“鉄人・室田淳”59歳の14年もシニア、レギュラーかけもち。18週連続で13年を終えた不死身男!

シニアツアーの室田淳(左)、レギュラーツアーの松山英樹(右)、2013年両賞金王が喜びの握手。「頑張ったな」と声をかける室田に「室田さんもー」と松山。劇的なシーンだった(12月16日、東京汐留・オレゴンバー&グリルで)
シニアツアーの室田淳(左)、レギュラーツアーの松山英樹(右)、2013年両賞金王が喜びの握手。「頑張ったな」と声をかける室田に「室田さんもー」と松山。劇的なシーンだった(12月16日、東京汐留・オレゴンバー&グリルで)

 2013年シニアツアーで3度目の賞金王に輝いた室田淳(58)。シニア12試合中9試合に出場して3勝。6207万4000円のシニアツアー新記録の賞金を獲得しました。併せてレギュラーツアーには16試合に出場。838万335円を獲得、賞金ランクは85位でした。シニア、レギュラー両ツアーを合わせると6291万2335円となり、これはレギュラーツアーランキングの12位に入る健闘ぶりで驚かされます。レギュラーのシード権(賞金70位まで)を失い「レギュラーはもういい。14年は59歳なんだからシニアツアーに専念しますよ」と、語っていた室田ですが、レギュラーツアーQT(予選会)ファイナル受験の資格があるとわかると、再びトライして16位に食い込むしぶとさをみせました。30位くらいまでに入っていれば、前半戦の出場は約束されるので、14年の室田は再びシニア、レギュラー両ツアーかけもちにトライすることになりました。13年シーズンは、8月のファンケルから、12月10日に終わったレギュラーQT(三重・COCOPAリゾートクラブ 白山ヴィレッジ)まで、18週連続でプレーしてシーズンを終えた不死身男。「鉄人・室田」の面目や躍如たるものがあります。
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安定したショットを見せる室田淳。13年シニア最終戦のいわさき白露シニアも制して3勝目(鹿児島・いぶすきGC開聞コース)。
安定したショットを見せる室田淳。13年シニア最終戦のいわさき白露シニアも制して3勝目(鹿児島・いぶすきGC開聞コース)。

 13年の全日程を終えた室田は、12月16日、東京・汐留シティセンタービル・オレゴンバー&グリルで開催された「PGA感謝の夕べ」に出席、シニアツアー賞金王としてスポンサーや関係者に晴れやかな笑顔を振りまいていました。「悔しい2位が3回はありましたけど、3勝できたし、最高のシーズンでした。13年のシニアツアーはみんながいい試合をして、優勝争いは面白いものが多かった。8試合から12試合に増えてスポンサーの方々に感謝ですし、森会長はじめPGAのみなさんの努力のおかげです。我々選手は、いいプレーをしてそれに応えていかなくてはいけません。14年は私も59歳になります。体力不足は自分で感じています。シニアツアー中心になっていくでしょうが、幸いレギュラーのQTで資格を得たので両方でも頑張ります」

 感謝の夕べに姿をみせた松山英樹とがっちりと握手した室田。レギュラー&シニアの両賞金王が、お互い喜びを分かち合う珍しいシーンでした。両ツアーで25試合でプレーした室田。来るべきシーズンにも貪欲(どんよく)な意欲を披露していましたが、そこに出られる試合がある限り、何歳になっても倒れるまでフェアウェイにいたいという意欲は、まさにプロフェッショナルの塊です。実は12年も室田は賞金ランク80位でレギュラーツアーのシード権は失っていたのですが、QTファイナル6位に入って13年は16試合に出場したのでした。相次ぐレギュラーのシード落ちは、さすがに体力の衰えかもしれませんが、しっかりQTで食い下がってくるところは室田の粘り強いところです。

13年シニアツアー最終戦、いわさき白露シニアでシーズン3勝目。PGA・森 静雄会長(右)から優勝カップを受ける室田淳(左)。賞金王に花を添えた(鹿児島・いぶすきGC開聞コース)
13年シニアツアー最終戦、いわさき白露シニアでシーズン3勝目。PGA・森 静雄会長(右)から優勝カップを受ける室田淳(左)。賞金王に花を添えた(鹿児島・いぶすきGC開聞コース)

 特に13年のレギュラーではシード権を失ったうえ、QTのファイナルには出られないと思っていたようです。ところが、ファイナルQTへ出られる資格は「シード権獲得者の次位から出場義務試合に達していないもの等を除く10人」という項目があり、85位の室田はその枠9番目で″当確〝となったのです。ぎりぎりでの浮上で、“それならば”とファイナルQTに出向いた室田は、6日間の過酷な長丁場を耐え抜き16位フィニッシュでした。通常30位くらいまでに入れば、第1回リランキングまでのツアー序盤戦にはほぼ出場可能です。

 QT合格の感想を聞かれた室田は「夏のファンケルから、先週終わったQTファイナルまで18試合休まずにゴルフをしてきました。その甲斐あってなんとかここまでたどりつきましたが、来年7月には59歳ですからねぇ・・」と、複雑な胸中をもらしていました。しかし、レギュラーの資格を確保した以上は、14年もシニアだけにとどまっているはずはありません。ここまで頑張るスタミナと根性には頭の下がる思いです。

13年新規競技の「いわさき白露シニア」の初代チャンピオンになって優勝スピーチする室田淳(鹿児島・いぶすきGC開聞コース)
13年新規競技の「いわさき白露シニア」の初代チャンピオンになって優勝スピーチする室田淳(鹿児島・いぶすきGC開聞コース)

 レギュラーツアーでは6勝。05年にシニア入りして9年目を終えました。その間ツアー11勝。プロ31年目です。特にシニア入りしてからは安定したゴルフを見せ勝負強さもあって中嶋常幸らからは“天敵”とさえ言われて煙たがられています。しぶといゴルフは室田の真骨頂といえるでしょう。
13年、日本プロシニアで渡辺司にプレーオフ負けした室田は、同じ10月に行われた次戦のメジャー、日本シニアオープンでは断然の強さをみせて2年ぶり2度目の大会優勝でリベンジしました。そして最終戦、新規競技のいわさき白露シニアも制して3勝目。3度目の賞金王に花を添えました。

 14年、59歳の室田はどんなゴルフをみせてくれるでしょう?一度はあきらめかけていたレギュラーツアーへのチャンスもまた残りました。「青木(功)さんや中嶋(常幸)さんはスーパースター。私らは並みの選手ですから・・」というのが口ぐせだった室田ですが、“しぶとさ”ではAにもNにも負けない男・室田淳ですから・・。