マスターズ出場権を狙ってアジアを転戦中の小平智(28)が、日本・アジア共催のレオパレス21ミャンマーOPで2試合連続で2位に入る快挙を遂げました。この踏ん張りで世界ランキングは42位から35位へ上がった。念願のマスターズ出場へさらに大きく前進です。マスターズ2試合前の3月25日付で世界ランキング50位以内をキープできれば、夢の招待状を受けとれます。
28歳・小平智の厳しい行脚は続きます。ミャンマー前日2位の宮里優作(37)は最終日伸ばせず通算9アンダー5位。3位にいた川村昌弘(24)も通算8アンダーで8位タイに終わりました。
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日本の男子ツアーは、開幕2試合をアジアツアーと共催。ともに日本企業が冠スポンサーとなってシンガポールとミャンマーで開催しました。日本選手は1、2戦とも40~50人が参戦しましたが、シンガポールでは世界ランク10位のセルヒオ・ガルシア(スペイン)、第2戦のレオパレス21ミャンマーOPは29歳のレフティー、ポール・ピーターソン(米)がそれぞれ勝ち、大挙出場した日本選手の優勝は成りませんでした。6年ぶりに日本ツアーに戻った石川遼は、第1戦16位。第2戦は予選落ちといいところなし。池田勇太もシンガポールで予選落ち。ミャンマーでは35位と優勝争いに加わることはできませんでした。シンガポールでは40位の宮里優作が、ミャンマーでは3日目、首位に1打差の2位に接近して盛り上げましたが、最終日はスコアを伸ばせずに5位で期待を裏切りました。毎年アジアを転戦してアジアツアーのメンバー登録もしている川村昌弘が、ミャンマーでは3日目、首位に2打差の3位につけ、最終日″あわよくば〝の勝負をかけましたが、最終18番(パー5)で池越えを狙った第2打を池ポチャ。結局は8位どまりでした。
全く無名の池村寛世(22)が小平と並んで2位タイに入ったのは、ミャンマーでの最高のパフォーマンスでした。2日目66、3日目69と60台を続け、3打差6位からの最終日挑戦。前半で3つ伸ばして後半へ。11番では、この試合2度目の鼻血を出して驚かせましたが、応急手当のあと次の12番では5㍍につけてバーディーパットを沈めるいい根性をみせました。最後まで崩れず67の好スコアで締めくくり、優勝したピーターソンに2打差、小平と並んで自己ベストの2位タイになったのはお見事。鹿児島県出身。ゴルフを教わった父は、焼酎の原料になるサツマイモ農家を営む。プロ転向は2013年。昨季はQT12位でツアー出場、賞金ランク74位で初シードを獲得しています。今季、注目していい一人でしょう。
この池村とともに2位タイに入った小平は、最終日、18番(パー5)で2打目を池に落としながら、池の手前80ヤードからの打ち直しの4打目が直接カップインするミラクル・バーディーを奪ってホールアウト。8バーディー、ボギーなしの63で回って通算11アンダーでした。優勝は29歳のレフティー、ポール・ピーターソン(29=米)が通算13アンダーで日本・アジア両ツアーを通じて初V。
小平は、初日にも同じ18番で残り93ヤードからの第3打をサンドウエッジで直接放り込む″イーグル締め〝を演じています。ハワイでの最下位予選落ちを″良薬〝としたのか、アジアシリーズでは徐々に本来の攻めのゴルフを取り戻してきました。「ここへきてやっと伸び伸びプレーできるようになった」(小平)と、世界ランク50位内の″圏内〝に入ってからは本来のゴルフを取り戻してきたようです。シンガポール、ミャンマーと2試合連続の2位に入り、問題の世界ランクはシンガポールで42位に上がり、今回は有力選手があまり出ていないのでシンガポールほどではないですが、30位台には確実に入ってくるでしょう。
3月25日まで「50位以内」を維持しなくてはなりませんが、ほぼ大丈夫でしょう。次週のアジアの試合「メイバンク・マレーシア選手権」には出場資格がないため、いったん日本へ帰り、2週後には欧州・アジア・豪州共催の「ISPSハンダ・ワールド・スーパー6 パース」に出場します。1月第1週のハワイでのソニーOPから酷暑の海外3試合を戦って疲労も蓄積しているでしょう。
「まだ大事な試合が続くので、寒い日本に帰って体調を崩さないようにしっかり調整したい」と小平。古閑美保との新婚ムードも棚上げして、今年はシーズンオフ返上のタフな日々が続く小平です。それも悲願のマスターズ出場の夢を実現するためです。
(了)