「メジャーの1番ティーアップで、手が震えている感じ」 ”世界のアヤコ”PGAの会員外理事にサプライズ登用!ーPGA再生に一役!!

はやりの”女子登用”はPGAにも!!初めて女子の会員外理事として就任した岡本綾子氏(左)と握手を交わす倉本昌弘PGA会長(右)
はやりの”女子登用”はPGAにも!!初めて女子の会員外理事として就任した岡本綾子氏(左)と握手を交わす倉本昌弘PGA会長(右)

“世界のアヤコ”元米女子ツアーの賞金女王、世界殿堂入りしている岡本綾子氏(63)が、男子の日本プロゴルフ協会(PGA)の会員外理事に就任しました。PGAの女性の理事は、1957年のPGA創立以来初めてのこと。旧知の倉本昌弘会長(58)の発案で「これからは女性の視点も必要。世界のゴルフ界を見てきた経験も豊富」とする考えから、白羽の矢が立っていた。7月14日の定例理事会、臨時総会で承認され、本人も受諾しました。暴力団との交際問題で揺れたPGAは、組織改革等を進めていますが、岡本綾子のスポンサーなど外部への積極的な働きかけにも期待は高まっています。いまはやりの″女性登用〝ではないですが、PGAの運営、発展に向け、その経験を生かした助言アドバイスなどの協会活動には注目が集まりそうです。

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「私にも新しい取り組み。女子プロ協会もPGAも、やろうとしていることは同じ。お手伝いできれば・・」と意欲を語る岡本綾子氏
「私にも新しい取り組み。女子プロ協会もPGAも、やろうとしていることは同じ。お手伝いできれば・・」と意欲を語る岡本綾子氏

東京・浜松町のWTCコンファレンスセンターで行われたPGAの理事会、臨時総会の記者発表で、岡本綾子さんが倉本昌弘会長と並んで席につきました。PGAでは初めての女性理事の誕生です。倉本会長が口を切りました。「かねてから、これからのPGAの運営、発展には女性理事も必要と考えていました。女性ならでは視点でモノを考えられる人。その上で男子ゴルファーのことも同時に考えられる人。そういうことで、世界で戦い、実績を残し、世界を見てきた岡本さんに打診してきました。年齢的にも申し分ないし、いまは若い子たちを育てているのも興味がありました。自分が戦った場と若い子たちが戦っているいまとでは違いますが、その両方を理解し、いろいろな経験を今後生かしてPGAに力を貸していただきたい」

倉本会長は、岡本綾子さんとは、現役時代からの旧知の仲です。いま倉本会長夫人になっているマーガレット・京子さんは、岡本綾子さんが現役で米ツアーを転戦していたころの綾子のマネジャーだった人です。そういう関係もあって「家内を通じて内々岡本さんに打診していた。女子プロ協会の理事をいまやっていないこともよかった」(倉本会長)と明かしました。

その後倉本会長から正式に理事就任要請を受けた岡本さんは「最初はお断りし、ちょっと考えたりもしましたが、私個人としても新しい取り組みですし、お受けすることにしました。理事会でも承認されましたが、PGAの組織的なこともまだ把握できていません。PGA理事として何ができるのか、ということもまだ何一つありませんのでいろいろなことを勉強させていただきます」としながらも「女子プロ協会の理事も10年くらいやりました。この2、3年は体調もあまりよくなかったので(協会から)離れていました。PGAは、女子プロよりもずっと長い歴史があります。まだ右も左も分かりませんが、興味は持っています。若いときはまた違ったこともできるかもしれない。PGAも女子プロ協会もやろうとしていることは同じだと思いますので・・」と、新しいPGA理事としての意欲の一端をほのめかしています。

「世界を見てきた岡本綾子さんは適任。PGAには女性の理事も必要」と、PGA改革に突き進む倉本昌弘会長=いずれも東京・浜松町WTCコンファレンスセンター
「世界を見てきた岡本綾子さんは適任。PGAには女性の理事も必要」と、PGA改革に突き進む倉本昌弘会長=いずれも東京・浜松町WTCコンファレンスセンター

いまPGAは、昨年起きた幹部と暴力団との交際問題の収拾に全力を挙げているところです。新しく今年から会長に就任した倉本昌弘リーダーのもと、PGA再生です。この日の理事会でも、役員がアマチュアとプレーする際は、プレー日、コース名、同伴競技者名をコンプライアンス担当事務局に報告することの申告義務や、反社会勢力との交際が発覚した場合は会員資格の一時停止または除名とする等の厳罰化なども決めました。全国14地区で「不当要求防止責任者(コンプライアンス担当窓口)」を選任し、講習会の受講を義務付け、各地区における会員の暴排意識の向上を図ることなどを決定しました。さらには、昨年の不祥事発覚当時の理事で、今年2月の改選でも再任された15人(会員外は除く)に対しては、改めて戒告処分としました。その他、各種組織改革を実行中のPGAの理事(会員外)に就任した綾子さんには、また特別な視線が注がれるでしょう。この日理事会で各理事に紹介された岡本さんは「緊張しました。メジャーの1番でティーアップして手が震えている感じ」と、心境を表現していましたが、倉本会長らしい画期的なPGA人事といっていいでしょう。

いま岡本さんは、女子プロで森田理香子、服部真夕、青山加織らの若手プロを指導。ツアーの中心選手に育て上げ、13年には門下生から賞金女王(森田理香子)を誕生させるなど、指導者としても注目を集めています。表純子も8年ぶりの優勝を果たすなど、世界を制した確固たる技術論、精神論は改めて敬意を表されています。岡本ファミリーは年ごとに数をまして5人。女子プロ界でも有数の″軍団〝になりつつあります。13年には、その指導力が評価され、2年連続でLPGAアワード特別賞が協会から贈られました。
これからは″2足のわらじ〝でPGAの理事としてシニアツアーの現場にも顔を出すこととなりますし、スポンサーとの接触が実現していけば、シニアツアーの試合増へ繋がっていく期待もこめられています。

理事は非常勤で原則的には無報酬です。しかし、理事会や総会への出席、協会関連の出張、シニアツアーの視察等で″出勤〝した場合は、1日2万7000円の「日当」が出ることいなっています。

プロ40年目となる岡本綾子さんの履歴をみると、改めてその偉大さが分かります。

1951年(昭和26)4月2日広島県生まれ。63歳。今治明徳高校卒。

昭和49年 日本女子プロゴルフ協会入会
昭和56年 JLPGAツアー賞金女王
昭和57年 米女子ツアー、アリゾナコパークラシック優勝
昭和59年 全英女子オープン優勝
昭和62年 米女子ツアー賞金女王
平成5年 日本女子プロゴルフ協会理事
平成9年 日本女子プロゴルフ協会副会長
平成15年 世界ゴルフ殿堂入り

☆通算62勝(国内44回、米女子ツアー17回、欧州女子ツアー1回)

☆表彰
昭和57年 日本プロスポーツ殊勲賞
昭和60年 都民文化栄誉賞
昭和62年 日本プロスポーツ大賞(内閣総理大臣顕彰)
平成5年 広島県 県民栄誉賞
平成15年 世界ゴルフ殿堂