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★男子ゴルフ「内紛」騒ぎの中で今週ツアー開幕!中島啓太、蝉川泰果ら若手軍団の発奮成るか!?

昨年、「日本オープン」でアマチュア優勝した蝉川泰果。今年はプロとなって最注目の選手だ

国内ゴルフ男子ツアーがいよいよ今週30日に開幕します。2016年就任以来、今年4期目(8年目)に入っている青木功会長(80)を巡る“内紛”さわぎの中、日本ゴルフツアー機構(JGTO)はシーズンに突入です。22日都内で行われた定時社員総会、臨時理事会で青木会長との“対立”が取りざたされた副会長の一人、三木正浩氏(67、ABCマート創業者・最高顧問)が2月にJGTO副会長と理事を辞任したことが明らかとなり、青木功会長は残る1年の任期、会長を続けることが確認されました。このオフ「男子ツアーの危機」ともいわれた機構内のゴタゴタを乗り越え、選手達のフェアウェイでのパフォーマンスが待たれます。

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世界アマランク1位に贈られる「マコーマックメダル」を2年連続受賞。プロツアーも制覇して昨年9月にプロ転向した中島啓太。蝉川とともに今季男子ツアーの“目玉”になれるか

JGTOでは、執行部と選手会の間で運営方針を巡って意見が分かれ協議が続いていました。昨年1月、選手会長に就任した谷原秀人プロ(44)は「男子ツアーの不人気は現青木功体制にある」としてその先頭に立ち、三木正浩副会長をバックアップする立場をとったのが火種を大きくしたようです。以来、青木功会長と三木正浩氏との“対立”が注目されましたが、結局三木氏が今年2月末に副会長辞任届を提出、受理されたいきさつがあります。22日に開かれた総会では、若い選手とJGTO執行部とのコミュ二ケーションをもっとよくしてほしいとの要望が選手間からあったとされますが、青木功会長は「みんな勘違いして、ケンカしているようになってますが、そんなことはありません。(任期まで)もう1年会長をやりますので、よろしくお願いします」と、コメントしています。問題は全面解決とはいえませんが、とりえずは現体制でトーナメントの開幕を迎えます。

今年2月アジアツアー「オマーン」で優勝。コース近くの海浜で優勝カップを掲げる金谷拓実。今季国内ではその雄姿を見られるか?

国内開幕戦は「東建ホームメイトカップ」(3.30~4.2東建多度・名古屋)です。昨年の優勝者は香妻陣一朗(14アンダー)。昨年まで第1戦だったアジアツアーとの共催「SMBCシンガポール・オープン」がなくなり、「東建」が文字通りの男子開幕戦となります。若手台頭が著しいいまの国内男子。今年もその流れをくんで蝉川泰果、中島啓太の22歳コンビはじめ金谷拓実、河本力、桂川有人、久常涼、星野陸也、稲森佑貴、香妻陣一朗、堀川未来夢らのヤング勢が国内男子の焦点。そこに石川遼(31)、池田勇太(37)らの中堅がどう食い込んでくるか。昨年1億8000万円超を稼いで賞金王となった比嘉一貴(27)も有力選手の一人ですが、初めて出場権を得た米「マスターズ」(4月6~9日)へ向けての調整を優先し、その前週の米ツアー「テキサス・オープン」に出場を予定してすでに渡米中。

22年国内賞金ランキング5位の桂川有人。若手軍団の有望株の一人だが、今季は米下部ツアーにも参戦する。(提供:JGTO)

今春は1月から米、欧、アジアツアー5試合に出場。2月の欧州ツアーでは優勝争いに加わるなど好調を維持して大舞台「マスターズ」でのブレークを狙っています。従って「東建」は欠場となります。金谷拓実も年明けからアジア、欧州ツアー(DPワールドツアー)を転戦。2月、アジアツアーの「インタナショナルシリーズ・オマーン」で優勝を勝ち取る大健闘をみせて国内に臨みます。賞金王争いに加われる実力者ですが、欧州ツアー「マジカル・ケニアオープン」(3月)で3位に入った久常涼とともに、海外志向が強いこの2人です。シーズン中も欧州・アジア等の試合へのスポット参戦を視野に入れているので、国内戦で力を出せるかどうかです。海外参戦ではこのほか、大西魁斗と桂川有人が米下部ツアー(コーンフェリーツアー)の出場資格を得ており、2人は先週も米国に滞在していました。出場可能な試合があるときには滞米する意向なので国内ツアーとのかけもちとなるでしょう。

 

昨季の賞金王・比嘉一貴。今季も安定したゴルフで2年連続キングを狙う。開幕戦は「マスターズ」参戦で国内は欠場だがー(提供:JGTO)

 

さて、プロツアー本格参戦となる蝉川、中島の22歳コンビには今季も大きな視線が集まります。東北福祉大(蝉川)、日体大(中島)をともに今春卒業。2人とも1月から米ツアーや欧州ツアーに遠征。プロで戦う小手調べでしたが、中島は1月の「ソ二ーオープン」(ハワイ)54位のあと、米本土に渡っての「ファーマーズ・インシュアランス」「ジェネシス招待」でともに予選落ち。蝉川は「ソニーオープン」67位。「アメリカンエキスプレス」予選落ち。「ファーマーズ・インシュアランス」67位。そのあと一転して挑戦した欧州ツアーのシンガポールとタイの試合では60位と予選落ち、と全く上位で戦うことができませんでした。海外ゴルフの高い壁を痛いほど味わっての帰国でした。“敗戦”の中で得た反省点は多かったでしょう。

“対立”が取りざたされたJGTO青木功会長(右)と選手会長の谷原秀人プロ(左)。中央はISPS半田晴久会長(昨年12月、トーナメント発表会=都内で)

国内に戻ってから1ヵ月半。中島、蝉川ともに海外での体験を踏まえての再調整はしっかりとやったようです。「海外はいい経験でした。今年はプロとなって優勝することが一番の目標。自分の力を再確認して、来年はまた海外に挑戦できるような年にしたい」(中島)と力強いコメントをしていますがー。将来の男子ツアーを背負って立つといわれるこの22歳コンビ。どこまで本番へ立て直せたか。国内開幕が見ものです。もうひとり気になる石川遼は、前週の地方大会「岐阜オープン」(2日間大会)に出場して最終調整。通算5アンダーで13位でした。

 

 

(了)