シニアツアー、今季1試合増で18試合。3年連続試合増、6年連続賞金額アップ!強気のPGA倉本昌弘会長

隆盛続くシニアツアーの17年日程を発表するPGA倉本昌弘会長(左)と植田浩史副会長(右)=東京・浜松町WTCセンター
隆盛続くシニアツアーの17年日程を発表するPGA倉本昌弘会長(左)と植田浩史副会長(右)=東京・浜松町WTCセンター

日本プロゴルフ協会(PGA)が管轄する国内シニアツアーの隆盛が続きます。今季のシニアツアーは、昨季より1試合増、3年連続アップの18試合。賞金総額は6年連続で増え、昨年より6800万円多い8億7500万円。過去最高額の9億532万5000円(1991年)に迫る勢いで景気回復をみせています。1月17日、東京・浜松町のWTCコンファレンスセンターで今季初の理事会を開いた後、日程が発表されました。14年、倉本昌弘会長が就任してから今年で4年目のシーズン、その間毎年試合数も賞金額も増加を続ける好調さですが、同会長は「主催者の評価だと思う。来季もまだ増えると思うが、私自身の考えでは、試合数を増やすだけでなく、1試合1試合の価値を上げていきたい」と意気軒昂ですが・・。

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ギャラリースタンドを埋めるシニアツアーファン(16年8月、ファンケル・クラシック=静岡・裾野)
ギャラリースタンドを埋めるシニアツアーファン(16年8月、ファンケル・クラシック=静岡・裾野)
抜群の強さを見せてシニアルーキー賞金王に輝いたプラヤド・マークセン(タイ)=16年日本プロシニア住友商事・サミット杯
抜群の強さを見せてシニアルーキー賞金王に輝いたプラヤド・マークセン(タイ)=16年日本プロシニア住友商事・サミット杯

今季のシニアツアー、試合数は3増2減。新規の3試合は「すまいーだカップ・シニア」(6.1(木)~6.3(土)、栃木・イーストウッドCC)。「エリートグリップ・シニアオープン」(8.9(水)~8.10(木)、兵庫・鳴尾GC )。もう一つの「トラストグループ杯佐世保シニアオープン」(10.14(土)~10.15(日)、長崎・佐世保CC)は、後援競技からの昇格です。撤退した2試合は、開幕戦だった金秀シニア沖縄オープン(沖縄・喜瀬CC)と那須霞ヶ城シニアオープン(栃木・那須霞ヶ城)。金秀シニアは、同じコースで今季は日本プロ選手権日清杯が開催されるため、シニアの試合は遠慮したという事情があります。

新規参入の「すまいーだカップ」は、戸建分譲住宅メーカーの大手・飯田グループホールディングスが親会社。同グループが運営するイーストウッドCCを試合会場として行います。賞金総額は5000万円の3日間大会。日本プロシニアと同等の高額賞金総額で注目の新参入となります。「エリートグリップ」は、ゴルフクラブのグリップメーカーで、すでに日本ゴルフツアー機構(JGTO)の下部ツアー、チャレンジトーナメントでは主催試合があり、今季もすでにJGTOのチャレンジ日程には入っています。倉本会長がこの会社の社長と懇意であるということでシニアでの開催にこぎつけたものですが、両団体で試合を行うゴルフ界にとってはありがたいスポンサーです。水曜~木曜の2日間大会とはいえ、名門・鳴尾GCを舞台に熱戦が期待されます。「トラストグループ杯佐世保」は、シニアの後援競技をこれまで開催、今回初めてシニアツアーへの昇格です。2日間大会で賞金総額は2500万円と″小型〝ですが、試合の少ない長崎での開催は注目です。

シニア3年目で待望の初Vを挙げたニュースター、田村尚之。
シニア3年目で待望の初Vを挙げたニュースター、田村尚之。

4月20日からのノジマチャンピオン杯箱根シニアで開幕し、11月24日からのいわさき白露シニアの最終戦まで、5月を除き毎月シニアの試合がある賑わいです。老舗のファンケル・クラシック(静岡・裾野CC)は8月18日から3日間、コマツ・オープンは例年より1週早まって8月31日~9月2日(石川・小松CC)。これは、今年は米国シニアツアー(チャンピオンズ・ツアー)が初めて日本開催を決定し、「JAL選手権」として9月8~10日(千葉・成田GC)に行いたいとの申し入れがあり、日本側が日程を譲歩したものです。

昨季のシニアは、50歳のシニアルーキー、プラヤド・マークセン(タイ)が、7月末のマルハン杯太平洋クラブシニアで初優勝すると、以後出場6戦で4勝する圧倒的な強さで賞金王も奪取。獲得賞金6227万8000円は、室田淳がマークしていた6207万4000円(13年)を抜いてシニア史上最多を記録しました。日本勢では崎山武志(54)が2年連続で2位。シニア3年目の田村尚之(52)が、富士フィルム・シニアで最終日マークセンを逆転して待望の初優勝。選手も兼ねる″二刀流〝の倉本昌弘会長(61)は、最終戦の白露シニアで独走V。60代になって初Vと依然、健在なところをみせました。初シード(賞金ランク30位以内)は、出場試合数不足の3人を除外し、S・コンラン(豪)、寺西明、溝口英二の3選手。

61歳で頑張る室田淳。昨年も真夏のファンケルで通算16勝目を挙げた。(静岡・裾野CC)
61歳で頑張る室田淳。昨年も真夏のファンケルで通算16勝目を挙げた。(静岡・裾野CC)

倉本会長は隆盛の続くシニアツアーについて「ご協力いただいているスポンサーには感謝の念でいっぱいです。トラストグループが後援競技からツアーに転向しましたが、後援競技(今季は4試合)は全部ツアーに昇格してほしい。来年もまだ試合が増えることはほぼ間違いないですが、シニアはあまり連戦が続くと休む選手も出てくるので、そうならないように私は20試合以内ぐらいが理想だと思っています」と、まさに強気発言。
最盛期は26試合(1991年)もあったシニアツアーも、バブル崩壊の影響で1999年には年間3試合に激減するなどツアー消滅の危機さえありました。年間ひとけたの年が14年も連続で続く大恐慌からよくぞ立ち直ったものです。61歳の室田淳はまだ頑張っていますが、中嶋常幸、尾崎建夫、直道、飯合肇、高橋勝成、三好隆,友利勝良ら、かつてのスターがすべて60歳代になり、シニアツアーはいまや戦国時代に入っています。今季は″打倒・飛ばし屋マークセン〝が大きなテーマになりそうですが、新時代を迎えているシニアツアー。新しい魅力が求められているのも事実です。

≪今季、シニアツアーのメジャー2試合≫

★日本シニアオープン (福岡ザ・クラシックGCキング・クイーンコース、9月14日~17日)

★日本プロシニア住友商事・サミット杯 (茨城・サミットGC、10月5日~8日)。