石川遼と同学年のアマチュア、松山英樹(21)=東北福祉大3年=が、男泣きの全英オープン初切符を手に入れました。タイ・バンコク郊外のアマタ・スプリングCC(パー72)で行われた全英オープンアジア地区最終予選(2日間競技)で、初日66で首位、2日目も69で回り、通算9アンダー2位でフィニッシュ。上位4人に与えられる全英オープンの出場権をゲットしたのです。日本人アマチュアでの全英出場は、78年の倉本昌弘、90年の倉本泰信に次ぐ23年ぶり3人目の快挙です。全英オープンは初出場ですが、11年、12年のマスターズに続く世界のメジャー出場で、早くも世界への挑戦が相次ぐ英樹です。3月下旬にもプロ転向が予測されていますから、そうなれば7月18~21日、ミュアフィールドの全英オープンは、プロとしての出場となります。
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全英オープン初出場の喜びで、英樹には珍しい涙があふれました。最後約30センチのバーディーパットを沈め2位が確定すると、英樹の目の充血はみるみる赤みをましてきました。思いは昨年の悔しいシーンが頭をよぎったのです。昨年の最終日、バーディーラッシュで首位を走り、出場権は間違いないと思われたのに、大詰の16番をダブルボギー、17番をボギーにしたところで雷雨による2時間の中断。再開後の18番ではティーショットを左の池の石垣へ打ち込んで4オン3パットのトリプルボギー。このホール、パーでも出場権獲得だったのに、上がり3ホールで6ストロークを失う“大ケガ”。結果は2打足りずに10位に落ちる惨敗を喫したのです。
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今年もまた!!でした。16番は第2打を左に曲げてボギー、17番(パー3)はグリーン奥の池に入れてダブルボギーと、昨年を彷彿(ほうふつ)させる大詰め。「怖かった」という悪夢の18番。しかし、左の池をものともせず、フェアウェイセンターへ超300ヤードのビッグドライブ。残り144ヤードをウェッジで30㌢につける完璧なプレーでリベンジしたあたりに、松山の大きな成長を感じます。こうした緊張の舞台で、初日、2日目ともに8バーディーをマークして60台で回った“実力”は見上げたもの。これまで2度の予選会落選を乗り越えての全英オープン初切符でした。
日本からは松山のほか、丸山大輔(41)が8アンダー、3位で合格。最終日64で猛追した19歳の川村昌弘は、通過ラインの4位に2打届かず6アンダーの5位。池田勇太(27)は5アンダーの9位でした。
今年の全英オープンは今回の松山英樹、丸山大輔のほか、昨年国内賞金王の藤田寛之、同2位の谷口徹、同日本オープン優勝の久保谷健一の計5人が出場権を持っています。全英日本人の過去最高位は、82年倉本昌弘の4位ですが、果たして今年の5人組は? 中でもアマかプロかわかりませんが、若武者・英樹の動向は注目の的です。
2月25日に21歳の誕生日を迎えたばかりの英樹です。石川遼とは同い年で同学年。何かと比較される二人ですが、「遼に負けないように頑張りたいし、お互いで(ゴルフ界を)盛り上げられるようになればいい」と、英樹からは常々遼を意識した発言が聞かれます。その遼クンは16歳でプロ転向、もう今年でプロ6年目。ツアー10勝を挙げて獲得賞金も6億円を超えているのが現状です。マスターズ27位でローアマ(11年)、三井住友VISA太平洋マスターズで優勝(11年)、ダンロップフェニックス2位(12年)・・と英樹のゴルフはもうプロ並みです。遼クンに勝るとも劣らない実力をもっている英樹が、東北福祉大を卒業するまでさらにあと1年、アマでいられるとは思えませんでした。まだプロ入り表明はしていませんが、近々プロ転向を宣言するのはほぼ確実とみられています。今年、東北福祉大ゴルフ部の主将になっていますが、それとてプロ入りを阻む大きな障害ではないでしょう。5日から中旬まで行われる東北福祉大ゴルフ部の豪州合宿には英樹も参加します。オフに今後の相談に乗った阿部靖彦監督は「プロになるかどうかはけじめをつけてから。キャプテンでもあるし、まずは4年生を送り出す卒業式(3月22日)がひとつのけじめ。それ以降のことです」と、話しています。以前から英樹は「大学は卒業したい」と話していましたが、ゴルフの実力がどんどんとつき、事態は大きく変わってきたといえるでしょう。一昨年、三井住友VISA太平洋優勝の資格で、今季の国内ツアーはほとんど出場できます。この権利を生かして今季のツアーに乗り込めば、予選会等に出る煩わしさがありません。
マスターズへ3年連続アマで出場したかったのですが、これがかないませんでしたから、マスターズを前にした3月末の“宣言”が妥当でしょう。日本の国内ツアーは、マスターズの翌週、東建ホームメイト杯で開幕しますから、松山英樹のプロデビューは、国内開幕戦ということになりそうです。
◆全英オープンの出場権を得た上位4選手とスコア(最終予選会は、豪州、アフリカ、米国、欧州でも行われる)
第1日 最終日
①アフィバーンラト(タイ) -13 68 63
②松山英樹 -9 66 69
③丸山大輔 -8 71 65
③呉阿順(中国) -8 68 68