のTポイントでも1打差の2位につけ、プレーオフを狙っていたイ・ボミ(韓国)
前週に今季1勝。3戦目のTポイントでも1打差の2位につけ、プレーオフを狙っていたイ・ボミ(韓国)

ピンチを凌いで、最後まであきらめなかった粘りが、勝利の女神を呼び寄せました。小柄(153㌢)でドライバーも飛ぶ方ではない。コースセッティングは年々タフになって距離も長くなってる現状には「私みたいな飛ばない選手にはムリ。2勝目はできないかと思ってました」と大江。「しかし、自分のやるべきことをやってダメなら仕方がないかな、という気持ちでやってました」という負けず嫌いが、イ・ボミや渡辺彩香、キム・ハヌルらの強者を押しやっての2勝目につながりました。昨オフは東京のスポーツジムで筋力トレ。1月には米フロリダで1ヵ月の合宿。温かい南国の芝生でアイアンショットの精度を磨くトレーニングが効果を高め、結果につながりました。

高校時代の07年、08年には東北女子アマ2連覇。高3の08年はJGAのナショナルチームメンバー。09年春に東北高を卒業すると同年のプロテストで一発合格。石川遼と同じマネージメント事務所で、オフには一緒に合宿をやった経験もあります。遼クンにはアプローチの手ほどきを受けたり、パットも長尺から中尺に切り替えるアドバイスで成功

今季の成長株、柏原明日架。前週に続いて連続2位でプロ初優勝を目指す。
今季の成長株、柏原明日架。前週に続いて連続2位でプロ初優勝を目指す。

率が上がり、12年の初優勝に結びつきました。年々平均ストロークを上げ、予選落ち数も減少させて地力をつけてきていたところでした。プロ入り4年目に初優勝。8年目に2勝目。4月5日には26歳を迎える脂の乗ってきた女子プロといえます。このオフの12月、鼻筋の右サイドにあった小豆大のほくろの切除に踏み切りました。目立つほくろをとると運気が変わる、ともいわれますが、大江にはそれは幸運を呼び込む手術になったのでしょうか。明るい2016年のシーズンになる気配は濃厚です。

昨秋から続いていた外国勢の連続優勝も「6」で止めた大江に拍手が湧いていますが「日本ツアーなので日本人が活躍すれば盛り上がるでしょうけど、メジャー優勝者の申ジエさんや韓国ツアー賞金女王のキム・ハヌルさんやイ・ボミさんら実力のある方が、アメリカツアーを選ばないで日本ツアーを選んで戦ってくださってるので、とても勉強になります」

最終日67で追い上げて通算6アンダー2位タイの渡辺彩香。大江香織が落とせば4人プレーオフを虎視眈々、狙っていたが・・。
最終日67で追い上げて通算6アンダー2位タイの渡辺彩香。大江香織が落とせば4人プレーオフを虎視眈々、狙っていたが・・。

と、韓国パワーをプラスにして感謝するコメントをする大江プロ。さらに2週後の3月31日からの第5戦

「ヤマハレディス葛城」は、大江がクラブ契約をしている大会。「それにはぜひ頑張りたい」と、スポンサーへの思いも忘れません。戦いのフィールドでは鬼となった大江も、フェアウェイを離れれば、やさしい気配りも忘れない女性。けれん味のない大江香織のプロ3勝目は、意外と近いかもしれません。