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″無名”からシニアツアー8戦4勝を勝ち取った男!崎山武志(52)のシンデレラ・ストーリーは成るか?!

シニアツアーの老舗、コマツOPが開催される小松CC1番ティーグラウンド。
シニアツアーの老舗、コマツOPが開催される小松CC1番ティーグラウンド。

今季の国内シニアツアーは、コマツオープン(9月10~12日、石川・小松CC)で8試合を終えましたが、そのうち4勝を挙げるスーパーシニアが出現しました。シニア3年目の崎山武志(52)。レギュラー時代は″無名”で優勝もなし。それが2013年、シニアになったとたん、デビュー戦の沖縄・金秀シニアで優勝して突然勝ち始め、今季は第2戦のKYORAKUシニア(5月)、第4戦のマルハンカップ太平洋クラブシニア(8月)、第7戦のアルファクラブ杯シニア(9月)のあと第8戦のコマツ・オープン(9月)に連勝。シニア通算5勝で、今季早くも4902万円を稼いで賞金ランキングトップを走っています。残るシニアツアーは5試合。日本プロシニアや日本シニアオープンのメジャーが控えており、シンデレラ・ストーリーを追って、﨑山の行く手には熱い注目が集まっています。

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コマツOPで逆転優勝。2週連続Vの優勝カップを抱く崎山武志。(コマツOP=石川・小松CC)
コマツOPで逆転優勝。2週連続Vの優勝カップを抱く崎山武志。(コマツOP=石川・小松CC)

シニアツアー通算14勝の″王者”室田淳も真っ青!のニュースターの出現です。シニアトップクラスの飛ばし屋で小技はうまいし、パットも一級品。コマツオープンでは最終日首位を行く渡辺司(58)に1打差でスタートし、3番のバーディーで首位を奪いそのまま快走。追う渡辺が17番でバーディーをとって1打差に迫られた最終18番(パー5)。崎山は第2打でグリーンエッジまで運び、そこからのチップショットをピンに当て、あわやイーグルかというバーディーフィニッシュでグリーン周りのギャラリーをうならせました。追ってくる渡辺を、文字通り突き放す通算13アンダーでの2週連続の逆転優勝でした。

キレのいいアイアンショットを見せる崎山武志(コマツOP)
キレのいいアイアンショットを見せる崎山武志(コマツOP)

初日、2日目と雨模様の悪コンディションにもめげず、初日70で7位発進のあと、2日目は7アンダーの65を出して1打差の2位につけていました。176㌢、78㌔の恵まれた体躯からゆったりとしたリズムのいいスイングをみせる崎山です。ショット、パットとも安定したゴルフで、最終日はフェアウェイを外したのは1ホールだけ。グリーンを外したのも1ホール。3㍍以内のチャンスはほとんど決めるスキのないゴルフでした。ただ一度フェアウェイを外した6番は「ギャラリーが動いて″止まってください”という声が聞こえた。アドレスに入っていたのでそのまま軽率に打ってしまった。左へ曲がるOBになった。僕の場合、(ギャラリーが)動いても気にならないのですけど、そういう声の方が気になった。仕切り直せばよかった」という。ダブルボギーになりましたが、それでも次の7番ではバーディーで取り返し、インでも2つ伸ばして追いかける渡辺、羽川豊はつけ込めませんでした。

8戦を終わって平均ストロークは70を切る68.60で1位。パーキープ率、パーオン率、パーブレーク率の各部門でも1位を保ち、バーディー数は98で、これもダントツの1位に立っています。いかに崎山が安定したゴルフを続けているかが分かります。前週のアルファクラブ杯シニアオープンで今季3勝目を挙げたとき、賞金トップを行っていた室田淳を抜き去りランキング1位に浮上。今回の4勝目で1200万円を加え4902万9千円となり、ランク2位の室田との差を約1650万円に広げました。ファンケルで今季2勝目を挙げ、4度目のシニア賞金王へ名乗りを上げていた還暦の室田には手ごわいニューライバルが立ちはだかってきました。それどころか、独走態勢の足場を固めつつある崎山の存在は、国内シニアツアーの新たな勢力分布図になってきました。

バーディーラッシュでギャラリーに応える崎山武志(コマツOP)
バーディーラッシュでギャラリーに応える崎山武志(コマツOP)

出身地は愛媛県。八幡浜市立八代中出身ですが、その後は栃木県在住で「地元は栃木」(崎山)といっています。今回の豪雨水害には心を痛め「地元に恩返しを、と思っていたところ。さっそく賞金から栃木県と鹿沼市などに義援金を贈りたい」と語っています。ゴルフの方は、21歳からクラブを握り、1992年に30歳でプロ入りしましたが、98年の賞金ランク85位が最高で、これといった戦歴もありません。43歳だった06年には、交際していた女性とトラブルを起こし、傷害事件で逮捕されるアクシデントがありましたが、不起訴処分で事なきを得ました。シニア入りした13年、開幕戦(金秀シニア)に出場資格がなく、大会直前に行われた予選会で2位に入って出場権をゲット。同じ会場で行われた本戦のデビュー戦でいきなり逆転優勝を果たし、翌年のシード権を確保する離れ技も演じました。そのとき「みなさんの模範になるようなプロになりたい」と神妙に語ったのが印象的でした。

 

飛ばし屋・崎山武志の魅せる武器・ドライバーショット(コマツOP)
飛ばし屋・崎山武志の魅せる武器・ドライバーショット(コマツOP)

☆今季4勝目を挙げた崎山武志の優勝インタビュー。

「最終ホールで(ピンに当てたバーディーで)沸かせられてよかったです。6番のOBのときは、ダボパットもいやな距離だったけど、あれを入れられなかったら再逆転されたかもしれません。司さんはきょうはパットに苦しんでいたんでそれに助けられましたね。今回は初日に青木(功)さんと回れたのがよかったのかな。積極的にやらないとダメと気づかされました。今シーズン、調子がいいのは、バックスイングの切り返しで、上半身の力を抜くことができるようになったこと。飛ばしたい、と小手先や下半身に力が入って曲げていた。飛ばしたいときほど、振りぬくまで力を抜けるようになったのが技術的な進歩かな。ここまできたからこの後は、チャンスがあったらドンドン行くところまで行きたいですね。そしていまは、アメリカの試合に出たいっていう一心ですね」 米国のチャンピオンズツアー(シニアツアー)挑戦は、シニア入りしたときからの崎山の夢。日本シニアオープン(10月29日~11月1日、三重・白山ヴィレッジ)まで賞金ランク1位をキープできれば、米国チャンピオンズツアーの最終予選会に出場できます。日本のシニア賞金王になって、来季は米国シニアへの殴り込み!!レギュラーでは″無名”だった男のシニアでの大輪の開花ー。米国でもあったシンデレラストーリーを、日本人で実現できますかどうか。男・崎山武志の秋の陣を見守りましょう。