目標は「日本のトップになる」(柏原)「マスターズで優勝」(大堀)・・JGAアカデミック・ゴルフ・アウォード受賞者の凄い発言!

表彰者の記念撮影で並んだ柏原明日架(左)と大堀裕次郎(右)=JGAで
表彰者の記念撮影で並んだ柏原明日架(左)と大堀裕次郎(右)=JGAで

高校・大学生を対象として日本ゴルフ協会(JGA)が毎年表彰する「2013年度JGAアカデミック・ゴルフ・アウォード」の表彰式が、3月17日、東京・京橋のJGAで行われました。最優秀賞は、高校生の部で昨年度全国高校ゴルフ選手権(春季)で優勝した柏原明日架(かしわばら・あすか=宮崎・日章学園高3年)。大学の部では昨年度日本アマチュアゴルフ選手権に優勝、松山英樹、石川遼と同世代で昨年12月にはプロ宣言した大堀裕次郎(大阪学院大4年)。松山英樹や宮里藍、森田理香子らトッププロの座についている選手たちが最優秀賞に名を連ねるJGAアウォードです。今年の受賞者たちはどんな花を咲かすのでしょうか。

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高校生の部、最優秀賞を受け、挨拶する柏原明日架(JGAで)
高校生の部、最優秀賞を受け、挨拶する柏原明日架(JGAで)

高校生の部で、男子選手を抑えて最優秀賞をゲットした柏原明日架は、現在押しも押されもせぬ高校NO1プレーヤーです。昨年は全国高校ゴルフ選手権・春季大会で優勝。日本・韓国・台湾のアジア3ヵ国で争うチーム選手権「ネイバーズトロフィー」では個人・団体ともに優勝。韓国にやられっぱなしだったチーム戦としては、07年以来の優勝を日本チームにもたらした価値あるチームリーダー・明日架でした。

森田理香子を思わす長身を生かした大きなゴルフで、高校ゴルフ界に君臨した柏原。ゴルフは小学1年7歳から始めました。中学に入ってから著しい成長をみせ、中2で出た日本女子アマ選手権でベスト8に入って注視されました。JGAのナショナルチームの選考会に呼ばれましたが、すぐ選手には選ばれませんでした。中3で再度選考会に招かれやっと育成選手になり、その中3の日本女子アマ選手権では決勝まで勝ち進み、決勝戦では酒井美紀(当時19歳)に1ダウンで敗れました。最終18番まで優勝を争った14歳の柏原は、一躍脚光を浴び高1になった11年、さらに12年(前期)とナショナルチームに加わり、13年はナショナルチームの代表メンバーとして高校選手権やネイバーズトロフィーで活躍したのでした。

受賞作文を読む大学生の部、最優秀賞を受けた大堀裕次郎(JGAで)
受賞作文を読む大学生の部、最優秀賞を受けた大堀裕次郎(JGAで)

表彰式では受賞選手は作文を朗読し、提出します。

柏原はその作文の中で「ナショナルチームに入るまでは、私は単純に良いスコアで回ればいいと思っていましたが、チームメンバーとして活動するようになり、心・技・体の大切さを考えるようになりました。そのためには自分自身が、いま何をしなければならないかを考え、本気でゴルフに向き合い始めました」と述べています。高校に進学してからはナショナルチームで海外遠征も何度も行い、国内では経験できない貴重な体験をしました。「ゴルファーとして、人として成長させてくれたJGA(ナショナルチーム)には感謝してもしきれないほどです。この経験を、私の夢であるプロゴルファーへとつなげていけるよう努力します」と、作文は結んでいます。

先ごろ高校の卒業式も終え、いま柏原は4月から始まるプロテストの予選で頭がいっぱいです。最終プロテスト(7月29日~31日)に向かって、予選をクリアしていかなければなりません。「高校を卒業してゴルフと向き合える時間が増えました。プロになるには課題は多いですが、いままでゴルフを難しく考え過ぎていたみたい。もっと簡単に考え、楽しくゴルフをやった方がいいのかなと思ってます。今度の賞は、歴代受賞者が凄い人ばかりで、まだ実感がわきません。でも自分ももらえたんだと思うと自信になります。日本のトップになるのが目標です」ー早くも″日本一〝を口にする明日架の夢は、限りなく大きいようです。

大学生の部、最優秀賞を受けた大堀裕次郎のスイング(昨年7月、日本アマ優勝の とき=提供:JGA)
大学生の部、最優秀賞を受けた大堀裕次郎のスイング(昨年7月、日本アマ優勝の とき=提供:JGA)

