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遼の後輩、杉並学院高出の中里光之介(26)。QT日本勢トップで突然の脚光!  女子は原江里菜(31)が奇跡?の返り咲きトップ通過。QTの泣き笑い

男子QTトップ通過したリチャード・ジャン(カナダ)をはさみ、左は青木功JGTO会長、右は今年からQTに特別協賛し、トップ通過者には100万円の賞金を出したSMBCモビットの中辻信之社長(JGTO提供)

ツアーへの出場権をかけた「クォリファイング・トーナメント(QT)」が、今年もシーズン終了とともに行われ、明暗さまざまな泣き笑いがあふれました。6日間のシビアな戦いだった男子(茨城・セントラルGC西コース)は、上位を外国勢が占めましたが、石川遼の1年後輩、東京・杉並学院高出身の中里光之介(26)が1打差で日本勢トップの2位。中里は来季ツアー前半戦に出場できる「35位前後以内」を悠々キープする健闘でした。トップ通過は、QT初参加のリチャード・ジャン(25=カナダ)が通算24アンダーで果たし、来季1年間フルシーズンの出場権を得ました。男子より1週間早く開催された女子のファイナル(兵庫・東急グランドオークGC)は、4日間のサバイバル戦。昨季に続いて今季もシードを落としていたベテラン原江里菜(31)が、4日間通算9アンダーで2位に2打差をつけてトップ通過。来季前半戦の出場権を確保。見事な返り咲きをみせました。

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男子は6日間108ホールを戦うし烈な舞台。まず4日間72ホールを終えて通算3アンダー81位までの93人が残り、あと2日間の決勝ラウンドへ進みました。今年3月、50歳を迎えてシニア入りしたレギュラーツアーの元賞金王・伊澤利光(50)は4日間で4オーバー、158位で予選を通過できませんでした。4日目でカットされた残念組の中には細川和彦、丸山大輔、小林正則、松村道央らのレギュラー選手がいました。ただセカンドQT以上のステージに進んだ選手は、AbemaTVツアー(下部チャレンジツアー)の予選会への出場権利、また主催者推薦でのトーナメント出場機会が残されています。

第6ラウンドの長丁場をトップで勝ち抜いたのは、カナダからの刺客、リチャード・ジャン(25)。ファイナルQTの優勝者にはJGTOからの賞金100万円に加え、今年からQTの特別協賛スポンサーになったSMBCモビットからも賞金100万円が贈られ「とてもうれしい。6日間、いいゴルフができて満足」と喜びを語っていました。自信があるというドライバーショットを駆使して攻めまくり、「プラン通り」(ジャン)のゴルフを展開してトップ通過を果たしました。 日本にはなじみのない選手ですが、08年、09年にトヨタジュニア・ワールドカップにカナダ代表として参加したとき、韓国代表で出場していたイ・サンヒ(李尚ヒ=日本ツアーのシード選手)と仲良くなり、彼から「日本のコースはコースのコンディションもいいし、トーナメントの環境や選手へのサポート体制などもいい」と聞いてQTに参加してきた新顔です。
「来年は日本のツアーでシード権をキープして、できれば優勝も狙っていきたい。しばらくは日本ツアーでプレーしたい」と意欲をみせています。QTからツアーへ上がって活躍している選手は多いですから、このジャンも来季から注目の選手です。

日本勢トップの2位でQTを通過した遅咲き・中里光之介(26)=提供:JGTO

このジャンを最終日に猛追したのが日本の中里光之介。4連続バーディーなどのチャージで最後1打差まで追い詰めましたが、届きませんでした。11月から投入したという中尺パターが好調で、リズムに乗ったゴルフでした。6日間のうち4日が60台。最終日は9バーディー、ボギーなし「63」の驚異的なスコアを出して驚かせました。

