Daily Archives: 2020 年 2 月 17 日

豪州第2戦。日本勢トップフィニッシュは原英莉花(21)と笹生優花(18)。異色のルーキーには驚き!

大会3日目に21歳の誕生日を迎えた原英莉花。外人選手並みのロングドライブを飛ばして満足の25位。(豪州南部、ロイヤル・アデレードGC)=写真はすべて大会広報提供

開幕がまだ遠い日本の女子ゴルフツアーをよそに、海外で腕を磨く若者たちがいます。前週に続き真夏の豪州シリーズ「ISPSハンダ女子豪州オープン」。豪州南部のロイヤル・アデレードGCが舞台。日本からは8人が参戦。パー73のタフな名門コースで原英莉花(21)と、昨年日本ツアーのプロテストに合格したばかりのルーキー、フィリピンとの両国籍を持つ笹生優花(さそう・ゆうか=18)が予選を突破。ともに4日間通算4アンダーで日本勢トップの25位タイに入る健闘をみせました。大会3日目に21歳の誕生日を迎えた英莉花は、持ち前の長打力を生かしてこの難コースと対決。横峯さくら、河本結、野村敏京、山口すず夏、吉田優利らが予選落ちするなか、4日間で計19個のバーディーを奪いました。他の日本勢では上原彩子が通算2オーバーで55位タイ。優勝は前週のパク・ヒヨン(32)に続き、16年リオ五輪金メダルのパク・インビ(朴 仁妃)が通算14アンダーで韓国勢が連勝、コリアンパワーの強さを誇示しました。

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最終日後半に入ってからの乱調は残念。豪州・アデレードの強風にいじめられたが、4日間健闘した原英莉花。

6689ヤードでパー73。アリスター・マッケンジー氏の設計。広大なシーサイドコースで砂のクレーターなど砂丘に沿って設計された戦略的要素を随所に秘めています。コースの中を鉄道が横切っているユニークなゴルフ場でもありますが、海が近いことから風の攻略もとても重要。これまで多くの全豪オープンが開催された名門でもあります。

この大会には昨年も出場して予選落ちだった原英莉花。今季も雪辱を期して初戦でこの大会を選びました。同じアデレードでも今年は昨年とは違うコース。初日の90位発進から2日目4アンダー69で41位に浮上。3日目も1アンダーとスコアを伸ばして31位にまで順位を上げて最終日のチャージが注目でした。2番から3連続バーディーを奪い、前半で3つ伸ばし期待が高まりましたが、風が強くなった後半に入って思わぬ大失速。前日もボギーとしている16番パー3(176ヤード)では手痛いダブルボギーとするなど、4ホールで5つ落とすもったいないゴルフ。前半に稼いだ貯金もすべてはたいて、この日はイーブンパーの73。期待が大きかったトップテン入りも夢と消えました。

しかし、コースの芝や環境も日本とは大違いの海外ツアーで4日間を戦い、19バーディーを奪った戦いは「新鮮で楽しかった。もう少しやりたかった。変なことをしなければ、こちらでも戦っていけるかなと感じた。こっちでプレーしたいなとも思いました」と、強風の中でもしっかりと4日間プレー出来て自信めいたものをつかんだようでした。
英莉花の武器となったのは、なんといっても大きな飛距離。日本でも飛ばし屋で鳴る彼女は豪州のコースでも海外の選手に負けないロングドライブを飛ばしました。ドライビング・アベレージは初日が280.5ヤードとトップクラスの数字をマーク。強風が吹いた最終日も271.5ヤード。4日間平均では267.1ヤードと上位に入る飛距離でした。フェアウェイキープも4日間60打数で40回(0.667)を記録。安定したドライバーを飛ばした結果が好スコアにつながったといえるでしょう。

 

昨年プロテスト合格の異色のルーキー、笹生優花の豪快なスイングが豪州ファンを驚かせた。(ISPSハンダ女子豪州OP=ロイヤル・アデレードGC)

