昨年、史上最年少(15歳293日)で女子プロツアー優勝を果たしたアマチュアの勝みなみ(鹿児島高1年)が、今季もヨコハマタイヤ・プロギア・レディス(高知・土佐CC=15日最終日)に初参戦。パットの不調で辛うじて予選は通過しましたが、結果はブービーの56位タイ。不本意な今季のスタートでした。今春、高2に進学しますが「今年、プロでもう1勝できれたらプロ転向も考えたい」と、高まる気持ちを抑えきれない胸中をもらしました。さらには6月15日に兵庫・有馬ロイヤルGCで行われる全米女子オープンの日本地区予選にトライする意向も固めたようです。スーパーアマに登りつめたみなみちゃんの″思い〝はつのる一方で、世界最高峰のメジャー出場権獲得にまでヒートアップしました。みなみの次戦は、JGAナショナルチームの一員として戦うニュージーランド・アマ(22日出発)。そして国内ではヤマハレディス(4月2~5日、静岡・葛城)になります。
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昨年4月のKKT杯バンテリンレディスでツアー最年少優勝の快挙を成し遂げたみなみちゃん。今季はどんな活躍を見せてくれるのか、ゴルフ界の大きな話題です。昨年は、バンテリンに勝ったあと、ツアーに計8試合出場。NOBUTAマスターズGCで15位、樋口久子森永レディス23位、アマチュアとして史上初の出場となった最終戦のLPGAツアー選手権リコー杯では24位でシーズンを終え「自分の中では、革命が起きたような年」と振り返りました。プロツアーに勝ち、日本ジュニアでは最終日に6打差を逆転V、世界アマ、仁川アジア大会にも出場しました。アマ旋風の先頭に立って、まさに″みなみイヤー〝 の感が強いゴルフ界でした。
そして今年ー。注目の第1戦は「パッティングに苦労した」(みなみ)と8オーバーの56位タイ。初日の3番では「いつ以来か覚えがない」という4パットでダブルボギーを犯すなど61位と出遅れました。それでも2日目、1オーバーの73と我慢して最下位の49位で予選を通過したのはさすが。最終日は再び7ボギー(2バーディー)の77と崩れて最下位一つ上の56位タイ。大里桃子(16)とベストアマは分け合いました。
大会を通じて3日間ともパットの不調は深刻。2日目には33パット。イップス気味になっているという『勝みなみのコメント』。
「パットが狙ったところに打てない。イップス気味になっている感じで、真っ直ぐ打てる気が全くしない。特に3㍍ぐらいから短いのがダメです。″お先に〝の距離でも″入るのかなぁ〝と思ってしまう。去年からずっとおかしくて、引っかけてしまうクセがあって、グリップの持ち方なんかを変えたら、今度は開いてしまって・・。試合に出たらよくなるかなと思っていましたけどダメです。長い距離は問題ないんですけど、短かくなったら本当にダメ。去年バンテリンに勝ったころは、パターをつり気味に構えていたんです。それで引っかけるようになったんで握りを変え、構え方もハンドダウンにしたら、今度は押し出すようになったり・・。また握りを変えたりでいまに至っているんです。ラインは合ってると思うのですが、そこに打てていないんです。パターをつり気味にして最終日やってみたら、最終ホールでは狙ったところに打ててちょっとよかったかなぁ・・と思います。家に帰ったらパターを替えてみます」
悩みはなかなか尽きないようで心配ですが、ゴルファーにはつきものの″イップス〝からは何とか脱出するのを期待するしかありません。
まだシーズンは始まったばかりですが、今季のみなみには大きな夢が広がっています。「今年はできれば15試合とか20試合とかのプロの試合に出てみたい。そしてもしプロで2勝目が挙げられたら。プロ転向も考えたい」と、16歳の若者のモチベーションは高まるばかりです。みなみにゴルフを教えてきた祖父の市来龍作さんも「推薦を頂ける試合には出してやりたい」といいながらも「まだ高校生なので、やること、学ぶことも多い。高校はちゃんと卒業してほしい」と、複雑な心境をもらしています。
昨季は、みなみのバンテリン優勝が、アマチュア勢の活躍に火をつけました。今年もアマ旋風のリード役になれるかどうか。1月には豪州で行われたJGAナショナルチームの合宿に参加。今月下旬には、昨年優勝したニュージーランド・アマゴルフ選手権に連続して出場します。そのためスケジュールが重なったTポイントレディス出場は見送り、帰国した後は4月2日からのヤマハレディス、そしてディフェンディングチャンピオンのKKT杯バンテリンレディス(4月17~19日、熊本空港)に出場する予定です。
「ニュージーランドは去年も行って楽しみ。海に行って、何だかパシャパシャやって、青春してきたいです!」(みなみ)
パットの悩みも、日本を離れ暑いニュージーランドで心機一転、吹き飛ばしたいのでしょう!
6・15、全米女子オープン日本地区予選が行われるのは昨年に続き2度目。昨年、みなみは他の試合と重なって出場を断念しましたが、今年は日程的にも支障はなく、近くエントリーする予定とか。昨年の日本地区予選では、成田美寿々、渡辺彩香、穴井詩、城間絵梨と16歳のアマチュア、橋本千里の5人が出場権を得ています。みなみは初挑戦ですが、世界最高峰へのトライにはまた注目が集まります。
シンデレラガールの今シーズンは、どこで、どんな活躍を見せてくれるのでしょうか。昨季は5月のワールドレディス・サロンパス杯では初日115位と出遅れながら2日目怒涛の10バーディーで「65」を出し、35位で予選通過した勝負強さも披露しました。今年は一気にプロ転向もあり得るのでしょうか。ドラマを秘めたみなみの行方には、目が離せませんー。