Daily Archives: 2009 年 10 月 13 日

23歳・勇太、18歳・遼。いまや日本ツアーを引っ張るY・R時代の幕開け!

6月の日本プロでツアー初優勝した池田勇太(中央)は、表彰式後、大会を支えたボランティアたちに囲まれて記念撮影(北海道・恵庭CC)
6月の日本プロでツアー初優勝した池田勇太(中央)は、表彰式後、大会を支えたボランティアたちに囲まれて記念撮影(北海道・恵庭CC)

 男子ゴルフの様相がちょっと変わってきました。11日に終わったキャノンオープンで、またまた23歳の池田勇太がすごいスコアを出して優勝しました。
昨年シード選手になったばかり、今年6月の日本プロでツアー初優勝したと思うとポンポンと3勝目。同じ週、海の向こうの世界の舞台(プレジデンツ・カップデ)で頑張った18歳の石川遼と張り合う″YR時代〝の幕開けを感じさせます。賞金1位の石川遼が今季4勝で1億2000万1839円。これに197万円と迫る池田勇太は、1億1802万8750円。今年の賞金王はこのどちらかから誕生する勢いです。
 
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ツアー2年目、今季はあっという間の3勝でスターダムにのし上がった池田勇太。
ツアー2年目、今季はあっという間の3勝でスターダムにのし上がった池田勇太。

 ドライバも飛びますが、池田勇太の見せ場は″アイアンの切れ〝です。キャノンオープン(戸塚CC西コース)最終日は、タイガーばりのピンそばショットを連発しました。2番パー5では第3打でぴたり1メートル。3番はあわやイーグルか、という20センチ。4番でも60センチとピンに絡めて3連続バーディーです。さらに3バーディーを加えてアウトは30。前日首位の久保谷健一に3打差3位からのスタートでしたが、この前半であっという間にとらえて後半はさらにアイアンのさえをみせて2バーディー。ノーボギーのゴルフで8アンダーの64。初日にも同じ64で作った大会記録&コース記録タイを2日にわたってマークするブレーク。終わってみれば2位に4打差をつける通算16アンダー。初日が雨による中止で54ホール競技(賞金は75㌫加算)となったとはいえ、誰にも文句をいわせない胸のすく豪快な勝ちっぷりでした。
 

今年の日本プロ優勝者として、来季日本プロの冠化記者発表に出席。抱負を述べる池田勇太(東京・浜松町)
今年の日本プロ優勝者として、来季日本プロの冠化記者発表に出席。抱負を述べる池田勇太(東京・浜松町)

 池田が通った東北福祉大ゴルフ部は寮の近くにアプローチの練習場があり、池田はそこでよく″遊んで〝いたそうです。「ゴルフ部の練習以外にも僕は個人的にも週の半分くらいはこの練習場にいましたね。そのせいだけでもないですが、僕はアプローチにはそれなりに自信があります」と、述懐する池田です。池田の勝ち取った3勝は、そのほとんどがアイアンのスーパーショットが決め手になっています。
 ツアー2年目で早くも賞金1億円を超えました。前週のコカ・コーラ東海クラシックでは最終組で優勝争いを続けながら、最終ホールでドライバーを曲げたあげく、第2打を前年に続く痛恨の池ポチャ。石川遼との優勝争いに敗れましたが、勝つか負けるか、くよくよしない池田の男っぷりのいいゴルフは、石川遼とは対照的な一面を持っています。今年は6月のUBS日本ゴルフツアー選手権でも、最終日単独首位で出ながら、チャージに失敗して16位に終わった屈辱も味わっています。が、ここ3試合は2位、3位、優勝。今季15試合中8試合でトップテンに食い込む安定度です。
 「終わったものはしょうがないでしょう。へたくそなんだよ。また次で頑張ればいい」といった類が、負けたときのいつもの池田のコメント。まさにくよくよしない性格を表しています。
 
 池田はアマチュア時代から注目された選手ですが、高校3年のときプロを目指してQTを受験してファイナルで落ちました。「僕は高校を出てプロになりたかったのですが、母親は大学進学を勧めました。QTを落ちたこともあって、それならと誘いのあった東北福祉大へ行きました」といっています。大学での4年間は、こうなるともったいないような気もしますが、池田は「大学での4年間の生活は一度も後悔したことがないです。逆に池田勇太という人間が常識も覚えたし、いっそう大きくなれたんじゃないかと思います。いろんなことを勉強する場でした」と明快にいいます。
 

世界のプレジデンツ・カップでも石川遼の名をとどろかせた18歳。いまや日本のエースだ。
世界のプレジデンツ・カップでも石川遼の名をとどろかせた18歳。いまや日本のエースだ。

 プロ2年目の18歳・遼に対してプロ3年目、23歳の勇太。そういえば、いま高校3年生の石川は「このままプロ専従か、あるいは大学進学か」、まだ答えは出していないそうです。タイガー・ウッズも名門・スタンフォード大を卒業してからプロになりました。勉学の意思も持ち合わせる石川は、タイガーの足跡もしっかりと見つめているようですが、高校生にしてこれだけのビッグマネーを稼げるとなると、もういまさら大学進学ともいかないかもしれません。17歳からプロで稼ぐ石川遼と、4年間を大学で過ごした池田勇太の″差〝は、どこで解消できるのでしょうか。
 キャノン・オープンで勝った池田はインタビューで「18歳に負けないように、23歳も頑張ります」と答えていました。今年はともに1億円を超える賞金を稼いでいますが、池田の大学4年間は少なくとも賞金に関しては0円だったわけです。
 
 今週の日本オープン(埼玉・狭山)は国内最高峰の大会。石川は米国遠征にもかかわらず帰国した足でこの大会にのぞみます。賞金総額2億円は(優勝4000万円)国内ツアー最高額。遼以上に勇太は負けられない1戦に違いありません。大会連覇を狙う片山晋呉も虎視眈々です。
23歳と″遅れ〝をとっている池田勇太の勝負根性を見守りましょう。