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★62歳の東聡、キャディーを務めた夫人とグリーン上、劇的抱擁でシニア開幕戦Vー「大変なことが起こった!」と10年ぶりの2勝!

1打差の接戦をバーディーフィニッシュ。10年ぶりのシニア2勝目を挙げた東聡。キャディーの美和子夫人とグリーン上、感激の抱擁(提供:PGA)

シニアゴルフツアーの2023シーズンが開幕。「金秀シニア沖縄オープン」(沖縄・かねひで喜瀬CC)で東聡(62)が10年ぶりにシニア2勝目を挙げるドラマがありました。シニアツアーも“若返り”が盛んで50歳台の“若手”の台頭が目立つ中、60歳台の東聡が美和子夫人をキャディーに帯同し3日間通算7アンダーの優勝。今季はシードをなくし、主催者推薦出場での快挙とあって「信じられない。大変なことが起こった!」(東)。グリーン上で美和子夫人と抱き合い10年ぶりの感激を味わうシーンが見られました。東はこの優勝で今季のフルシーズンと、翌年1年間のシード権を獲得するご褒美を手中にしました。幕をあけた今季のシニアツアーは全13試合、「日本シニアオープン」は石川・能登CC日本海・はまなすコース(9月14日~17日)、「日本プロシニア・住友商事サミットカップ」は茨城・サミットGC(10月5日~8日)で開催されます。

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主催者推薦出場の試合を勝ち取った東聡(左)。キャディーを務めた美和子夫人(右)との2ショット(沖縄:かねひで喜瀬コース)=提供:PGA=

まさにハプニングのような東の逃げきり優勝でした。「こんなことは2度とないと思っていた。大変なことが起こったよ。大きなチャンスをもらったので、これで終わらずに今年はまた何かできればいいなと」・・。62歳の東が涙をこぼさんばかりに感激のコメントを連発しました。
昨季はシード権を落とし、今春の予選会(3月15日~17日)でも48位に終わり、今シーズンは主催者推薦でしか試合に出られない苦しい立場でした。「主催者の呉屋会長に推薦を頂いて出場でき、優勝という結果を出すことができた。開幕したばかりですし、今年はしっかり恩返しができればいいなと思っています」。そして優勝挨拶でも“感謝、感謝”の繰り返しでした。

4ジャンボ軍団で鍛えられた“飛ばし屋”東聡。

今季出場予選会でもパッティングがよくなくて「3パットばかりやっていた。今週も喜瀬の難しいグリーンでどうしようかと思っていた」という。練習ラウンドが終わっていつも一緒にゴルフをしている人に、ちょっとしたアドバイスをもらってからよくなったとか。「毎回悩んで、違う形で打ったりしてるけど、もう少しメリハリをつけた構えでやってみたら」といわれてハッと目が覚めたという。その一言でパットが見違えるとうによくなったというから、パッティングというのはデリケートなものです。

 

10年ぶりの優勝カップを抱え喜びの東聡。

1打差2位から出た東の2日目、雨が降ってグリーンが重くなったものの、1番で8メートル、5番で13メートル16番で9メートルなど長いパットも見違えるように打ちきれるようになってバーディーを重ね「70」。1位に浮上しました。雨から風に変わった最終日も、4つのバーディーを奪い「71」のアンダーで回り通算7アンダー。2位横尾要に2打差をつけて逃げ切ったのです。

1打差リードできた接戦の最終ホール(パー5)は、ピンまで47ヤードの第3打。58度のウエッジで「スピンがきいた最高のアプローチができた」と1㍍弱にピタリ。「落ち着いて、落ち着いて」と連呼していた美和子キャディーの前で、ウィニング・バーディーパットを慎重に決め、グリーン上で夫人との勝利の抱擁でした。美和子夫人のキャディーについては「歩かないですむところでカートに乗れるところではときどきやってもらってきた。きょう一番緊張したのは僕じゃなくて彼女じゃないかな。そして僕のやっている職業はこうなんだ、ということが伝わったかな」と、夫妻そろって最高の味をかみしめたウィークでした。

最終日「68」で追い上げたが、2打差の2位タイにとどまった横尾要(沖縄・かねひで喜瀬CC)=提供:PGA=

東聡は日大を同期の金子柱憲とともに卒業。83年に揃ってプロテストトップ合格。ともに尾崎将司の門をたたきジャンボ軍団入り。95年の東は“飛ばし屋”でツアー4勝。ジャンボと争い賞金ランク2位となる。この活躍で96年には「マスターズ」はじめ「全英オープン」「全米プロ」の海外メジャーにも参戦。2010年にシニア入りしました。シニアでは「ISPSハンダカップ・フィランスロピー」(2013年)1勝だけでしたが、「久々の久々だね」という今回が2勝目。「まだ50台には負けないよ。さらに成長して帰ってくるよ」ー。今季のシニア幕開けは、何かドラマチックな3日間でした。また、今季のシニアツアーは片山晋呉が1月31日に50歳の誕生日を迎えており、シニアの資格をクリアしました。「できるだけシニアにも行きたい」と積極姿勢をみせているので、近々のシニアツアーデビューが待たれています。

(了)