☆優勝した朴仁妃(パク・インビ)とは10打差つきましたが、19バーディーを奪った原英莉花のコメント。

「きょうはバーディーを取るぞ、という気持ちで来ていました。2番(パー5)も狙ってましたし、3番(290ヤード、パー4)もグリーンには乗っていなかったですけどナイスバーディーでしたね。4番(395ヤード、パー4)は自分でもびっくりするくらいのバーディー。セカンドの下の芝がスポスポで″うまく打てるかな〝というライからミラクルショットが打てました。きょうの中で1番かなと思います。強風の中で少しは自信になりました。クリスティ・カー選手を間近で見て、風の中でもスコアを伸ばすし、我慢するところは我慢して、というメリハリあるプレーを見させてもらった。途中から急に強風になったので頭の切り替えが私にはできなかった。状況判断をしっかりできないとスコアを落としてしまう。自分の反省点をしっかりとらえて国内開幕を迎えたいです。ここに来る前より不安はなくなりました。あとは自分の気持ち次第。開幕してから早目に1勝したい。そうすればストンといけそうなので、足踏みしたくないですね」

国内ではジャンボ尾崎を師と仰ぐ優等生。18年のプロテスト合格組。173㌢の体躯を生かし、日本人離れしたパワフルなスイングを身につけた本格派です。昨季はリゾートトラストでツアー初優勝。賞金7076万円超を稼いで賞金ランキング14位。今季も大きな進化が待たれる有望株です。豪州の難コースをまず4日間戦い抜いた今季は、渋野日向子、鈴木愛らのトップグループに迫る一番手とえるでしょう。
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「ドライバーが命」という優花。飛距離もだが、フェアウェイキープ率も抜群の安定ゴルフが魅力。

その英莉花をドッキリさせたルーキーが現れました。フィリピン、日本の両国籍を持つ笹生優花(18)です。無名に近い彼女は、東京・代々木高を今春卒業するピチピチのルーキー。昨年11月の日本プロテストを18位で合格。QT(最終予選会)も28位で通過。今季からツアーに登場する期待の星です。18年のアジア大会金メダリストの実績がありますが、この豪州ツアーはジャンボから推薦の後押しを受けて出場。第1戦のISPSハンダ・ビックOPは予選落ち。第2戦のISPS・ハンダ豪州女子OPは2日目イーブンパーの最下位68位タイで予選を通過。3日目は3アンダーの70で39位と順位を上げてきました。最終日も1アンダー、72で回り通算4アンダー、原英莉花と並んだフィニッシュには周囲を驚かせました。

☆初日75で107位から連日順位を上げて予選通過。日本勢トップの25位タイの笹生優花のコメント。

「先週、今年初めての試合でプレッシャーがあって予選落ちしました。今週はその経験を生かせたと思います。ドライバーが自分の中では″命〝というか、それが崩れずによかった。次の試合に自信になります。アマチュア時代は予選落ちしてもそこから覚えていけばいいけど、プロになったら予選落ちしたらダメ。賞金もあるし順位も下がってしまう。1打の重みもあるので、攻め方も少し変わってくると思います。去年プロテストに合格して、自分は注目されているとは思わないですが、その部類に入ったら嬉しいですね。フィリピン代表として東京五輪にどうかといわれますけど、私は何かの試合のために頑張るというのがなくて、毎週あるゴルフに調子を崩さず長くプレーすることをゴールにしています。だからオリンピックのために何かを変えようというものはない。出られたらうれしいけど、まだそこには集中していないです。推薦してもらったジャンボさんには、いい経験をさせてもらってありがとうといいたいです。次は沖縄のダイキン。納得のいくプレーをしたいです」

まさに異色のプレーヤーが頭角を現してきました。豪州女子OPでも連日260~270ヤードのロングドライブを飛ばしていましたし、フェアウェイキープ率が高い(0.883)のも彼女の特徴です。飛ばして曲がらない、ちょっと末恐ろしいルーキーの出現といったところです。注目しましょう。

(了)