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シンガポールOPで男子ツアー開幕!日本勢また優勝成らず。頑張りは未勝利木下稜介(28)の6位

気温30度、猛暑の中でショットする石川遼。

男子ゴルフツアーはアジアンツアーと共催でシンガポールで幕をあけました。今年で5年目となる「SMBCシンガポール・オープン」(セントーサGCセラポンコース=パー71)。日本ツアーからは池田勇太、石川遼はじめ約60人が参加、招待選手としてマット・クーチャー(米)、ジャスティン・ローズ(英)ら世界のトップ級選手も加わり南国での華やかな開幕戦。注目の石川遼らが調整不足でスコアを伸ばせない中で、松山英樹、石川遼と同世代のプロ8年目、ツアー未勝利の木下稜介(28)=奈良出身、大阪学院大出=が通算11アンダーで日本人トップの6位に食い込む健闘。激戦を勝ち取ったのは、41歳のマット・クーチャー(米)で18アンダー。上位4人(有資格者を除く)に与えられる全英オープンの切符をつかんだ木下稜介が、なんとか面目を保ちましたが、5回目の大会でいまだに日本選手の優勝がないのが寂しい限りです。

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高層ビルがたち並ぶシンガポール市街をバックに奮闘した石川遼だが・・。(シンガポール・セントーサGC)

五輪イヤーの幕開け。今年も海外での共催試合で″開幕〝を迎えた日本男子ツアー。注目はなんといっても五輪ポイント(世界ランクのアップ=現在83位)への意欲を語っていた石川遼ら。しかし、主役を奪ったのは木下稜介はじめ大槻智春、星野陸也らの五輪とは″無関係組〝。2日目7位で日本人最上位に立った大槻は、昨年関西オープンで9年目の初Vを飾った選手。中でも木下稜は未勝利で昨季の賞金ランクは34位。ほとんど無名でコツコツと力を蓄えてきた忍耐の人。初日33位スタートから3日目には「67」を出して一気に8位へとジャンプアップしました。最終日は4バーディー、ボギーなしの「67」。大詰17番では10㍍のスライスラインをねじ込み、18番は1㍍を入れる連続バーディーで締め、ギャラリーから大きな拍手を浴びる″快感〝のフィニッシュでした。

大寒の日本をよそに、南国シンガポールで明るい笑顔も見せた石川遼だが・・24位に終わった(セントーサGC)

2日目からは3日連続の60台。優勝したクーチャーには7打差及びませんでしたが、堂々の日本人最上位でのホールアウト。同い年の幼なじみで交際を続ける看護師の嶋田理穂さんが4日間、全ホールをついて歩いた熱い応援も効果があったのでしょう。全英オープン出場の権利をとった木下稜に「休みをとってまた(英国にも)行きたい」と懇請する理穂さんに「全英で勝ったら結婚も・・」と。

 

最終日、大詰めで連続バーディーでフィニッシュ。右コブシを握り締めるガッツポーズの木下稜介。日本人最上位の6位に入った(シンガポール・セントーサGC)

10歳からゴルフを始めた木下稜。故郷の奈良から四国・香川西高に移ってゴルフを続け、3年時には全国高校選手権2位。大阪学院大4年時には朝日杯日本学生に勝って実力をつけてきました。14年にプロデビュー。同年のダンロップ・スリクソン福島オープンで2位と健闘。18年からはシード選手をキープしています。昨年11月からは肉体改造(大阪のジムで瞬発系トレ)にも取り組み「スイングでの切り返しがスムーズになった。スコアも出るようになってきた。ショットの精度が安定して、今週はきわどいパットもよく入ってくれた。今大会もホテルのジムで毎日40分ほどのトレーニングを欠かさなかった。なにか、自信から確信に変わってきた。次は優勝を目指したい 」と、明るい将来を見据える木下稜介です。

全英オープンが開幕する7月16日が29歳の誕生日。「20代のうちにメジャーでやりたかった。いずれは自分も海外に出て(松山英樹らと)同じ舞台で戦いたい。練習ラウンドで(英樹と)回れたら、いろんなことを聞きまくりたいですね。風の中でのプレーは得意なので、全英でどのくらいできるか、楽しみ」と、同じ四国で高校時代を過ごした旧友・松山英樹との再会も楽しみにしている稜介です。

 

のびのびとした木下稜介のスイングが、ナイスショットを連発した(セントーサGC)

同学年の石川遼。初日69で15位発進しながらジリ貧のゴルフでした。最終日に初めて今大会ベストの67を出し通算3アンダーの24位で今季初戦を終了。最終日4番パー5では4Iで240ヤードをピン2㍍に2オン。今年初のイーグルも奪ってみせましたが、4日間を通しては「アイアンが悪い」「パットがいい流れでやれていない。苦しい時間帯が多すぎる」・・と満足なゴルフには程遠い感じ。41歳のクーチャーが最終日7番パー5で木の根元で空振り、カート道に跳ね返ったのがロストボールになるなど大トラブルに見舞われながら、4㍍のパーパットを沈めてなんとかトリプルボギーの「8」。「あれで目が覚めた」と、その後は3バーディーを奪って首位を守り抜いたゴルフを見習ってほしいもの。遼の今後は、2月の世界選手権シリーズ「メキシコ選手権」を予定とか。五輪出場への逆転出場は諦めていない遼クンですが・・。

 

全英オープンの出場権をゲットした木下稜介。

国内での第1戦は3ヶ月のブランクのあと、4月16日からの東建ホームメイト杯(三重)。この変則日程も厄介ですが、シンガポールOPをいい教訓に、国内開幕に向けての再調整にも各選手励んでほしいものです。

(了)

大会初優勝のカップを掲げるマット・クーチャー(米)
最終日、木の根元からトラブルショットにも耐えたマット・クーチャー(セントーサGC)=写真提供:JGTOイメージス