Daily Archives: 2019 年 10 月 9 日

″しぶこ人気″凌ぐ黄金世代・畑岡奈紗(20)の実力ゴルフ!日本女子プロ、日本女子OPを同一年制覇の快挙。


強いゴルフで3度目の日本女子オープンを制した畑岡奈紗のショット(三重・白山ヴィレッジGC)写真提供:日本ゴルフ協会

米ツアーを主戦場にする畑岡奈紗(20)が、圧倒的な強さで日本の最高峰メジャー、日本女子オープン(三重・白山ヴィレッジGC)を2年ぶり3度目の制覇です。渋野日向子ブームに沸く日本女子ゴルフ界に殴り込んできた奈紗は、一段上のゴルフをみせつけ通算18アンダーの勝利。9月にも日本女子プロ選手権で2位に8打差の圧勝劇を演じたばかり。奈紗は今回も2位グループに4打差をつけての国内メジャー2連勝。日本女子OPは16年にアマチュア優勝を遂げたのを皮切りに、4回出場して3勝を挙げる快挙です。米ツアー3年目になる今季の奈紗は、3月の起亜クラシックで通算3勝目をマーク。すでに通算2億円超の賞金を稼いでいますが、日本ツアーでも今季4試合で約7000万円(賞金ランク9位)の収入を得ています。このあと奈紗は上海、台湾と米ツアーの試合を転戦。11月8日からのTOTOジャパンクラシック(滋賀・瀬田GC北=米ツアー)には再び日本の舞台に帰ってくる予定です。

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嬉しい3度目の日本女子OP優勝カップを掲げる畑岡奈紗。

追えども追えども、奈紗のゴルフには緩みがありませんでした。昨年のこの大会で優勝争いの末に敗れたユ・ソヨン(韓国)も加わり、岡山絵里、大里桃子ら好調な日本勢も束になって奈紗に食い下がりました。しかし、奈紗の強さはそれらを上回りました。最終日トップで出ながら、3、4番で連続ボギーのスタートでヒヤリとさせた奈紗でしたが、5番で残り147ヤード。左からの風とケンカさせて7番アイアンで2㍍にピタリ。ここで初バーディーがくるともう″奈紗の世界〝でした。8番で3㍍を沈め、続く9番。短いパー4。グリーンまでで50ヤード付近からのアプローチ。カップが一番奥とみるやボールを高くあげず、低く出してあと半分は転がすピッチ&ラン戦法。ウェッジを巧みに使ってカップ30㌢に寄せる見事なテクニックで連続バーディー。つけ入るスキをみせませんでした。

最後まで畑岡奈紗を追撃、大会を盛り上げた大里桃子。4打差の2位タイだった。(19年日本女子オープン)

★奈紗のコメント。
「9番は(奥のピンへ)上げにいかず、手前から転がすイメージでした。考え過ぎると打てなくなるので、シンプルがいいと思って転がした。クラブは58度(ロフト)。57ヤードありましたが、30㌢に寄りました。上出来ですね。苦手な距離だったのでしっかり練習はしてきたショットです」

米国でも鍛えてきたハイテクニックの一端を見せつけたこのシーン。それでも粘る大里桃子と岡山絵里。岡山は終盤15番パー4のバーディーで畑岡に1打差と迫ります。このホール、畑岡はグリーンオーバーの深いラフから1.2㍍に寄せたパーパット。「岡山さんがきていたので凄い緊張でした」と、執念でこれを沈めます。ピンチを乗り越えると、次の16番パー3では2㍍弱につけて確実にモノにする奈紗の強さ。3打差の安全圏で迎えた最終18番。6㍍につけた最後のパットをまた決めるカッコいいフィニッシュ。約1万6000人を集めた大観衆からの大拍手。最後は4打差をつけてのホールアウトでした。

★日本女子プロに続き、日本女子OPを同一年に制した畑岡奈紗のコメント。
「同一年に女子プロと女子オープンをとったのは樋口久子さん以来と聞いて、うれしいですね。きょうはアマチュアで勝ったときと同じ″赤シャツ〝を意識して着ました。でも勝ちたいという気持ちが強すぎても空回りするので、1ホール、1ホールが大事と思ってやりました。ボギー、ボギースタートで、途中どうしたら立て直せるかな、と思いましたが、きょうも風が強かったので、みんな一緒だと気持ちを落ち着かせました。ピン位置が難しかったので、悪い方へ乗るとパーを拾うのも難しかった。ミスしても笑うように心掛けていますが、それを忘れるくらい緊張していました。キャディーさん(ジョンストン氏)が話しかけてくれるので、一緒に戦っているという感じでしたね。やっと終わった。ホットしました。途中、おにぎりやバナナを食べてましたが、やはり長いのでエネルギー補給は必要。最後にスタミナ不足になってしまう。いつもおにぎりなどを作ってくれるおかあさん、すごくありがたいです。この勝利でオリンピックに少し近づいたかな。でも世界に行くとまだまだ力不足。来年までにもっといい準備ができたらいいです」

 

最終日は約1万6000人。4日間で4万6165人の大ギャラリーを集めた19年日本女子OP(三重・白山ヴィレッジGC)

奈紗の世界ランクは、前週の6位からさらに上がってくるはずです。日本人2位は渋野日向子の11位。名実ともに日本NO1とNO2が東京五輪を目指します。渋野が全英で勝って「差をつけられたのが悔しかった」(奈紗)という。その不屈の負けじ魂が奈紗のゴルフをまた一つ引き上げたといってもいいでしょう。
2016年9月、高3、17歳のアマチュアで日本女子オープンに勝って、畑岡奈紗のゴルフ人生は一変しました。米ツアー志向の
奈紗は、その年16年12月の米ツアー予選会にトライして14位で通過。日本人選手史上最年少(17歳)で米ツアー出場権を獲得。翌17年から米ツアーへの本格参戦。
2年目の18年は6月のアーカンソー選手権で2位に6打差をつける通算21アンダーで米ツアー初優勝(19歳)。22歳で初優勝した宮里美香を抜く最年少Vでした。11月には、日本開催のTOTOジャパンクラシックで米ツアー2勝目と実力をみせ、18年は賞金ランク5位。145万4261㌦を稼ぎだ出しました。 米国3年目の今年は、3月に起亜クラシックで米ツアー3勝目。巡り合った名キャディーのクレッグ・ジョンストン氏は奈紗について「ショットの精度の高さと、メンタル面の強さ」を称賛しています。今回の日本女子OPでは4日間で計4万6165人の大ギャラリーを集めました(歴代2位。)日米を股にかける黄金世代の奈紗と″しぶこ〝。これからもますます見どころを増やしてくれそうです!

(了)