Daily Archives: 2020 年 2 月 10 日

成長見せた米ツアー挑戦の山口すず夏。清水重憲キャディーを得ながら″落とし穴〝にはまった河本結。豪州第2戦は?!

米ツアーに参戦2年目の山口すず夏。豪州シリーズ第1戦では日本選手唯一の決勝ラウンドへ進出!(豪州・サーティンスビーチ・リンクス)

昨年、高3で米女子ツアーの最終予選会に挑戦、米国での出場権を獲得した山口すず夏(19)が、参戦2年目の今季初戦で頑張りをみせました。米ツアーの豪州シリーズ第1戦「ISPSハンダ・ビック・オープン」(豪州南部ジーロングのサーティーンスビーチ・リンクス)は日本から6人の女子が参加。前週米ツアー初戦で8位に入り注目された河本結(21)や横峯さくら(34)が予選落ちする中、山口すず夏ただ一人4日間をプレー。最終日に79と崩れ通算5オーバーの39位に墜落して悔し涙。しかし、日本勢でただ一人決勝に進んだのは、米ツアー2年目の成長をのぞかせました。同時開催の男子欧州ツアーでは日本から唯一出場の谷原秀人(41)が通算7アンダーで22位。

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明るい性格の山口すず夏は、苦しいときでも笑顔がすがすがしい。(ISPSハンダ・ビックOPで=豪州)

東京・共立女二高3年の18年秋に米女子ゴルフツアーの最終予選会に挑戦、計8日間、144ホールの戦いで通算8オーバー、36位でフィニッシュ。45位までが得られる翌年の出場権を手にしたすず夏です。日本ツアーを飛び越えての米ツアー挑戦。山口は15年の全米女子オープンに史上最年少、14歳で出場して脚光を浴びる経験もしました。早くから米国志向で、日本史上3人目の高校生プロになりました。
昨年2月、プロ転向初戦も今年と同じ豪州でのISPSハンダ・ビック・オープンでした。豪州の強い風に悩まされ、通算1アンダー、22位でしたが、女子高生プロの先輩、宮里藍(初戦48位)、畑岡奈紗(初戦予選落)を上回るプロデビューでした。が、次々とぶつかる厳しい米ツアーの波をかぶったすず夏は、シーズンが深まるにつれて苦戦続き。デビュー戦の22位が最高順位で、特に後半戦は、連続10試合を越える予選落ちを続けたまま初年度のシーズンを終えました。

くじけそうになる海外でのツアー生活。でも、すず夏はくじけません。米国2年目の今季は早くからトレーニングを欠かさず、昨年11月の米ツアー最終予選会には河本結らとともに受験、再度8ラウンドの激戦に耐えたすず夏は、通算1アンダー、16位で出場権をゲット(河本結は9位)、今季の再スタートに備えました。米ツアー初参戦の河本結が、前週のデビュー戦で8位に入り注目度が急上昇。第2戦の今週は、長くイ・ボミ(韓国)のキャディーを務めた清水重憲キャディーを招聘。新しいコンビを組んで期待をもたせましたが、その河本も1打足りずに予選落ち。横峯さくらや野村敏京らも決勝に進めず、2日間アンダーパーで回った19歳のすず夏だけが、セカンドカットラインもクリア、昨年1年間の苦労を薬に一歩前進した姿を見せてくれました。

米ツアーの豪州シリーズで戦う山口すず夏。

その最終ラウンド。スタートの1番パー4で、すず夏はティーショットを大きくプッシュアウト。暫定球を2度も打つ大ピンチ。結局OBでトリプルボギー「7」の洗礼。2、7番でもボギー。9番ではダブルボギーとしてアウトは43の大たたき。前半だけで7打も落とす最悪のゴルフをしでかしたのです。インに入ってもなかなかバーディーがとれず、11番のパー5ではまたボギー。最終18番、パー5でようやくバーディーがきましたが、スタートの大ポカがそのまま残る「79」。最終日としては取り返しのつかないゴルフをやってしまいました。

 

★2日目48位から3日目33位に浮上しながら、最終日に″どん底〝を味わった山口すず夏のコメント

「朝の練習場ではそんなに悪くなかったのに、スタートで踏ん張ることが出来なかった。あれで終わてしまったのが悔しい。最初にミスをしてしまったので、自分でもどうしていいか分からなくなった。ショットもあやふやなまま打ってしまった。まだ甘いところがあるんですね。風に惑わされたところはあったと思いますが、自分の心が揺れていた。メンタルが弱いのですかね。セカンドカットもクリアして最終ラウンドに進んだのに・・。もっといっぱい練習して次に臨みたいです。次週のコース(ロイヤル・アデレードGC)は初めてで、見たことも行ったこともないので練習ラウンドをしっかりやります。今週は今週にして、来週は思い切り攻めていきたいです」

痛い″敗戦〝でした。しかし失敗の中から成功を見出すのが賢明なゴルフなのでしょう。

清水重憲キャディー(左)を得て米ツアー参戦。豪州シリーズを戦う河本結(右)。ISPSハンダ・ビックOPでは1打足らず、無念の予選落ち。豪州第2戦が見もの(豪サーティーンスビーチ・リンクス)

河本結が名手・清水重憲キャディーを得ながら、1打足りなかった予選落ちもショックは大きかったようです。「自分のミスもあり、このコースはバンカーに吸い込まれていくので勉強になった。心が折れそうになったが、(インスタート)14番のパーパットを入れて自分の気持ちを奮い立たせました。そこから3つ戻すことができた。自分の心が成長した感じです。(ギャラリーがいなくて)声援がないのでテンションが下がってしまう。自分とキャディーさんとで戦うしかない。これからアメリカで戦うなかですごく成長したかなと思います。清水サン(重憲=キャディー)は打つ前に選手が持っている不安を全部消してくれる。そこが一番強いんじゃないかと思います。きょうは″空気〝が悪かった(笑)。

並行して開催された男子の欧州ツアーISPSハンダ・ビックOP。通算7アンダーで22位の谷原秀人。(豪・サーティーンスビーチ・リンクス)

パッティングはいいんだから自信をもっていって、と前半からいわれていたのですが、最後の方はその言葉通り入ってくれた。そういうゴルフもあるんだな、とまた新しいゴルフを見つけられました。清水サンに来てもらていたし、なんとかて4日間担いで欲しかったです」

山口すず夏とはまた違った意味でゴルフを見直せたという河本結。豪州初戦は思わぬ予選落ちを喫しましたが、2戦目のオーストラりアン女子オープンでは、きっと何かの新しい効果を見せてくれるでしょう。それぞれ″落とし穴〝にはまったすず夏と結。今週をまた注目です!。

(了)