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宮里藍、“3度目の正直” でヤニ・チェンに勝つ! ハワイの風に負けず賞金女王へ第1歩!

米ツアー7年目、脂の乗ってきた今季は、念願の賞金女王への弾みをつけたい宮里藍。賞金ランクも2位に浮上。
米ツアー7年目、脂の乗ってきた今季は、念願の賞金女王への弾みをつけたい宮里藍。賞金ランクも2位に浮上。

 海の向こうから今年最高のビッグニュースが飛び込んできました。われらが藍ちゃんの喜びの今季初優勝です。開幕から好調を続けながら、宿敵ヤニ・チェン(台湾)に2度までも“1打差2位”で優勝をさらわれていた宮里藍(26)。ハワイ・コオリナGCで行われたLPGAロッテ選手権は自身今季6試合目(開幕7試合目)。2日目に首位に立つと好調なパットで譲らず、最終日後半に失速したヤニ・チェンを下して歓喜の米ツアー7年目で8勝。4シーズン連続の勝ち星です。今週は日本でのワールドレディス・サロンパス杯(茨城GC西コース)に出場するため、文字通り凱旋帰国します。

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宿敵ヤニ・チェン(台湾)をやっと下して米ツアー今季初優勝を遂げた宮里藍
宿敵ヤニ・チェン(台湾)をやっと下して米ツアー今季初優勝を遂げた宮里藍

 ハワイアンバンドをバックにフラガールに挟まれて、フラを踊る藍ちゃん。優勝セレモニーに現れたダンサーと一緒に腰をふり手足をひらひらさせる藍ちゃんは、最高の喜びに浸っていたのでしょう。2日目でした。ボギーなしの7バーディーの65を出し、12位から一気に首位タイに浮上しました。ハワイ特有の風の中、この日はティーショットで一度もフェアウェイを外しませんでした。ショットの安定にも増して、パットの完全復調が大きかったのです。前戦のクラフト・ナビスコ選手権で苦しんだパット。父親・優さんの指摘で狭すぎたスタンスを広げ、球の転がりをよくするためにグリップの微調整もした改良パッティングが功を奏しました。「思うラインに打ててるし、ボールの転がりもよくなった」と藍ちゃん。迷いを振り切ったあとは強かった。ハワイは3日目も時折突風が吹く難しいコンディション。我慢のゴルフいなりましたが、それでも2つ伸ばして単独トップに立ったのです。

 2位に3打差をつけた最終日最終組。ヤニ・チェンは4打差の4位タイにいました。

現在、賞金ランキングトップ ヤニ・チェン
現在、賞金ランキングトップ ヤニ・チェン

停滞した前半、9番のボギーで同組のム二ョス(スペイン)、猛追してきた2組前のリー(韓国)並ばれました。12番(パー3)では、バンカーの目玉を反対側のラフまで打ってしまう大ピンチ。これを1メートルに寄せてボギーで凌いだのも大きかったです。この時点でミナ・リーに首位を譲った藍でしたが、次の13番(パー5)では3打目アプローチが大きくオーバーしながら12メートルの下りのパットを沈めるバーディーで息を吹き返しました。
15番ではカラーからの6メートルをパターを使って流し込むバーディー。17番では3メートルを決めて、終盤6ホールで3バーディーは強烈でした。最終日も結局2つ伸ばし、リーが18番でダブルボギーをたたき一気に4打差をつけての逃げ切りでした。最終日の藍のパット数は「24」と抜群でした。

 最大のライバル、ヤニ・チェンは前半で一つ伸ばしましたが、後半に3ボギーと失速。ホンダLPGA、RRドネリーと2度までも最終日最終組で回って圧倒されたヤニに、ついに3度目の正直でリベンジしました。
「私の日でなかった。ショートするのが多く距離感がつかめなかった。風のせいだけでなく私にも問題があった」と、シャッポを脱いだヤニ・チェン。優勝した藍とは8打差の10位に終わりましたが、藍VSヤニの対決は、これからも米ツアーの最大の焦点になりそう。藍の父親・優さんは「この勝利でヤニと戦える自信がついたのじゃないか。メジャーでの対決が見もの」と話しています。

宮里藍の優勝コメント:

今季米ツアー初Vを果たした宮里藍。今週は凱旋帰国してワールドレディス・サロンパスカップ(茨城GC)でお目見えする。
今季米ツアー初Vを果たした宮里藍。今週は凱旋帰国してワールドレディス・サロンパスカップ(茨城GC)でお目見えする。

 「すごく長い一日でしたが、思い出の残る楽しい1週間でした。最終日は、後半パットを一つでも多く決めたものが勝ちだと思っていました。追いつかれてもあせることなく、落ち着いて丁寧にやることを心がけた。それがロングパットにつながった。今シーズンはずっとショットも調子はよかったのだが、かみ合わなかった。パットやショートゲームが決まればかみ合ったプレーができる。ようやくそれができたのがうれしい。でもシーズンはまだ6試合で、3分の1もいっていない。このままの状態でいきたいです」

 オフは恒例のアリゾナでのキャンプを張りました。スイングも、今季はテークバックでコックを作るタイミングを遅らせてスイングアークを大きくするフォームに変えています。“世界一スローなスイング”と海外では称されるゆったりとした藍のスイング。今年はますます磨きがかかっていますが、藍は09年ごろから続けているヨガの効果も見逃せません。大リーグ、マリナーズのイチローとも親交が深く、劇団四季のトレーナー歴もあるという山本邦子氏の指導を受け、身体機能改善のための運動を続けています。非力でも正確性をつきつめていく藍流のゴルフには、効果てきめんの心身トレーニングといえるでしょう。

 飛距離ではヤニ・チェンには約20ヤードは先を越される藍ですが、フェアウェイキープ率、平均パット数では負けていません。一矢を報いた藍がこれからどんなゴルフでヤニ・チェンに立ちはだかるでしょうか。この勝利で藍の賞金ランクは、ヤニ・チェンに続く2位に上がりました。米ツアー生涯獲得賞金も608万8311ドル(約4億9000万円)と、600万ドルを突破しました。念願の米ツアー賞金女王への弾みとなる宮里藍の今季1勝目でした。
  ◆米女子賞金ランキング上位3人◆(4月22日現在)

① ヤニ・チェン(台湾)95万8126ドル(約7760万円)
② 宮里藍 62万9783ドル(約5101万円)
③ 柳先暎(韓国)50万8855ドル(約4121万円)