「いいゴルフで勝てた」「いままでの優勝とは違った形」33歳・石川遼、45歳・谷原秀人に最終18番で粘り勝った!

最終18番のバーディーで谷原秀人を逆転。大会4勝目、通算20勝を挙げた石川遼。珍しく両手コブシを突き上げ会心のガッツポーズ(提供:JGTO)

石川遼(33)が最終18番のバーディーで劇的逆転V。「三井住友VISA太平洋マスターズ」(静岡・太平洋クラブ御殿場コース、パー70)。今季2勝目で大会最多の4勝。ツアー通算20勝を達成しました。優勝賞金4000万円を加え賞金王も見えてくるランキング5位に急浮上。この日も大勢のギャラリーを引き連れ“人気男”に久々の脚光が輝きました。最終組石川の前を回った45歳の谷原秀人がスコアを伸ばし、18番まで単独首位で優勝目前でしたが、18番(パー5)で3パットのボギーを犯し、通算10アンダーで石川に並ばれ、石川が18番を2オン、2パットのバーディーで一気の逆転Vを演じました。勝てば石川と同じ節目のツアー通算20勝目だった谷原秀人は最終ホールでの明暗に敗れ「惜しかったです」と、悔しさをにじませました。47位で終えた平田憲聖が、この試合終了時点で賞金ランキング1位によって12月12日から米フロリダ州で行われる来季米ツアー出場権をかけた最終予選会の出場資格を得ました。

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7番(パー3)ではあわやホールインワンのスーパーショットみせるなど、石川遼らしいゴルフを見せてギャラリーを喜ばせた

最後の勝負には勝ったものの、石川遼の最終日は忍耐の一日でした。首位と1打差の2位タイからスタートした石川。前半は3番(パー5)のバーディーから始まり、7、8、9番と3連続バーディー。7番ではあと僅かでホールインワンというスーパーショットで20㌢につけ大歓声を浴びました。この3連続で単独トップに躍り出ましたが、後半に入ると一転苦しみの連続。11番で3㍍余りのパーパットを外して初ボギー。13番(パー3)ではグリーン右奥のバンカーに落とし、5㍍残したパーパットが入らず2個目のボギー。10アンダーに落として谷原に首位を奪われ2位タイに後退でした。辛うじて1打ビハインドで18番(パー5)を迎えます。ちょうどそのころ前を行く谷原が、18番で上の段6㍍(ピンは下の段)に3オン。下りの速いラインでカップ1、5㍍オーバー。返しも右に外す痛恨の初ボギーで天を仰いでいました。スコアが谷原と並んだ石川は、18番ティーショットを3番ウッドでフェアウェイキープを狙い、第2打の池越えを敢行。「行け、行け!」と叫ぶ遼の声が緊張感をあおりました。ボールは池をギリギリで越え、ピンの真横8㍍に2オン。イーグルパットは僅かに外れましたが。50㌢に寄せたパットをしっかりと入れてバーディー。谷原を逆転する「67」。1打差の通算11アンダーの勝利でした。

「後半は苦しいゴルフでしたが、すごい緊張の中でプレーできたのはいい経験でした。最後まで諦めずにやって最後の最後でチャンスがきたので我慢してよかったです。今週はショットが全体的によかったので、マネジメントなど試合運びもうまくいったと思う。後半は全然入らなかったけど、最後はパッティングで勝負しようという感じでした。17番をパーにできたら18番にバーディーで追いつけるかなと思っていました。全体的にはいいゴルフで勝てたかなという気持ち。いままでの優勝とはまた違った形だったと思います、すごく収穫のあった試合でした。賞金王が見えてきたって?僕の名前なんか、誰も考えてなかったんじゃないですか(笑)。大きい試合があと3試合ありますから、まだまだこれからじゃないですか。盛り上げていきたいですね」

晩秋の御殿場でナイスショットを連発、ギャラリーの歓声に応える石川遼

今季の石川遼は本領をみせないままほぼ1シーズンを終わろうとしていました。6月の選手会が主催した「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップbyサトウ食品」(栃木・西那須野)では実行委員長を務め、予選ラウンドではツアー初の試みとしてピンマイクをつけてプレー(後半9ホール)するなどのファンサービスに務めました。この試合で優勝した石川遼は大忙しの大会で奔走しました。しかし ツアーの方ではその優勝を含めてトップ10には4回。予選落ち4回。スポット参戦した「全米オープン」や国内メジャー「日本プロ」にも予選落ちするなどの苦戦続きでした。理想とするスイングになかなか到達せず、パッティングの悩みもあってかっての華やかさからは遠ざかっていました。33歳になったいま、まだ衰えるトシでもありませんが、今回の粘りあるゴルフをみているといま一度脚光を浴びるゴルフ復活へ期待がかかります。今季は残り3試合。すべて優勝賞金4000万円のビッグゲームです。今回の優勝で獲得賞金は7711万7844円の5位。1位の平田憲聖とは3081万9000円差です。石川があと1勝、もしくはベスト3に連続して入るようなら面白い存在になってきます。ファンの期待がもう一つ増えたといえるでしょう。 (了)