国内シニアツアー賞金王の獲得賞金額も6000万円超時代へ!!シニアツアー最終戦「いわさき白露シニア」(鹿児島・いぶすきGC開聞コース)が終わりました。すでに前試合で今季の賞金王を決めていた室田淳(58)が、貫録の試合展開で最終戦も完全V。KYORAKU カップ(6月)、日本シニアオープン(11月)に続き今季3勝目。この試合の優勝賞金1200万円を加えて今季の獲得賞金額は6207万7400円と6000万円台乗せ。これまで石井裕士が1991年に得た5226万2050円のシニア年間獲得最高賞金額を22年ぶりに更新する快挙になりました。60歳を目前にしてますます強い室田淳って、どんな人??!!
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室田淳って“鉄人”といわれるプロなんです。180センチ、80キロの日本人離れした恵まれた体躯で、“そこに試合があれば”なんでも出ていく貪欲なプロ。日本体育大卒でレギュラーツアーでは6勝していますが、幾多の後援競技等にも顔を出しそれらを含めるとレギュラー時代は17回の優勝歴があります。
もちろんレギュラーツアーでもシード選手を続けていましたが、タフな試合出場を聞かれるたびに「僕んとこはまだ子供が小さいんで稼がなくちゃならんのですよ」が、口ぐせでした。その二人の娘さんも、いまでは長女が24歳。次女が22歳と立派に成人されて余裕ある家庭を築いていますが、室田の“どこへでも出ていく症候群?”は変わりません。
05年にシニアデビュー(50歳)してから、一段の強さを発揮した室田は、シニアでさらに大きな花を咲かせたプロの一人といえるでしょう。シニアになってから、1歳年上の中嶋常幸と好試合を展開し、何度も痛い目にあった中嶋は室田を“目の上のたんこぶ”といい、室田は“中嶋さんはスーパースター。僕らは普通の選手ですから”と一歩譲りながら、それでいて勝負にはシビアでした。シニア入りしてからもずっとシニア、レギュラー両ツアーをかけもち出場してきた室田の年間試合数は飛びぬけていました。保っていたレギュラーのシード権を昨年失いましたが、すぐ12月の最終予選会(QT)に出て6位に入り、今季のレギュラー出場権をキープしました。
その今シーズンもシニアツアーは12試合中9試合、レギュラーには15試合に出る相変わらずの“鉄人ぶり”。シニアでは日本シニアオープンなど3勝して2位が3回。ツアーではない北関東シニアオープン(日光CC)にも出場して室田は勝っています。5月には井戸木鴻樹が優勝した全米プロシニアでは5位に入る健闘でした。しかし、レギュラーツアーでは今季振るわず、ついにシード権を失いました。賞金ランキングは84位(シードは70位まで)。QT受験も、予選に出られなかったため不可能となって、レギュラーツアーへの道は閉ざされました。
シニア最終戦のいわさき白露では渡辺司、井戸木鴻樹らに激しく追い上げられましたが、
初日から60台を重ね、最終日はいきなり1、2番で7メートルの長いバーディーパットを連続で決め、3番はあわやイーグルのカップ5センチにつける3連続バーディーで圧倒。アウトは30で回り、後半も1バーディーを加えて7バーディー、ノーボギーの65。67で回った2位渡辺司を2打引き離す通算16アンダーの圧勝でした。
今季3勝目でツアーを締めくくった室田淳のコメント
「最後は渡辺司とマッチプレーみたいになったが、彼もパターがよかったからね。ボギーは打たないだろうと思ってやっていた。自分も、こんなにパター上手かったかなと思うくらいよく入ってくれた。ピンポジは結構難しかったのに・・。スタート前、井戸木のパッティング練習みていたら、手袋したままでやっていた。僕はパットのときはいつも手袋とるんですが、彼がいいストロークをしているんで、それなら今日は手袋したままでやってみよう思ったんです。そしたら、ボールの転がりが強くなったんで、そのままやったことが好調につながったと思いますよ。15番で2打目をバンカーに入れて難しい状況だったけど、気弱になってボギーにした方が負けと思ったから、曲がろうが何だろうが勇気をもって打ったあの1打が2.5メートルについて、1パットでナイスパーがとれた。ボールぎりぎりに入れて砂を薄めにとってスピンをかける勇気のいるショットだった。司にはプロシニアのリベンジ(POで敗戦)ができたかな」
58歳になっても強い室田淳のゴルフ。そえを聞かれると「そんなことないですよ。いつもパッティングのときは、心臓パクパクで心臓がのどから飛び出しそうになるくらいなんだから。そんな経験、一度やってみなさいよ。僕は(ゴルフが)上手くないからどんな試合も手を抜けないんです。上手い人なら手を抜けるでしょうけど、僕はできない。だからいつでも一生懸命やってるんですよ。今シーズンの結果は、大満足でした」と、自らを振り返えりました。
来季からは、「日本プロと日本オープンは出ますよ。資格があるから」といいながら、軸足はシニアにどっぷりとつかりそう。「来年はレギュラツアーあるの??」と、不穏な発言が飛び出しましたが、「レギュラーツアーは主催者(スポンサー)ばかりを大事にして、ファンを大事にしていない。主催者が喜ぶ大会でなくて、ファンを大切にするツアーじゃないとダメですよ」と、過激発言をあえて放った室田プロ。シニア今季9試合の平均ストロークは67.84。パーキープ率もダントツの90.48。賞金2位の奥田靖己とは3000万円以上の差をつけたシニアの鬼は「来年は中嶋(常幸)さんとまた勝負しなくちゃいかんからね」と、不敵な笑みで今季を締めくくりました。
ちなみに今季の室田のシニアツアー9試合の賞金と、レギュラーツアー15試合の賞金を合計すれば、6291万2335円となり、これをレギュラーツアーランキングに置き換えると池田勇太も川村昌弘も上回る8位相当になります。“鉄人・室田淳”の面目躍如たるところです!