大学生の部で最優秀選手に選ばれた大堀裕次郎(22)。昨年7月、日本アマ決勝戦で杉山知靖(20=中央学院大2年)を9アンド8の大差で破ってアマチュア日本一になりました。1㍍82の長身。細身の体から300ヤードの長打を飛ばします。石川遼、松山英樹と同学年。高1の春、ジュニア世代の日本選抜チームに石川遼とともに選ばれ、練習を共にしたこともあります。大学2年生から3年生にかけてドライバーショットの大スランプに見舞われて長く低迷。苦しい時期を過ごしましたが、一昨年の日本プロシニアで湯原信光のキャディーを務め、悩みを打ち明けました。昨年2月には湯原プロのタイ合宿に参加して技術のほか、精神面でのレクチャーを受けて立ち直りのきっかけをつかみました。昨シーズンは、そのあと5月には関西アマで優勝。続いて7月、日本アマというビッグタイトルをものにし、苦労の末の優勝で涙しました。8月には関西オープンでプロツアー初出場、ベストアマで9位に入る健闘でした。

安西孝之PGA会長(左)から最優秀賞の表彰楯を受け取る喜びの大堀裕次郎(右)=東京・京橋のJGAで
安西孝之PGA会長(左)から最優秀賞の表彰楯を受け取る喜びの大堀裕次郎(右)=東京・京橋のJGAで

もちろんプロ志向の強い選手で、昨年秋のQT(予選会)を受験するつもりでした。日本アマ優勝の資格で2次予選からのはずでしたが、その直前に脇腹を痛めてQT出場を断念するアクシデントに見舞われました。″QT上位入賞〝がなければ今季のツアー出場はできませんので、大堀はアジアンツアーへ方向転換、アジアンツアーのQTにトライ。最終予選まで進みましたが、ファイナルで落選。アジアンツアーへの道も閉ざされました。しかし、ツアー出場への資格がないまま12月にはプロ転向宣言。それを受けて、戦略的マネジメント事業を行う「㈱HONDA ESTILO」とマネジメント契約を締結。さっそくバックアップしてもらえるスポンサーがついたのはさすがです。今季は主催者推薦の最大6試合と、上位に入った関西オープンの計最大7試合しかツアーに出られないのは残念です。この少ない出場試合で優勝すれば、その後のツアー出場権は得られますので、それを狙ってくるでしょう。

表彰式で発表した大堀の作文:

「兄や姉が坂田塾でゴルフを習っているのを見て、自分もゴルフをしたいと小3のとき坂田塾に入ったのがゴルフに夢中になるきっかけでした。高校から大学に進学して2回生から3回生にかけて、2年間もの間長いスランプを経験したときは、クラブを振るのが怖くなり、体も思うように動かなくなってゴルフをすること自体が嫌になった。このままゴルフはやめたいと思うようになりました。大学の先生方をはじめ両親や周りの方々がサポートしてくださったおかげで、何とかゴルフを続けられました。大学3回生の秋(12年秋)、日本プロシニアの試合で湯原信光プロのキャディーをやる機会をいただき、湯原プロから学びました。それからゴルフに対する考え方や取り組む姿勢が変わりました。自分を見つめ直し、感謝の気持ちでゴルフをしていくうちに、ゴルフの楽しさが戻り、スランプを克服することができました」

挨拶するJGA・安西孝之会長
挨拶するJGA・安西孝之会長

辛いことが多かった大堀のゴルフ人生の序曲。そこから粘り強く立ち直って日本アマチャンピオンになった意義は、大きいでしょう。日本アマに勝ったことでプロツアーへの出場も実現。「そこでプロの世界で戦いたいと強く思うようになった」と、いっています。そして「私の最終目標はマスターズで優勝することです」と、作文の最後は凄い言葉で締めくくっています。″マスターズに出場すること〝と、夢を語る選手は多いですが、「マスターズで優勝すること」を最終目標とするのは驚き。これこそ大堀の人並み外れた図太さ、スケールの大きさでしょう。

柏原明日架が「日本のトップになるのが目標」といい、大堀裕次郎は「マスターズで優勝することが最終目標」と″豪語〝します。最近の若者は本当にスゴイー。いや頼もしいといった方がいいのかもしれません!?

[2013年度JGAアカデミック・ゴルフ・アウォード受賞者]

◆大学生の部
最優秀賞:大堀裕次郎(大阪学院大4年)
優秀賞 :坂下莉翔子(同志社大2年)
優秀賞 :佐藤絵美 (東北福祉大4年) 奨励賞 :梅山知宏 (東北福祉大4年)
奨励賞 :佐藤千紘 (明治大4年)

◆高校生の部
最優秀賞 :柏原明日架(宮崎・日章学園高3年)

優秀賞  :和田章太郎(福岡第一高3年)
優秀賞  :堀琴音  (滝川第二高3年)
奨励賞  :磯佑太  (水城高3年)
奨励賞  :佐藤太地 (札幌光星高3年)