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「オーガスタ16番(パー3)もピンポイントで攻められる!」。スリクソンZ-STARニューボールに惚れ込む松山英樹。海外メジャー初制覇への夢、来季こそ!

ダンロップスポーツのNEWボール「スリクソンZ-STARシリーズ」の開発秘話を語る松山英樹(12月12日、東京・ANAインターコンチネンタルホテル東京)
ダンロップスポーツのNEWボール「スリクソンZ-STARシリーズ」の開発秘話を語る松山英樹(12月12日、東京・ANAインターコンチネンタルホテル東京)

今季全日程を終えた松山英樹(24)はいま短いオフを日本で過ごしています。すでに米ツアーは16~17年シーズンが10月から始まっており、松山も2試合をこなし早くもHSBCチャンピオンズ(上海)で新シーズン1勝をマークしています。その1勝を含め10月の日本オープン優勝以降、国内外で5戦4勝という驚異の戦績を残し、2ヵ月足らずで4億4,300万円の荒稼ぎをした英樹です。先ごろ用具契約を結ぶダンロップスポーツの新ボール発表の席に姿をみせ、来季4月のメジャー、マスターズ制覇への熱い胸の内を語りました。新年1月5日からハワイで再開する米ツアーに参戦することが決まっていますが、10月から他社(キャロウェイ)のドライバーを使って物議をかもしたことも、年明けからはダンロップ製のスリクソンに戻したいとの意向を明かしました。

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米ツアー転戦中は松山に付き添ったクリーブランドゴルフの米ツアー担当・藤本哲朗氏(左)と、ニューボール開発にあたり日米を往復して松山の意見を聞いたダンロップスポーツ・ゴルフボール開発部の神野一也氏(右)に囲まれる松山英樹。(東京・ANAインターコンチネンタルホテル東京)
米ツアー転戦中は松山に付き添ったクリーブランドゴルフの米ツアー担当・藤本哲朗氏(左)と、ニューボール開発にあたり日米を往復して松山の意見を聞いたダンロップスポーツ・ゴルフボール開発部の神野一也氏(右)に囲まれる松山英樹。(東京・ANAインターコンチネンタルホテル東京)

まさに″絶好調〝のまま今シーズンを終えた松山は、師走の一日、また一回りも大きくなった体で自信に満ちたやりとりを記者連と交わしました。東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテルのニューボール発表の席には150人になんなんとする報道陣が集まりました。世界ランク6位。今年の最終戦となったタイガー・ウッズがホストを務める「ヒーロー・ワールドチャレンジ」(バハマ=慈善大会)でぶっちぎりの優勝。賞金1億1,300万円をゲットして凱旋してきたばかり。世界トップレベルの選手にのし上がった英樹がいるところ、人が群がります。

新ボールはNEW「スリクソンZ-STARシリーズ」の「XV」。2年間を要した開発に松山も携わってきただけに力が入りました。飛んで、スピンもよくかかり、松山がこだわる″音〝も「高音で澄んだ音が気にいっている」(松山)という。昨年1月、初テストのとき、パー3ホールで打った1発目が、いきなり″ホールインワン〝になり、「これはいけるんじゃないかと思った」(松山)と舞台裏のエピソードも披露していました。試合では今年2月、フェニックス・オープン(アリゾナ)で先行使用すると、いきなりその試合で優勝(ツアー2勝目)。新ボールへの信頼度はまた高まったようです。

NEWボール「スリクソンZ-STARシリーズ」のポスターを掲げる松山英樹(ANAインターコンチネンタル東京)。
NEWボール「スリクソンZ-STARシリーズ」のポスターを掲げる松山英樹(ANAインターコンチネンタル東京)。

ただ今季の松山は、6月以降8月までに予選落ち4度と苦戦を強いられた時期もありました。「なにか思うようなプレーが出来なくなった期間が長かった。それがなかったら今年はもう少し出来たかな、と思う。来年はそういうのをなくして、目標のメジャーに勝てるよう頑張りたい」と、勝って緒を締める英樹です。
米国のシーズン終了後に出場した日本オープン(埼玉・狭山GC)で快勝してからは強い英樹を取り戻し始めました。10月開幕の米ツアー新シーズンもCIMBクラシック(マレーシア)で20アンダーで2位。続く世界選手権シリーズのHSBCチャンピオンズ(中国)では23アンダーの優勝。日本に戻っての三井住友VISA太平洋マスターズ(静岡・太平洋クラブ御殿場)では完全優勝。石川遼とコンビを組んだISPSハンダW杯6位のあと、先のヒーロー・ワールドでは18アンダーの優勝と、無敵の強さを見せつけています。

