「叩けば300ヤードいきます!」中2伊藤誠道、プロツアーで堂々予選通過

豪快なドライバーショットを放つ伊藤誠道。
豪快なドライバーショットを放つ伊藤誠道。

 若者の登場で盛り上がる男子ゴルフ界にまた一人、末恐ろしい天才中学生が頭をもたげてきました。先週の男子ツアー「VanaH杯KBCオーガスタ」に主催者推薦で出場、14歳21日のツアー史上最年少記録で予選を突破した中2のアマチュア・伊藤誠道(まさみち)です。まだ少年の体ですが、小柄な165センチの全身をバネのように使って、ドライバーは280ヤードを楽に飛ばします。「高校へは行きますが、卒業したらすぐプロになりたいです」と、屈託なくなく話す誠道クンは、石川遼を追う超新星といっていいでしょう。神奈川・藤沢在住、湘洋中の2年生。KBCオーガスタでは結果はブービーの66位でしたが、レベルの上がっているいまの男子ツアーで予選をクリアしたゴルフはただものではありません。
 
      ◇         ◇
 

300ヤードドライブを引っさげ最年少記録でプロツアーの予選を通過した伊藤誠道。
300ヤードドライブを引っさげ最年少記録でプロツアーの予選を通過した伊藤誠道。

 日没サスペンデッドになった前日の2ラウンドの残り5ホールをすべてパーでしのぎ、通算3アンダーとしカットラインぎりぎりの54位で決勝ラウンドに進出しました。14歳21日での予選通過は、04年サントリー・オープンで伊藤涼太がつくった14歳2ヶ月のツアー最年少予選通過記録を更新したのです。ツアー出場はこれが2試合目。「予選通過にだけかけていました。シビレたゴルフだったけど、ひとつ壁を抜けられた」と、うれしさをかくさずハキハキと答えていました。
 「たたけば300ヤードはいきます」と豪語する誠道クンですが、まだ小さく細い体で本当によく飛ばします。飛ばすだけでなくコースマネージメントも立派にできるのは大したものです。それも父親一誠さん(64)がプロゴルファーだからでしょうか。2歳からゴルフを始めたことになっていますが、本人は「まだハイハイしてたころからクラブを握っていた」といっています。幼少のころからゴルフを″遊び〝としてやっていた強みがいま現れてきたようです。
 
 
 まだ小学生だった昨年2月、ハワイで行われたパールオープンに出場、石川遼と同スコアで予選を通過して注目されました(61位)。今年6月には関東アマで日大4年の伊藤涼太をプレーオフで破り、すぐ翌週は全日本パブリックアマ選手権で水城高3年の高田聖斗をまたプレーオフで下して連続優勝しました。7月の日本アマ選手権では13歳11ヵ月で大会史上最年少での決勝進出を決めましたが、決勝戦では日大3年の宇佐美祐樹に破れ、惜しくも史上最年少Vは逸して準優勝でした。
 
 藤沢・湘洋中では陸上部に所属。短距離(100メートル)では12秒1のベストタイムを持っています。足腰の強靭なバネはこの陸上部での鍛錬や、毎朝欠かさない3キロのランニング、夜の打ち込みなどで培われたものでしょう。ゴルフの方は父親の指導のほか、いまは東京・六本木のアカデミーでレッスンをしている内藤博史(ひろふみ)プロのコーチを受けています。内藤プロは日大で矢野東と同級生。いまはレッスン中心で片山晋呉や前粟蔵俊太プロらも顔を出すようです。
 
 ところで誠道クンは中学生にしてはふてぶてしいところがあって、負けず嫌い。昨年10月のキャノンオープンで初めてプロのツアーに出場。1打足りずに予選落ちしましたが、2日目には68をマーク、最年少アンダーパー記録もつくっています。今回が2試合目のプロの試合でしたが、見事に予選を通過する快挙でした。プロ向きの強気のゴルフをするところは石川遼クンとよく似たゴルフスタイルです。このあともANAオープンなど秋の陣4試合に出場する予定ですから、どんな大暴れをするか、楽しみにしましょう。
 1995年8月8日藤沢市生まれ。父・一誠さん(64)、母・都久子さん(55)。
2男2女4人兄姉の末っ子。
 
◆伊藤誠道のプロツアー挑戦
 
08.10 キャノンオープン 予選落ち
09.8  KBCオーガスタ 66位