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フェードをドローに変えてマスターズ攻略を! 日本“5冠”に輝いた43歳アラフォーの星・藤田寛之

ジャパンゴルフツアー表彰式で海老沢勝二JGTO会長(左)から最優秀選手のカップを受け取る藤田寛之(右)=3日、パレスホテル東京
ジャパンゴルフツアー表彰式で海老沢勝二JGTO会長(左)から最優秀選手のカップを受け取る藤田寛之(右)=3日、パレスホテル東京

 今季の全日程を終えた日本ゴルフツアー機構は3日、パレスホテル東京でジャパンゴルフツアーの表彰式を執り行いました。その中心に祭り上げられたのは、43歳のアラフォーの星、藤田寛之でした。賞金ランキング賞(賞金王)をはじめ、最優秀選手賞、Unisysポイントランキング賞、平均ストローク賞、ゴルフ記者賞の5部門で受賞する“独り占め”。日本シリーズJT杯の優勝で今季4勝を挙げ、12月末までに世界ランキング50位以内を確保すれば出場権をもらえるマスターズへの2度目の出場も手中にしました。ツアー15勝中、40歳代になって9勝目を挙げるアラフォーの活躍は、世のオジサマ族にも力を与えました。またも藤田との勝負には敗れましたが、こちらも年間1億円ラインを突破して賞金ランク2位を確保した谷口徹も藤田にはハットオフ。が、ヤマハの話題のクラブ「ニューインプレス」を愛用する二人だけに「まあ、ヤマハでワンツーフィニッシュできたからよかった」ー強力な2人の広告塔を抱えるヤマハの喜びようも、普通ではありません・・。

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今季ツアー最終戦、日本シリーズJT杯も完全優勝で飾った藤田寛之(東京よみうりCC)=提供:日本ゴルフツアー機構
今季ツアー最終戦、日本シリーズJT杯も完全優勝で飾った藤田寛之(東京よみうりCC)=提供:日本ゴルフツアー機構

 日本シリーズ、3年連続で藤田に勝てない谷口がぼやきます。「きょうはどんなにいいゴルフをしても追いつけないと思った。あそこまでゴルフに対し熱心なゴルファーはいないと思うよ」― 2010年の日本シリーズは最終日に61を出しながら1打足りませんでした。雨で3日間大会になった2011年は、藤田とのプレーオフで敗れました。今年は、三たび藤田と最終組での対決でしたが、7打差の5位に落ちて谷口の日本シリーズのリベンジはまたおあずけ。普段は仲のいい僚友。古くからヤマハと用具契約をしてきた藤田に誘われるような形で数年前から谷口もヤマハとクラブ契約を始めました。その二人が40代になってからお互い、勝ちまくるのですからヤマハも笑いがとまりません。

ゴルフ日本シリーズの熱戦が繰り広げられた東京よみうりCC1番ティー
ゴルフ日本シリーズの熱戦が繰り広げられた東京よみうりCC1番ティー

 日本シリーズでは、藤田は初日に61で飛び出し、連日の60台でスコアを伸ばし続け、3日目を終わってすでに15アンダー。谷口、石川遼らの9アンダーグループに早くも6打差をつけての最終日でした。その最終日、緊張するどころか、落ち着いたゴルフでバーディー発進(2番)。4番を落としましたが、6、7番の連続バーディーで揺るぎません。難しいグリーンの9番もユーティリティの4番でピン右5メートルに乗せ、1メートル近くカーブするフックラインを読み切る4個目のバーディーで、もう盤石でした。
 後半はムリをせず、着実なパープレーで67。通算18アンダーにまで伸ばして2位グループに5打差で逃げ切る完全Vでした。

藤田寛之の優勝コメントですー。

抜群の安定度をほこる藤田寛之のドライバーショット(東京よみうりCC)
抜群の安定度をほこる藤田寛之のドライバーショット(東京よみうりCC)

