今年の女子アマチュアゴルフ“日本一”は水戸市出身、18歳の高3・飯島早織(さおり=茨城・ルネサンス高)が勝ちとりました。秋田CCで開催された「日本女子アマチュア選手権」(6・13~16)。飯島と親友の全米女子アマ選手権覇者・馬場咲希(18)は最終日、ベストスコアで追い上げ、31位から優勝へ3打差の6位(通算イーブン)まで迫りましたが、涙を飲みました。試合後の2人は、お互い今秋のプロテスト合格を誓い合いました。今週は休む間もなく世界のトップジュニアゴルファーが参戦する国別対抗戦「トヨタジュニアゴルフ・ワールドカップ」が愛知豊田・中京GCで開催され、馬場・飯島はそろって出場します。さらに馬場は出場権のある「全米女子オープン」(7月6日開幕・ペブルビーチGL)、「AIG女子オープン(全英)」(8・10開幕)の大舞台が控えており、多忙なシーズンの幕開けとなりました。
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女子アマ日本一に輝いた飯島の父は、ゲームクリエイターの飯島多紀哉氏。3日目を終えて3人がトップに並ぶ接戦で高ぶる早織に、父は「最終日は緊張するなといっても、緊張はするもの。優勝したい気持ちより、優勝した時の景色を想像しなさい」と助言、これが大きな支えになったという。5月の「関東女子ゴルフ選手権」も制するなど好調が続く飯島は、初日からトップを守り続け、最終日は早朝からの小雨に時折強い風も吹き抜ける厳しいコンデション。それでも最終18番のティーでは3打のリードを持っていた飯島。その最終ホール・パー5でも強気で攻め続け、2打目がトップして立ち木にあたり4日間で初のダブルボギーの大冷や汗。1打差の薄氷の勝利でした。が、飯島は「パーでもよかったんですが、攻めた結果なので・・」と、太っ腹な弁。「ずっと欲しいタイトルだったので、絶対優勝してやると思っていた。最後はバーディーで上がろうとして、それが裏目に出ただけ。後悔はしてないです」。
ドライバーの平均距離は230ヤード。飛ばし屋ではないが、ショットを曲げない正確なゴルフは彼女の最大の武器。22年には「全国高校選手権・春季」にも優勝。プロのツアーにも9試合ほど出場していますが、上位に入った記録はありません。同い年で親友の馬場が、昨年の「全米女子アマ」を制覇したのは大きな刺激になり「追いつけ追い越せ」の心境とか。持ち前の強心臓で今年10月にはプロテスト受験を目指しています。
一方、馬場咲希。この大会、3日目までは75、73、72と苦しい試合でしたが、最終日になってようやく「かみ合った」と、本来の勝負強いゴルフを取り戻しました。ここのところショットが乱れ、それがパットにも影響して悩み続けていましたが、この大会決勝ラウンドに父親がキャディーを務めてくれて親子タッグを組むなど、復調へ必死でした。「ボールのあったところを最後まで見つめて、ヘッドアップしないように心がけた」のが効果があったという。大詰めの15、16番とバーディーを奪い、最終ホールの18番でも5メートルのバーディーチャンスを沈めたのは「うれしい上がりだった」と満足そう。「68」のベストスコアでトップへ3打差まで追いつめたのは“今後につながる”と。
でも「まだショットも本調子じゃないし、パッティングも気になるところがある。これからも大きな大会が続くので、もっとよくしたい」とのぞみは高い咲希。今週の「トヨタジュニアゴルフW杯」は仲良しの飯島早織、荒木優奈が一緒に出場するので楽しみと、若い18歳は疲れを知りません。今季鳴りをひそめていた馬場咲希のゴルフに“喝”が入った今回の「日本女子アマ」。“始動気配”濃厚の全米女子アマ・チャンピオンに、注目しましょう。
(了)