Daily Archives: 2010 年 1 月 12 日

実質プロ2年目で〝マスターズプレーヤー〝に。 池田勇太のオーガスタへの夢

石川遼、片山晋呉に続きマスターズ委員会からの″マスターズへの招待状〝が届き、その手紙を披露する池田勇太(東京・赤坂のホテル)
石川遼、片山晋呉に続きマスターズ委員会からの〝マスターズへの招待状〝が届き、その手紙を披露する池田勇太(東京・赤坂のホテル)

 石川遼がアジア、欧州の団体対抗戦、ロイヤル・トロフィーで話題を集めましたが、国内ではもう一人の人気男・池田勇太(24)にマスターズの招待状が届いていよいよ勇太も″マスターズプレーヤー〝になりました。プロ入り4年目、実質2シーズンを終わっただけの選手がマスターズの出場権を得たのですから石川遼ともども大した男です。昨年12月末の世界ランキングで33位になり、50位以内に与えられる出場権を堂々ゲットしたものです。都内のホテルで堂々とマスターズ招待状披露会見をやった(1月7日)のも勇太らしい男っぷりでした。
 
   ◇   ◆   ◇
 
 昨年末、「池田勇太感謝の集い」で羽織袴で登場して男泣きしたその同じグランドプリンス赤坂の同じ五色の間で勇太はマスターズ招待状を披露、決意を語りました。「感謝の集い」では800人超の関係者でごった返した会場も、今度は約50人の報道陣が陣取っただけ。壇上に置いたテーブルの椅子に腰を下ろした勇太は、質問を待つでもなく自分から語り始めました。
 「1月6日の朝、8時くらいにお袋が家のポストボックスに入っているマスターズ委員会からの招待状を取りました。″来たよ!早いね〝といって僕に手渡してくれ、封を切ってお袋と二人で見ました。権利は得ていたといっても、やはり招待状を手にしないと不安でしたからね。ほっとしてうれしかったですね」
 

思いっきりのいい池田勇太のショットが、オーガスタでどまで通用するか。
思いっきりのいい池田勇太のショットが、オーガスタでどまで通用するか。

 年明け早々1月4日に石川遼のところへ招待状が届き、続いて片山晋呉、そして6日に池田勇太と立て続けで日本で出場権を得ている3人にマスターズ委員会から招待状が舞い込みました。石川はその足でロイヤル・トロフィーのタイへ飛び立ちましたが、池田はじっくりと日本で喜びを味わえたのはよかったです。というのも、池田も、石川ともどもロイヤル・トロフィーに出場するはずでしたが、右手甲と左腰痛の治療のために、出場を辞退していたからです。
 
 夢のマスターズ出場がかなったといっても、池田は体の故障が気がかりです。このオフはクラブを持たず、もっぱら治療に専念しましたが、まだ腰の方が完治していません。本人の言によれば「右手の方は100%よくなった。腰の方は60%かな」という段階です。旧冬12月23日を最後にクラブを握らなかったオフですが、家族旅行で温泉を楽しんだあと、年明けに1度だけ1ラウンドしたそうです。「18ホールなら腰も痛みなくプレーできました」と、ほっとした表情でしたが、手も含めてこういうケガは患部を使わないのが一番で、オフは絶好の治療になるのですが、完全に治してからでないと、またクラブを握って球を打ち始めると再発する恐れが多分に潜んでいるものです。1月になっても「60%」という腰の方が心配です。
 
 マスターズは4月8日が開幕です。米ツアーは1月第1週に開幕、ハワイでの開幕戦はオーストラリアのジェフ・オギルビーが優勝、賞金112万ドル(約1億円)を獲得しました。相変わらず賞金も高く魅力のある米ツアーですが、マスターズまでには15試合が組まれています。日本の池田勇太が出られる試合はWGC・アクセンチュアマッチプレー選手権(2月17~21日)です。世界ランキング33位の池田には出場権があるので、池田自身も「できればマッチプレーから出て行きたい」と希望をのべています。それ以外に出られる試合(主催者推薦などで)が何試合かはある見込みですが、これは体の故障との兼ね合いもあってまだ決めていない状態です。
 
 石川遼とは違ったゴルフで海外試合にも期待が大きい勇太ですが、何せ体との相談、というのは心もとない限りです。それでも憧れのオーガスタナショナル(マスターズの舞台)でプレーできる喜びは勇太の心を揺さぶりました。オーガスタへの思いを聞いてみました。
 

昨年、日本プロでツアー初優勝。ボランティアと記念撮影する池田勇太(北海道・恵庭CC)
昨年、日本プロでツアー初優勝。ボランティアと記念撮影する池田勇太(北海道・恵庭CC)

 「マスターズのオーガスタナショナルはプロとしてどうしてもやってみたいステージでした。独特の雰囲気を味わってみたいです。去年、片山晋呉さんが4位に入った試合はテレビで見ました。でもテレビで見る以上に難しいコースだと思います。テレビで見るよりもアップダウンがあるとか、グリーンがうねっていて小さいとか、いろいろ聞いてはいますけど、」あまり情報は気にしないで、自分が行って見て、その第一印象でやりたいですね。(名物ホールの一つ)13番のパー5の印象が強いですが、あのホール、1打、2打、3打とどう打っていくのか、まだイメージが湧かない。それだけに楽しみです」。
 
 昨年は日本国内ツアーでいきなり4勝して驚かせ、あっという間に日本のトッププレーヤーにのし上がった勇太ですが「まだまだやることは多い」と謙虚です。昨秋、HSBC選手権(中国・上海)に出場して(51位)世界の一流どころを目のあたりにして思ったそうです。
 「僕の球はフェードなんですが、世界の人たちより僕の球は低いのを感じましたね。フェードで攻めるのはいいのですが、もう少し球の高さを上げて″高いフェード〝が打てるようにしたい。国内でも4勝はしましたが、負けた試合も多いですし、そこで学んだことが多いです。去年は全英オープンで世界の初メジャーも経験(予選落ち)しましたけど、マスターズは全英とはまた違う雰囲気だと思っています。でも全英で戦った経験を生かせればいい。すべてを今年につなげていけたらいいですね。オーガスタでも池田勇太らしいゴルフをやりたいです」
 
 マスターズでは最低でも予選通過、決勝ラウンドに進んで最高のプレーをしたいー勇太の夢が24歳の若さでかなえられるかどうか。なにはともあれ、万全の体でオーガスタへ乗り込んでもらいたいものです。