 「自分でもびっくりするくらい落ち着いてやれました。大会3連覇はいままでやった人がいない記録で、歴史に名前が残るのでとてもうれしいですね。賞金王より名前が残るでしょう。世界ランキング50位以内というのも自分にとっては大きいこと。それらを全部とれたんだから、これがもし他人がやったら凄いなと思いますね。メジャーへの思い入れもあったし、日本の代表として、もっと凄いもの、もっと強いものになりたい、と思い続けて国内でもやっていたら、レベルが上がっていった。海外に行っていて自分にとって強い衝撃を受けたのは、2010年のぺブルビーチビーチの全米オープン。世界の厚い壁に何度も跳ね返されていたんだけど、行く以上はどこかでなにかの結果を残したい、と思うようになった。世界で活躍してる日本の選手がいまはいいなくなった。自分としても悔しいし、もっと若い選手が頑張らないとと思ってます。40代の選手が頑張っているスポーツはほかにないですからね」

パリッとしたスーツ姿で壇上から受賞の挨拶をする藤田寛之(パレスホテル東京)
パリッとしたスーツ姿で壇上から受賞の挨拶をする藤田寛之(パレスホテル東京)

 今季は国内ツアーで4勝。賞金は1億7515万9972円のビッグマネーを稼いで初めての賞金王です。2年ぶり2度目の最優秀選手に選ばれたのもうれしい受賞ですが「いますぐには実感がない」と一言。それよりも心はすでに来年4月のマスターズに飛んでいるようで。初出場だった昨年は予選落ち。「今度こそ4日間、あの舞台を楽しみたい」と、新たな意欲をみせていますが、左に曲がるホールの多いオーガスタナショナルを頭において、今年夏ごろから「持ち球だったフェードボール(落ち際に右に曲がっていくボール)を捨てました。(左に落ちて距離もかせげる)ドローボールに変えました。1度ですが行った経験からマスターズではフェードボールではどうしてもダメだ、と思ってます。変えるのに迷いはなかったです」と、明かしました。オーガスタ攻略へ、この夏から“準備”をしていたとは・・。賞金王を取るよりも“世界ランキング50位以内”を目標にしていた、とはちょっとびっくりです。

ジャパンゴルフツアー表彰式で勢ぞろいした受賞者たち(3日、パレスホテル東京)
ジャパンゴルフツアー表彰式で勢ぞろいした受賞者たち(3日、パレスホテル東京)

 それほどまでに執着していたマスターズへの切符をついにゲットしたのですから、藤田の来季のモチベーションは上がります。「マスターズに出られることによって、来年はそれを中心にいろいろ考えていくことになります。それを中心に各メジャー、WGC・・。4月までにドローボールを含めてどこまで準備ができるかです。168センチしかない自分でも世界の舞台で生き残ってける方法は必ずあるはずです」

 仕事と家庭の両立はできないと思ってる、という藤田は「家庭にはムリをいってると思います。そんな家族には感謝ですね」と、優合子夫人と育ちざかりの2人の男の子には頭をさげていました。

 3日の表彰式を終えると、今週6日から始まるタイ選手権(アジアンツアー)に出場するため、あわただしくバンコクに向かいました。
 この試合も世界ランキングに反映されますので、活躍次第では順位が変動します。今年最後の試合で藤田がどんなゴルフを、見せますか。43歳にして日本のトッププレーヤーにのしあがった藤田寛之。真冬から真夏への天候の激変もありますが、今週も注目しましょう。BSフジが実況中継するようです。
<藤田寛之>

表彰
最優秀選手   (2回目)2010、2012
賞金ランキング賞 (1回目)

Unisysポイントランキング賞(2回目)2011、2012

平均ストローク賞 (1回目)

ゴルフ記者賞 (1回目)

註⇒「Unisysポイント」とは? 平均ストローク、平均パット、ドライビングデスタンスなど9部門順位をポイント化して総計する。部門別順位の合算のため、選手の総合力が判断される。

★今季のツアー優勝(4勝)
つるやオープン
ダイヤモンドカップ
ANAオープン
ゴルフ日本シリーズJT杯

★タイ選手権への主な日本人出場選手

藤田寛之
池田勇太
石川遼
小田孔明
久保谷健一
片山晋呉
小林正則
平塚哲二
丸山大輔
塚田好宣
上田諭尉
白佳和