昨年11月のプロテストに合格、女子大生プロとなったスーパールーキー安田祐香(19=滝川二高ー大手前大1年)に企業スポンサーが殺到しています。21日には電機メーカーの最大手、NEC(本社・東京)と所属契約を結び、祐香は大きなバックボーンを得ました。同時にデサント社のブランド「ルコックスポルティフ」とのウエア契約完了も発表。2月初旬にはダンロップの住友ゴム工業と用品使用契約もすませており、プロの世界で戦う強力な地盤が着々と築かれています。アマチュアとしては数々の実績を積み上げてきたトップアマですが、プロとしてはまだ未知数。大企業のサポートを次々と受けて早くも「早期の米ツアー進出の夢」まで語る祐香です。注目のプロデビュー戦、3月5日からの開幕シリーズ、ダイキン・オーキッド・レディスが、新型コロナウイルスの感染拡大のため無観客試合となりそうですが、人気沸騰の安田祐香のゴルフがプロとしてどこまで通用するか。大きなみどころといえそうです。
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″世界のNEC〝と所属契約を交わした先輩には大物がズラリです。米ツアー18勝の岡本綾子、米ツアー2勝の福嶋晃子、そしていまは原江里菜が契約8年目に入っています。同社は長期的なサポートをモットーとしているので、今回の安田祐香との契約も″長期〝が予想されます。プロにとって用品契約やスポンサー契約もありがたいですが、それらにも優る高額契約が″所属〝です。ツアー転戦費用や獲得賞金の何パーセントかを別途支給してもらえるオプション契約が含まれるケースが多く、選手が安心して戦える貴重なサポーターになります。自社CMへの出演やイベントへの出席等の義務は生じますが・・。
まだプロでは未知数の安田祐香が早くも数々の恩恵に浴したのは、企業からも高い評価を受けている証拠といえるものです。記者発表では過去に契約していた岡本綾子、福嶋晃子、そして現在契約中の原江里菜の3人からそれぞれ激励のメッセージが届く異例の発表会になりました。昨年8月のツアー、NEC軽井沢72でプロに交じって3日間ともアンダーパーで回り、通算8アンダーでベストアマ、14位に入った思い出のNECでもあります。この2月にはタイで約1週間の合宿も積み、昨年は張りがあった腰痛の克服にも努めたという。「いい環境で毎日ゴルフができました。この時期では例年より2~3倍の練習量をこなしました。腰も少し張りが残ることはあっても、痛みはありません」と、プロ転向を目前にして心身ともに充実した準備を怠らない祐香です。
☆トップアマから今度はより厳しいプロの世界へ。19歳の女子大生、安田祐香のコメント。
「いよいよだなっていう感じです。不安もあるけど、楽しみの方が大きいです。早く自分のプレーをしたいです。世界でも有数の企業であるNECの所属になれるのは本当に心強い。縁も感じます。私も世界で活躍できる選手になりたい。開幕戦のダイキンが無観客試合になりそうで残念ですが、感染の拡大が早く止まってほしい。前夜祭やプロアマも中止になるそうなので、なにかQTのような感じでプレーすればいいのかな。プロ1年目の今年は、ツアー優勝もしたいけど、安定性を重視して目先の目標を大事にしたい。前半戦だけでなく、後半戦にも出られるようにして早く来年のシードを取りたいです。将来的には米ツアーでプレーしたいと思っていますが・・」
いま、日本の女子プロゴルフ界は人気の絶頂にあります。黄金世代といわれるのは、世界ランク4位の畑岡奈紗や昨季旋風を巻き起こした渋野日向子。さらには勝みなみ、河本結、原英莉花、小祝さくら、新垣比菜、大里桃子、稲見萌寧らの若手群が目白押しです。早くもそれらに続くのが2000年生まれのミレニアム世代です。安田祐香と兵庫・滝川二高で同期の古江彩佳。昨年の富士通レディスでアマ優勝。即プロ転向した逸材です。19年日本女子アマ優勝。現役女子高生プロ・西郷真央(18=千葉・麗沢高3年=QT10位)。同じく高校生プロとなった山下美夢有(大阪・桐蔭高3年=QT13位)。18年日本ジュニア・日本女子アマ2冠の吉田優利(QT20位)や西村優菜(QT21位)。すでに昨年から米ツアー参戦している山口すず夏らと、まさに多士済々の新鋭が揃っています。
安田祐香は、それら若手群像を引っ張るエースともいえる大物ルーキーです。アマ時代には敵なし。「自分の最大の武器」というショットの精度の高さは、すでにプロ級。昨年暮れのシビアなQT(最終予選会)でも、4日間ともアンダーで回り計17個のバーディー(ボギーは5個)を奪いました。実力の証明でしょう。163㌢、53㌔。スイングに派手さはないが、どんなショットにも対応できる質の高いゴルフが身上です。家族は両親と姉。
今季女子ツアー開幕へあと約10日。どんなドラマが待っているのでしょうか!
(了)