アプローチとパットに一段の冴えをみせてきたゴルフの内容について「いままでのボールよりスピン性能がよくなったニューボールを使えたのも要因の一つ。スピン量が増えると横にぶれる球になるかなと思っていたが、縦にスピンがかかるようになった。飛距離もいままでより飛んでるな、と感じている。飛んでスピンもかかるボールだからいい。風にも影響されにくいし、風をうまく利用できるボールだと思う。パットは、構え方やボールの位置を変えたりして練習量も増やした成果が出ているのかも」と振り返っています。はっきりは言いませんが、パットはアドレスで両腕(ひじの部分)を体から軽く離して構えることによって、腕の振りがよくなったといわれています。

ダンロップスポーツ安達利也広報部長(右)とのトークタイムで、ニューボールについてや来季への意気込みを語る松山英樹(左)=ANAインターコンチネンタルホテル東京
ダンロップスポーツ安達利也広報部長(右)とのトークタイムで、ニューボールについてや来季への意気込みを語る松山英樹(左)=ANAインターコンチネンタルホテル東京

短いオフが終わると、1月の米ツアーは5日からの「トーナメント・オブ・チャンピオンズ」(ハワイ・カパルアリゾート)で再開。続くソニーオープン・イン・ハワイ(ワイアラエCC)のハワイ2連戦で始動。最初のターゲット、4月の「マスターズ」へと向かっていきます。
この秋、松山が使っているドライバーがダンロップ製じゃない、との評判が立ちました。10月のHSBCチャンピオンズ以降、手にしていたのはキャロウェイ社のドライバー。ダンロップと用具契約していながら他社のクラブを使っていたことについても、初めて自身の口で触れました。
「(ダンロップ社の)ドライバーのヘッドが割れて使えなくなったんです。で、他社の製品を使わせてもらったが、ダンロップでいろいろやってくれているので、来年からは(スリクソンに)戻れると思う」と、注目のドライバーの″浮気解消〝も明言しました。もちろん、手直しされたドライバーをじっくりとテストして納得しないと戻さないでしょうが、ダンロップスポーツも威信にかけて松山モデルのリメイクに全力を挙げるでしょう。

ショットを放つ松山英樹(11月、完全優勝した三井住友VISA太平洋マスターズ=静岡・太平洋クラブ御殿場)
ショットを放つ松山英樹(11月、完全優勝した三井住友VISA太平洋マスターズ=静岡・太平洋クラブ御殿場)

世界のトップレベルにのし上がった松山の大目標は、マスターズなど海外メジャーの初制覇です。いま絶好調にみえてもメジャーはそう簡単なものではありません。松山自身「同じオーガスタでも、今年と来年ではコースのセッティングも違う。今年のグリーンは硬くて速かったけど、来年はどうなるか。いま(自分が)絶好調なら来週マスターズがあったら勝てるんじゃないか、と思われるかもしれませんが、それは勝てません。これから4月へ向けてしっかりと練習して準備しなくてはダメ。来年はこのニューボールを使って、あの16番(池越えパー3)でも、スピンのかかったショットをピンポイントに打っていけるんじゃないかと思う。どうしても来年は優勝を狙いたいですからね」と、お気に入りのNEW「スリクソン Z-STARシリーズ」の新ボールにも期待を寄せています。

キャディーを挟んで谷原秀人(左)と出を待つ松山英樹(右)=(11月、静岡・太平洋クラブ御殿場)
キャディーを挟んで谷原秀人(左)と出を待つ松山英樹(右)=(11月、静岡・太平洋クラブ御殿場)

米ツアー4年目。英樹の夢は大きく膨らんでいます。これまではマスターズ前週のヒューストン・オープンは回避していましたが、来年は体調次第で出場するかもしれないという。連戦で調子を上げて一気にマスターズに臨もうというプランです。年々腕を上げてきた松山は、米ツアー2季連続の3勝(丸山茂樹と並ぶ日本勢最多)を引っ提げて、2017年シーズンに突入します。世界ランク6位も不足はありません。「次のメジャーが楽しみになった」とキッパリといった松山。万全の準備を整え、次は本気でメジャーを狙う年になったといえるでしょう。

(了)