 QTの冠スポンサーになったモビットのCMモデルにも起用された中里は、東京出身。小さいころは水泳、陸上、サッカーと幅広く手を染めたスポーツ好き少年。ゴルフは10歳で初めてクラブを握り、中学1年の途中でゴルフ部のある杉並学院に転入し高校まで通してゴルフに専念しました。中3の年、1級上の石川遼が杉並学院高1年ででツアー優勝するのを見て大きな刺激を受けたそうです。自らも高1からプロを目指してQTに挑戦。高3の2010年にプロ宣言。アジアンツアーなどに参戦して腕を磨きました。16年、ようやくチャレンジツアーで2勝する成果をみせ、17年には石川遼がプロデュースする下部の大会で優勝。チャレンジランク6位に入って今季はレギュラーツアーに再挑戦しましたが、獲得賞金280万2033円で賞金ランク125位。

6日間108ホールの長丁場。すべてアンダーパーで回った実力派中里光之介。杉並学院高で遼の1年後輩。

しかし、最後の望みであるQTでの2位は来季へ明るい灯がともったといえそうです。1年間フルシーズン出場の権利をもらえるトップ通過が成らなかったのは惜しまれますが、チャンスは大いにあるといえるでしょう。遼を追って″遅咲き〝中里光之介のブレークは成るでしょうか?

前半戦、半分以上には出場できる「35位前後まで」には香妻陣一朗(8位)、永野竜太郎(9位)、岩本高志(10位)、貞方章男(15位)、海老根文博(18位)、小木曽喬(30位)らが入って出場権を獲得。逆に矢野東(53位)、薗田峻輔(59位)、平塚哲二(71位)、伊藤誠道(74位)、小山内護(78位)、河井博大(90位)らは、ごく限られた出場しかない厳しい立場に立たされました。

2年間のシード落ちからQTトップ通過で蘇った原江里菜(31)

一方女子では、102人がファイナルQTに参加。大会は4日間行われ、「上位40人前後まで」が来季前半戦の出場権を得られます。17年18年とシード権を失い、今季もQT50位の資格で31試合戦い、賞金ランクは58位に低迷していた原江里菜が、QTでは4日間ともアンダーパーで回って通算9アンダーでトップ通過を果たしたのは、見事なカムバックです。ツアー通算2勝の実力者だけに悔しいシード落ちでしたが、31歳にしてよくぞ盛り返したものです。
「この2週間はずっとゴルフのことしか考えられなかった。家でもパターの練習をしたり、こんなことはここ10年はなかった。もうここ(QT)には来たくないです」と、どん底近くまで落ちた今季の苦しさをにじませていました。来季はこれをバネに、粘り強かった原ゴルフを今一度取り戻せるでしょうか。

粘り強い原江里菜のゴルフを、来季はまた見られるか?

どんどん若手が出てくる女子ゴルフでは、シードを落とした選手たちは必死のQT、生き残り戦でした。人気先行だったアイドル・三浦桃香(19)。今季はQT34位の資格でツアーを戦い、シーズンはじめのアクサレディスの10位があっただけ。33試合に出ましたが後半戦は12試合で10試合の予選落ち(7戦連続予選落ち含む)があるなど大苦戦。賞金ランクは81位に沈みました。背水のQTはセカンドステージからの戦いで、ファイナルでは決勝の2日間をアンダーで回り通算6アンダーで6位に食い込みました。これで来季前半戦の出場権を得て「よかった。来年も無職にならなくてすんだ」(三浦)と胸をなで下ろしました。

 米ツアーを撤退して初めて国内のQTを受けた宮里美香は、2アンダー、27位で安全圏を確保です。来季は本格的な国内復帰になりますが「軸足は日本だけど、出られる試合があれば、海外に

セクシークイーン、アン・シネ(27)は、QT51位と振るわなかったが、主催者推薦枠(最大8試合)で来季も日本のツアーで見られそう。

もまた行きたい。とにかく来年は勝ちたいです」と、国内での出直しを誓っていました。人気のセクシー・クイーン、アン・シネ(27、韓国)はQT51位で″圏外〝。レギュラーツアーの出場は限られますが、主催者推薦(最大8試合)を使って来季も日本参戦を目指しています。残念組には諸見里しのぶ(68位)、西山ゆかり(76位)、川岸史果(79位)、松森彩夏(81位)、堀琴音(83位)、服部真夕(97位)らが涙をのみましたが、捲土重来を図れるでしょうか。厳しい泣き笑いのゴルフ人生です。

          (了)