2月の米ツアー以来、腰痛のため戦列を離れていた石川遼(24)が、5ヵ月ぶりに国内ツアーに復帰、久々に脚光を浴びましたが、予選落ちでした。国内今季2つ目のメジャー、日本プロゴルフ選手権日清杯(北海道クラシックGC=7月7~10日)。遼は、林には打ち込むは、池ポチャはやるは、グリーン周りからザックリはやるは・・ショットに全くいいところなく2日間12オーバー、140人中127位でのカット。2日間の試合中、腰痛の再発はありませんでしたが、5ヵ月のブランクで崩れたゴルフの立て直しは容易ではなく、次戦は「体の状態を確認してから」(遼)と未定のままです。3月には結婚を済ませた石川遼の本格カムバックはいつになるのでしょうか?心配です。
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石川は米ツアー4年目となる今季、2月はじめのフェニックスオープンを最後に米ツアーを欠場。帰国して腰痛の治療に努めてきました。当初は3月上旬にも米ツアー復帰を予定していましたが、腰椎椎間板症と診断され、日本での完全治癒に専念していました。これだけの長期戦列離脱はこれまでにも経験がなく、不安を隠せない遼でしたが、ようやく「ドライバーが打てるようになったので」(遼)と、合宿練習などで使用したことのある北海道クラシックGCでの復帰戦を決めたのでした。
しかし、現実は厳しいものでした。トレーニングと練習はしっかりやってきた遼でしたが、やはり実戦とはすべての感覚が違います。
勝手知ったる北海道クラシックのコースですが、大勢のギャラリーに囲まれ、緊張の中でのゴルフは思うようにはいきませんでした。インスタートの初日。11番は右ラフ、12番は左ラフに入れて連続ボギーの立ち上がり。13番でグリーンサイドからのロブショットを直接入れるバーディーが、2日間を通して唯一のバーディーになりました。ショットは乱れ、グリーン周りからの寄せをザックリしてボールは僅かしか飛ばないポカ。ミスパットも連発して1㍍のバーディーパットをよもやの3パット・・。その都度、自信なさそうな曇った表情さえ見せる遼クンでした。初日のフェアウェイキープ率は57.14%で125位。集まったギャラリーから悲鳴が上がる場面もありました。
★初日、1バーディー、6ボギーの「77」を叩き、114位と出遅れた初日のコメント。
「緊張感もあって結構苦しかったです。アイアンが飛んだり飛ばなかったり。距離感に苦しみました。2~3ヤードで済むはずの方向のブレも、6~7ヤードにもなるときもあった。ドライバーが打ててセカンドも狙ったところにいっても、パットが思ったところに全然打てない。試合になるとアドレナリンも出るし、かみ合わない。(腰に負担のかからない)新しいスイングも練習してるけど、球のスピン量も、球の質も変わってきているので、その辺は実戦を積まないと・・。(久しぶりに大勢のギャラリーを引き連れて)やっぱり、こういうところで勝つことを目指していかなくてはね。それを再認識しました。ただ体に関してはいい方向に向かっていると思う。それには安堵しました」
気を取り直して臨んだ2日目も、遼には手厳しいもの。バーディーを一つも奪えず初日を上回る苦しいゴルフに終始しました。ボギー先行し、8番パー5ではバンカーから一発では脱出できずダブルボギーの「7」。16番のパー5もダボをたたき、得意のパー5ホールも、2日間を通して遂に一つもバーディーがとれませんでした。初日30パットに続いて2日目は36パット。国内では自己ワースト順位の予選落ち。日本では13年6月以来、3年1ヵ月ぶりの予選落ちでした。
★2日間を通して1バーディー、9ボギー、2ダブルボギーの127位に沈んだ予選落ちコメント。
「調子が悪かった。ゴルフになっていない。2日目はショートゲーム、サンドウエッジでもミスがあった。2日間やってみて、フルスイングできることは再認識できた。練習では70%で打っていたのに試合になると100%で打つことが多かった。そこにスイングの乱れやタイミングのズレが生じていたと思う。そこを90%、100%と内容を濃くして練習していけば、アイアンの距離感だったり、ゴルフのリズムが合ってくると思う。できれば4日間やりたかったけど、それを望めるような内容でもなかったですね。前よりもよくなっている部分もあるので、これからはフルスイングで打っていく練習を毎日続けていって、体の状態も確認しながら次の試合を考えたいと思います」
石川は今季で米ツアー4年目。1年遅れて米ツアーに参戦した松山英樹がすでに2勝していますが、遼はいまだに初優勝がなく苦戦続きです。その上今年は24歳の若さで、腰椎椎間板症を発症。すでに米ツアーは5ヵ月間を欠場(出場6試合のみ)していて今季中の復帰は厳しいでしょう。米ツアーは8月末でレギュラーシーズンを終了することを考えれば、米ツアーを続けるとしても来季に備えるのが賢明でしょう。故障で戦列離脱した選手の出場資格を延長してもらえる「公傷制度」の適用を石川は米ツアーに申請。承認されたといわれています。その場合、今季の獲得ポイントや獲得賞金でシード権を更新できなくても、来季は一定数の試合に出場できることになります。
ところで、石川遼の今後の予定が気になるところですが、表面的には「未定」です。今回の日本プロ出場後の腰の状態を見極めた上でスケジュールが組まれます。関係者によれば、国内ツアー外競技の「ネスレ招待日本プロゴルフマッチプレー選手権レクサス杯」(7月29日~31日=北海道・恵庭CC)への出場が取沙汰されています。賞金は国内ツアーランクには加算されませんが、今年から日本プロゴルフ協会主管になる試合で、賞金総額は1億5000万円(優勝賞金1億円)の注目の大会。出場選手は32人で選考委員会が選出します。もし、遼が出場となれば、男子ツアーの空き週に開催されるこの大会。話題のイベントになるでしょうが・・。